詩小説へのはるかな道 第24話 土鍋の午後
原詩: あたたかな灯りをともした部屋 ー 耐えるときの詩
誰かの声が
冷たい風に乗って
荒々しくあなたをたたく
けれどその風は
あなたの心に届かない
窓を閉じて
あたたかな灯りをともした部屋にいるから
あなたに投げつけられた
とげのある言葉が
あなたの周りに散らばる
けれどわざわざ拾わなくてもいい
拾ってとげに傷つくのは
愚かなことだから
痛みを選ばず
あたたかさを選ぶ
それは弱さじゃなく
静かな強さ
格好良く傷つく必要はない
格好悪くても傷つかない
窓を閉じて
あたたかな灯りをともした部屋にいる
今はそんな時だ
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詩小説:土鍋の午後
外では風が
洗濯物を吹き飛ばし
誰かの怒鳴り声が
電線を震わせている
けれどこの部屋では
土鍋の中で
大根が静かに煮えている
湯気が窓を曇らせ
猫は土鍋のそばで
丸くなって眠っている
誰かのとげのある言葉が
扉の隙間から入りかけても
味噌の香りが
そっと押し返す
今は
煮える音を聞いていればいい
焦げないように
火を弱めて
心を強めて
外に出るのは
風がやんでからでいい
そのときは
土鍋の残りを
誰かに分けてあげよう
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連作短歌:土鍋の午後
(私の詩小説をもとにAI君が詠んだ連作短歌です)
風に揺れ
洗濯物は空を舞い
怒声は電線
震わせてゆく
土鍋には
静かに煮える大根よ
湯気に曇りて
窓はやわらぐ
猫は眠れる
扉より
とげある言葉入りかけて
味噌の香りが
そっと押し返す
午後のぬくもり
煮える音
焦げぬよう火を弱めつつ
心を強め
耳を澄ませて
ひとときを守る
風やみて
外へ出るとき分け与えん
土鍋の残り
誰かの心に
あたたかさ添え
詩をショートショートにする試みです。
詩小説と呼ぶことにしました。
その詩小説をもとに詠んでくれたAI君の連作短歌も載せます。




