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番外編 独裁者vsシェル


♦︎

ここは、地獄だ。


荒れ果てた街の中心、砂埃が舞う広場には、

土と鉄と血の匂いが充満していた。

奴隷のように縛られた人々の列が並んでいる。


支配者第一号「さぁ貴様ら、性奴隷か肉体労働か選ばせてやる!

選ばなかったら拷問が待ってるからな!さっさと歩けクズども!!」


乾いた鞭の音が地面を打つたび、人々は怯え、震えながら二つの道を選んでいく。


性奴隷を選べば望まぬ妊娠を繰り返される。

肉体労働を選べば骨が折れるまで働かされる。

背けば拷問させられて廃棄される。


産めなくなれば肉体労働へ切り替えられ、

働けなくなればその日のうちに廃棄される。


医療などほとんど存在しない。

手当も受けられず感染症で死ぬ者も多い。


この街には光などなかった。

しかし、そんな街にもやがて光が差す。



少し離れた場所からその様子を見ていた五人は顔を歪めた。

 

メリサ「わー・・・絵に描いたようなクズだね」

レン「フローナさん、気分悪いでしょう。車に戻りましょうか」

フローナ「正直言って・・・」

シェル「ん?」


フローナ「この街のことなんかどうでもいいし全然興味ないんだけど・・・なんかあいつムカつくから殴ってきていい?」


フローナは親指で支配者第一号を指した。

額からピキピキという効果音が聞こえてきそうなほどキレている。


シェル「よし、フローナ!俺が許す!好きなだけ殴ってこい!」


更にシェルが人差し指で支配者第一号を指差す。


レン「またあなたは火に油を注ぐようなことを・・・」


フローナは地を蹴って砂煙りをあげながら一直線に走り出す。

支配者第一号の横腹に思いっきり跳び膝蹴りを喰らわすと、体がくの字にすっ飛んでいく。

倒れた支配者第一号の股間目掛けてガスッガスッと蹴った。

うめき声が聞こえてきても無表情のまま蹴り続けた。


レン「もう誰も止められませんね」

メリサ「無理だね」


フローナは散々蹴ったあと、容赦なく紐で縛り上げた。

そして先ほど虐げられていた女性たちの前へ

紙クズのようにポイッと投げ捨てた。


フローナ「はい、あげる」


ぱんぱんっと手の埃を払う。

 

支配者第一号「ひえっ!?たすけっ・・・」


そう、フローナはあえて殴れる部分を充分に残していたのだ。

反抗する意志さえなくなった男性たちに代わり、

女性たちが近付き、縛られて丸くなっている支配者第一号を見下ろす。

その目は冷たく、ゴミを見るような目だった。

女性たちは蹴るわ殴るわ、今までの扱い、そして犠牲になった人たちの恨みを晴らすように大暴れしていた。



♦︎

もう一人の支配者第二号はというと、シェルがヒョイっと首根っこを掴んでいた。


支配者第二号「おい貴様!何をする無礼者!!

俺を誰だと思っているんだ!手を離せ!離せと言っているだろうが!!はなっ・・・」


シェルは崖の上まで歩き、そのまま言われた通りパッと手を離した。


支配者第二号「離さないでえぇ!!」


絶叫しながら崖の下へ落ちていき、

下では、ワニが口を開けて待っていた。


パクッ!!!


コキアはその光景を見ながら、平然と牛乳を飲んでいる。


メリサ「コキア君、よくあんなの見ながら牛乳飲めるね」

コキア「ワニってああやって人間食べるんですね」

フローナ「うーん、デジャヴ」


支配者たちが倒れた瞬間から、街は一気に解放された。

街の人たちは貧しいながらも食料をかき集めて宴を開き、シェルたちを英雄として祝った。


シェルたちはそんな人たちにお金を置き、そっと旅立っていった。



♦︎

独裁者に支配されていた街のすぐ近くにある街。


この国には先程の街のように奴隷制度はない。

性犯罪もほとんど起きず、平和な街だった。

ある、一部を除いては。


この街の平和の裏には恐ろしい秘密があった。


性犯罪や浮気をした者は重罪となり、人権が一切剥奪される。

公開処刑。

この国の王女によって男女問わず壇場で性器を

切り取られる。

錆びたハサミを使用する上に、当然麻酔はない。

壇場から聞こえる断末魔と血しぶき。

つまりこれは、見せしめだった。


その後、腹を空かせた猛獣の檻の中に投げ込まれる。

飢えた猛獣は血の匂いに釣られ、あっという間に骨まで食べ尽くしてしまう。

人間の体は栄養価が高いと、古くは犯罪者達を動物のエサとして、生け贄として利用していたという。

そういった噂がこの街ではあるようだ。


処刑台の近くに置いてある石碑にそう記してあるのだ。


レン「ぞっとしますね」

シェル「聞いただけで怖い」

コキア「処刑方法の中でも痛みが上位らしいですね。

ほとんどの人がショック死するみたいです」

 

コキアは先程、この街の処刑方法について詳しくおじいさんから話を聞いていた。

 

シェル「でしょうね!!」

メリサ「コキア君は相変わらず冷静だねぇ・・・」

レン「俺でさえ血の気が引きましたよ」


フローナ「そう?やらなきゃいいだけじゃない」

コキア「自業自得ですね」

(こくこく)


シェル「まぁ、一回見ちゃったら一生トラウマものだろうし誰もやろうとは思わんだろうな」


後頭部を掻きながら言うシェルに

フローナはにっこり笑って、シェルの袖を引っ張った。


フローナ「シェルはそんなの見なくたって浮気なんてしないよね?」(にこー)

シェル「え?」

フローナ「し・な・い・よ・ね?」(にこー)

シェル「しないです。命懸けても、はい」


メリサ「フローナちゃんの笑顔が怖い」

レン「隊長、お願いですから浮気しないで下さいね。」


コキア「大丈夫です。その時は僕が執行人になってあげますから。」

シェル「そんな目で見ないでくれコキア!怖ぇよ!!」

 

レン「良かったですね隊長」

シェル「何が!?」

 

レン「まぁまぁ。コキアさんはあなたが浮気をしたら執行人になると言っているだけですから。

あなたが浮気しなければいい話でしょう。」


シェル「しないってば!頼むから二人して剣ギラつかせるの辞めて!」

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