表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/98

61話 戦友との再会


昼下がりの市場は人で賑わっていた。

フローナが珍しく目を輝かせながら屋台を見て回っていると・・・。


セイヤ「フローナ!? おい、フローナじゃん!!」


振り返ると、かつて同じ空手道場で汗を流した仲間、

セイヤ、タイガが立っていた。


フローナ「え!? セイヤ!?タイガ!?」


セイヤ「俺たちも旅してんだよ! まさか街で会うとはなー!」


セイヤがガシッとフローナの肩に腕を回す。


タイガ「元気そうで何よりだ!つか、ちょっと太ったんじゃない?」


タイガはフローナの頬をふに〜っと引っ張る。


フローナ「い〜だっ・・・あれ、てか二人だけ?」


セイヤ「いや、イツキもいるぞ」



少し向こうの方からイツキが顔を出した。


イツキ「久しぶり、フローナ。」

フローナ「久しぶりイツキ君」


懐かしい仲間たちに、フローナは目を細めて笑った。


その後ろからシェルたちが歩いてきた。

セイヤがニヤッと笑い、拳を握った。


セイヤ「シェル、手合わせしようぜ!!」


タイガ「俺も混ぜて!」


イツキ「・・・俺も。」


フローナ「えぇ・・・イツキ君まで!?」



♦︎シェル VS セイヤ・タイガ・イツキ


広場に移動すると、三人が同時に構えた。


レン「三対一はさすがに不公平では?」

メリサ「隊長なら大丈夫でしょ。」

 

シェル「じゃ、いくよ。」


次の瞬間、

ドンッ!!バンッ!!ガッ!!


シェルは軽く動いただけで三人を簡単に吹き飛ばしてしまう。


セイヤ「はっや!!!」


タイガ「全然見えなかった・・・」


イツキ(強過ぎる・・・)


三人は地面に座り込んだまま呆然とした。

イツキは悔しそうに拳を握りしめながらも、

真っ直ぐシェルを見てポツリと言った。


イツキ「・・・これだけ強ければ安心か」


その声を聞いていたのはシェルだけだった。



♦︎ユキ登場


その時、


「フローナさーん!!!」


遠くから一人の少年が走ってきた。

道場の後輩、ユキだった。

モサモサな黒髪ショートヘアに丸いメガネをしている。


フローナ「ユキ君!? どうしたの?」


ユキ「どうしてもフローナさんに会いたくて・・・ずっと探してました・・・!」


彼は息を切らし、真剣な眼差しで告げる。


ユキ「俺、フローナさんのこと好きです。だから俺と付き合って下さい!」


セイヤ「残念だがユキ、フローナは今、シェルと付き合ってる」


セイヤがシェルを顎で示す。


フローナ「え!?何で分かったの!?」


セイヤ「んなもん、見てりゃ分かるっつーの!」


タイガ「フローナは分かりやすいからねぇ」


ユキ「そっか・・・僕、遅かったんですね・・・。」


フローナは苦笑して頷く。

 

フローナ「ごめんね。」


するとユキはシェルを睨みつけ、拳を握った。


ユキ「あなたが彼氏なんですね。戦ってください!」


シェル「えぇ・・・」


メリサ「また始まったねぇ。」



♦︎ユキ VS シェル


ユキは気合い十分で突っ込むが・・・。

指一本で軽く押し返され、

ユキは地面に転がった。


ユキ「くっ・・・やっぱり敵わない・・・!」


悔しさに唇を噛みながらも、彼は立ち上がる。


ユキ「フローナさん、僕、強くなってまた来ます!!」


そう言って、ユキは旅に出てしまった。



♦︎イツキの言葉


三人が去ったあと、メリサがぼそっと言った。


メリサ「ユキ君だけじゃなくてさ、あの三人の中にもフローナちゃん狙ってる人いそうだよね。」


シェル「セイヤとタイガはともかく・・・イツキはそうだろうな。最後、ちゃっかり釘刺されたし。」


メリサ「釘?」



♦︎数分前の回想。


イツキ「シェルさん。

フローナのこと、泣かせないでくださいね。」


落ち着いた表情のまま笑ってはいたが、目の中の力強さは冗談じゃなかった。


シェルは少しショックを受けていた。


シェル「フローナ、イツキと仲良かったよな。

なんか、その・・・親密そうだったし。」


フローナ「うん。まぁ、昔付き合ってたから。」


フローナがさらりと言う。


シェル「(ガ、ガーン・・・)」


メリサ「自分で聞いたくせに驚いてるねぇ。」


シェル「いやだって・・・!!」



♦︎イツキとフローナの過去


メリサ「何で別れちゃったんだい?」


フローナ「価値観の違いですね。イツキ君は結婚したいって言ってましたから。」


メリサ「フローナちゃんは結婚考えなかったの?

凄く優しそうな彼だったけど。」


フローナ「私は旅したかったんです。

それにもし、私が結婚願望あったら・・・」


フローナはあっさりと言った。


フローナ「旅なんて出ずに、あの街で結婚相手見つけて、とっくに結婚してますよ。」


メリサ「言われてみれば確かに・・・」


レン「フローナさんって、たまに核心を突いてきますよね。」


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ