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62話 イカ焼きに勝てないウエディングドレス
街の賑わいがゆるやかに流れる夕暮れ。
シェルとフローナは並んで歩き、店先の光をぼんやり眺めていた。
ふと、シェルが立ち止まる。
視線の先には、ショーウィンドウに飾られた真っ白なウェディングドレスが見える。
シェル「フローナがこのウエディングドレス着たら綺麗なんだろーなぁ・・・お帰りなさい、あ、な、た。
ご飯にする?お風呂にする?それともわ、た、し?
きゃ!・・・ってあれ!?フローナがいない!!」
キョロキョロと辺りを見渡すシェル。
すると少し先の方にフローナの姿が見えた。
そこには良い匂いが立ち込める、イカ焼きの屋台でフローナがイカ焼きを買っていた。
♦︎屋台。
フローナ「イカ焼き二つ下さい!」
店主「はいよ」
シェル「フローナ、俺はお前のそうゆーとこも好きだぜ」
シェルがぽつりと呟くと向こうから自分の名前を呼ぶ声が聞こえる。
フローナ「シェルー!何してるのー!一緒にイカ焼き食べようよー!」
シェル「ああ、今行くよ」
そしてシェルは歩き出した。イカ焼き二つを持った愛しい恋人の元へ。




