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番外編 不発なくしゃみ


夕陽が差し込む海辺。

波の音が穏やかに響き、砂浜には小さなキャンプの明かりが灯っている。

簡易テーブルに置かれた紅茶やコーヒーから白い湯気が立ち上り、ゆらゆらと夕焼けに溶けていた。


五人はそれぞれの椅子にもたれ、くつろぎのひとときを過ごしていた。


そんな中、シェルは椅子にもたれながら、急に顔をしかめる。


シェル「ふぇ・・・」


鼻の奥がムズムズと反応し、肩が小さく跳ねる。

目は半開き、口も中途半端に開いたまま・・・。

これは完全に「くしゃみ直前」の顔だ。


シェル「ふぇっ・・・へ・・・」


その瞬間。


パチン、と小気味いい音が響いた。


フローナの小さな手のひらが、狙いを定めていたかのようにシェルの鼻先を軽く叩いたのだ。


シェル「あでっ!!」


予想だにしなかったフローナの攻撃に、思わず目をつむり、変な声が上がった。

くしゃみがうやむやにされ、シェルはスッキリ出来ずに終わった。


レン&コキア「「!?」」


二人は同時に目を見開く。


メリサ「ブホッ!!」


タイミング悪く紅茶を口に含んでいたメリサが、盛大に吹き出した。


メリサ「げほっ、ごほっ・・・な、何今の!!」


シェルは鼻を押さえながら、涙目でフローナをじと〜っと睨む。


シェル「何すんじゃい!!」


フローナは悪びれた様子もなく、首を傾げてにっこりと笑う。


フローナ「くしゃみ、止まるかなーって思って」


シェル「止まったわい!!」


レンは肩を震わせた後、メガネを人差し指でくいっと上げた。


レン「ククッ、今の隊長、最高に間抜けでしたねぇ」


シェル「やったのフローナなのに!?」


理不尽な言葉にレンを睨むが・・・まだ涙目なので凄みはなかった。


コキア「タイミング、完璧でしたね」


メリサも咳き込みながら、目尻の涙を拭う。


メリサ「いやー・・・まさか、物理的にくしゃみを止めにくるとはね」


フローナは少し得意げに胸を張る。


フローナ「昔、スーパーのおばちゃんが旦那さんにやってた!!」


シェル「そこのスーパーどうなってんだよ・・・」


場の空気は一気に和み、

キャンプ場には笑い声が響き渡る。


しかし、くしゃみが不発に終わったシェルはその後もなんだかスッキリしないのであった。

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