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9話 レンは優しい?

休憩中の焚き火のそば。

湯気の立つカップを手にしながら、フローナがぽつりと言った。


フローナ「レンさんって女の人に優しいんですね」


突然の言葉に、レンは瞬きを一つ。


レン「?俺は優しくないですよ」


レンが透明なメガネ越しに目をぱちくりする。

その隣でシェルがのび〜っと体を伸ばす。


シェル「そういや、レンが女の子に優しくしたのなんて見た事ないな」


フローナ「え、でも・・・」


メリサ「そうそう。女の子に話しかけられても無愛想だし、まして相手を気にかけるなんてないさね」


フローナは首を傾げる。


フローナ「そ、そうなんですか?私にはそうは見えないですけど」


シェル「あー、レンはな、心を許した相手には懐くんだよ」


レン「懐くって、犬じゃないんですから・・・」


シェル「警戒心の強い犬みたいなもんじゃん」


レン「それを言うならあなたの方が犬でしょう」


シェル「えー、そうか?」


フローナは二人を見比べてから、ふわっと笑った。


フローナ「そうねぇ、シェルはゴールデンレトリバー、レンさんはドーベルマンって感じ」


メリサ「わ、それめちゃ分かる!」


レン「フローナさんにとって俺も犬みたいな感覚なんですか・・・」


シェルは腕を組んでうんうんと頷き、


シェル「まぁ、俺はフローナが飼い主ならアリだな」


レン「あんたそれ本気で言ってんですか」


シェル「だってさー、そしたら頭撫でてもらったり、散歩連れてってもらったり、ご飯の用意もしてくれるんだぜ? めちゃいいじゃん!」


フローナ「え? シェルって撫でなでされたかったの?」

シェル「うん」


フローナ(うんって・・・それなんか可愛いんですけど!?)


コキア「いつもの隊長と変わらないような」


シェル「え」


メリサ「確かに・・・頭撫でなではともかく、僕ら散歩は毎日一緒にしてるようなもんだし、レン君にご飯の用意もしてもらってるしねぇ」


シェル「はっ・・・って事はひょっとして俺の飼い主はレン!?」


レン「勝手に俺を飼い主にしないで下さい」


メリサ「何か自己完結したみたいだね」


フローナ「うーん(笑)」

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