37話 キリュウ
夏の日差しが重くのしかかる午後。
半妖のシェルは暑さに負けて、地面にへたり込んでいた。
シェル「・・・あっつ・・・むり・・・」
その瞬間、
疾風のような影がシェルめがけて飛び込んできた。
ザッ!!!
キリュウ「・・・」
レンとコキアが同時に剣を抜き、
その刃を交差させてシェルを守る。
キィィィン!!!
レン「っ!!」
コキア「!」
激しい金属音が森に響いた。
レン「何者です、あなたは!!」
シェル「んぇ?あ!キリュウ!!」
シェルは相手を見た瞬間、一瞬元気になる。
レン「え、隊長知り合いなんですか!?」
攻撃してきた赤髪の青年は、スッと刀を引き、鞘に収めた。
キリュウ「なかなかいい腕だな」
フローナ「敵じゃないの・・・ホッ・・」
キリュウはへたり込むシェルをじとっと見下ろし、ため息をついた。
キリュウ「はぁ・・・相変わらず暑さに弱いみたいだな。同じ半妖とは思えねぇ。だっせえな。」
シェル「冬場・・・布団にくるまって出てこねぇお前に言われたくねーよ・・・」
キリュウ「何故それを知ってる」
メリサ「えーと、お二人さんはどういう仲?」
シェル「友達ー」
キリュウ「俺はお前と友達になった覚えはねぇ」
レン「と、申しておりますが?」
シェルは弱々しくも無邪気ににぱっと笑う。
シェル「じゃー、ライバルだ!!」
キリュウ「勝手にライバルにすんな。」
シェル「えー、でも俺はキリュウのこと好きだぜ?」
一点の曇りもない瞳。
その光を正面から受けたキリュウは、一瞬だけ目をそらした。
キリュウ「勝手に言ってろ」
シェル「うん!」
メリサ「なんか大丈夫そうだねぇ」
レン「ええ、まぁ、隊長ですから」
コキア(この人強い)




