35話 シェル犬化
ある日の夕方。
和室の戸を開けた瞬間、メリサが深刻そうな顔をして言った。
メリサ「隊長が犬になった」(中身だけ)」
フローナ「えっ?」
聞き終わるより先に、和室からシェルが飛び出して来た。
シェル「わんわん!!」
畳の上を四足で全力疾走してくる隊長。
顔はいつも通りイケメンだが、舌をベーっと出し、目がうるうるとしていて完全に犬のそれだった。
レン「これはキツイな」
レンの鋭い一言。
メリサ「まぁまぁレン君、隊長は敵に術をかけられてるだけなんだからさ」
コキア「普段と変わらないような」
ポツリとコキアが呟く。
シェルが四足歩行のままフローナに近付き、しゃがむと頬を靴下の部分、足首に摺り寄せた。
そんなシェルを見た瞬間フローナは・・・。
フローナ「・・・お手!ちんちん!」
シェル「わん!わん!」
シェルは交互に自分の手をフローナの手に乗せた。
尖った耳が上下にピコンピコン動いている。
どうやら遊んでもらえてると思って嬉しいらしい。
フローナ「よしよし、いい子いい子」
自分の三倍近くも大きいシェルの頭をフローナが撫でる。
メリサ「順応早っ!!」
レンがくいっと人差し指でメガネを上げる。
レン「あれを0.5秒で受け入れるとは・・・」
二人は今だにキャッキャキャッキャ遊んでいる。
メリサ「何だろう、フローナちゃんの底知れぬ懐の広さを垣間見た気がする」




