58話 フローナの風邪
レン、お昼ご飯の支度中。
レン「フローナさん、どこか具合悪いですか?」
フローナ「え?いや、悪くないですけど」
レン「何か顔色悪くないですか?ちょっとおでこ触りますよ」
フローナ「!」
フローナ(わ、レンさんの手おっきいなぁ・・・。
シェルと同じくらいの大きさなのに違う匂い、違う優しさ・・・)
熱のせいかフローナの頭はぼ〜ッとしていた。
レン「これ熱ありますね、フローナさんは部屋でゆっくりしてて下さい」
フローナ「え、わぁ」
フローナはレンに肩を押されながらシェルのいる部屋へ入るとシェルは起きていた。
珍しく爆睡していたらしい。
シェル「何、どした?」
レン「フローナさん熱あります。おそらくこれから上がるかと」
シェル「え、大丈夫か!?」
シェルは慌ててフローナに駆け寄るとおでこに手を置いた。
シェル「少し熱いな」
フローナ「大丈夫だよこれくらい」
シェルはフローナのおでこに軽くデコピンする。
フローナ「あいたっ」
シェル「ばーか、大丈夫じゃねーの」
レン「俺、お粥作ってきます」
フローナは痛くないおでこを反射的にさする。
フローナ「え、わざわざ悪いですよ!」
レン「大丈夫ですよ、簡単なので」
フローナ「ありがとうございます・・・じゃあお言葉に甘えて・・・お願いします」
レン「任せて下さい」
フローナ「シェル、風邪が移っちゃうよ」
シェル「俺は風邪引かないから大丈夫だよ。
免疫力くっそ高いから」
フローナ「そ、そっか・・・」
フローナ(確かに高そう)
♦︎
その夜、フローナの熱は上がり、苦しそうにしていた。が。
フローナ「シェル、ごめん。やっぱ1人にして欲しい
今日は皆んなの部屋に行って」
ぶっちゃけフローナは頭痛やら吐き気やらでイラついていた。
表に出さないように平静を装ってはいるが・・・。
シェル「分かった」
レン「あれ、隊長フローナさんと一緒に寝ないんですか?あなた風邪移んないでしょ」
付き合い始めてからというものの、二人は一緒に寝ることが増えた。
シェル「1人にしてって。今日は皆んなのとこ行ってってさ」
レン「あー、邪魔だから出てけって言われたんですね」
シェル「おっま!!そんな言い方フローナはしてねぇ!・・・俺が気にしてる事を・・・」(ず〜ん)
部屋の片隅にしゃがみ込むシェル。
そこへメリサが来た。
メリサ「え、何なに、隊長どしたのさ?笑」
レン「フローナさんに部屋から追い出されたらしいですよ」
メリサ「ぷっ、何それダッサ!」
シェル「お前らなぁ!」
レン「隊長、大丈夫ですよ。
熱でつい本音が出ちゃっただけですって」
レンはニヤニヤしながらシェルの肩に手を置く。
シェル「フォローになってねーよ!!」
メリサ「だいたい普段隊長はフローナちゃんにくっつき過ぎなんだって」
レン「そうですよ」
今がチャンスだと言わんばかりに2人はシェルをいじめる。
♦︎
次の日。すっかり体調が戻ったフローナ。
フローナ「わ!?シェルどしたの?」
シェルは部屋の片隅でまだいじけていた。
レン「あ、フローナさん!体調大丈夫ですか?」
フローナ「はい!もうすっかり!ありがとうございます。メリサさん、薬ありがとうございました」
メリサ「いえいえ、元気になったみたいで良かったよ!」
レン「すみません。昨日隊長をいじめ過ぎてあんな風になってしまいまして」
フローナ「シェル、何して虐められたの?」
シェル「何で誰も俺の味方してくんねーんだよ!」
フローナ「ごめんごめん、昨日私が部屋から追いだ・・皆んなの部屋に行ってもらったのを」
シェル「今追い出したって言いかけたよね!?」
フローナ「ごめんって・・・てゆーかシェル、そんな寂しかったの?」
シェルは不貞腐れながらフローナにぐい〜っと体重をかける。
フローナは微笑むとシェルの頭を優しく撫でた。
((犬だな))




