57話 自慢の彼氏
海風が吹き抜ける砂浜。
シェルは一人、海と空の境目をじっと眺めていた。
その背中がどこか寂しげで、どこか強くて・・・
フローナは声をかけようとした瞬間、思わず足を止めてしまった。
シェル「フローナ?どした、こっち来いよ」
優しい声に呼ばれ、フローナはてててっと駆け寄る。
シェル「ごめん、気付かなくて・・・ずっとそこにいたのか?」
フローナ「うん。なんか考え事してる風だったから」
シェルは小さく息を吐いた。
シェル「あぁ。海見ると特にな・・・。俺さ、いつも自分に言い聞かせてるんだ。」
フローナ「言い聞かせる?」
シェル「あぁ。何があっても仲間を守るってな」
海風が彼の金髪を揺らした。
その横顔は強い。だけど、どこか弱さも含んでいた。
シェル「毎日なんだ。カッコ悪いだろ?」
フローナは首を横に振った。
そして、そっとシェルの背に両腕を回し、後ろから強く抱き締めた。
フローナ「そんなことないよ。
シェルは世界で一番カッコいい、私の自慢の彼氏だもん」
その言葉に、シェルの肩がわずかに揺れた。
シェル「ありがとう」
彼はフローナの手の上に指先を重ねる。
その仕草は、いつも戦いの先頭に立つ男とは思えないほど、優しくて繊細だった。
シェル(敵わないな。ほんとに)
静かな波音が二人を包み込む。
その時間ごと、宝物みたいに大切に思えるほどに。




