表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガロワのソラの下で  作者: 友枝 哲
59/66

∫ 8-4.繰り返される再会 dt

まえがきは割愛させていただきます。

毎日0~1時の間に次話投稿いたします。


 

 グレイは上司に嘘の報告をしていた。


「その通りです。今、突然我々ペンタゴンが攻撃を受け始めました。


 攻撃元を特定中ですが、もしかすると、あのアンドロイドの一件と関係があるかもしれません。」


「御託はいい。つべこべ言わず早く犯人を探せ!


 お前はこのペンタゴンすら守れんのか!この無能が!!早く何とかしろっ!!」


「はっ!」


 何度も自ら作ったプログラムに自爆コマンドを投げているが、一向に効いていなかった。


 画面に映っている事故映像にグレイは血の気が引いていった。


 そこで、グレイは被害がどのくらい広がっているのかを恐る恐る調べてみた。


 自分でこのウイルスがどのくらい広まったか分かるようにしていた。


 すでにウイルスは世界地図全体に広がっていた。


 特に人口密集地は濃い赤色で示されていた。


 グレイの手が恐怖で震えていた。





 浜辺が叫んだ。


「できました。じゃあ!」


 手を振り上げた。


「おねがいしまーーーーーす!!!」


 浜辺がリターンキーを押した。


(The Lance of Cassius Start!!)


 ワクチンは移動した先のデバイスのウイルスを駆逐し、更にすぐに近接通信で連結できるデバイスを探索、連結し、ワクチンをコピーしていった。


 正常なデバイスの数が2の累乗の速さで増殖していく。


 感染状態が分かる画面では、最初中央の方で少しずつ赤色が緑色に変わっていった。だが、少数であったため、ほぼ表示が変わっていないようであった。


「ん?ちゃんと実行してる?変わんないよ。」


 小林が言った。


「大丈夫です。もうすぐ累乗爆発します。もうすぐです!」


 すると、大学内ワークステーション内の赤色部分が目に見えて緑色に変化してきた。


 目に見えてきたと思うやいなや、一気に大学内ワークステーション全域に広がり、さらに学外の赤い侵食部分でさえも一気に緑色に変わっていった。


「すごい!成功ですよ!!」


「やったーー!」


 浜辺のワクチンは世界中に広まっていき、ありとあらゆるところに入り込んでいたウイルスを駆除していった。


 レイは安堵したが、すぐに創造した世界が壊れているのではないかと不安に駆られた。


 みんながViewerで地球を見た。


 金形がみんなに声をかけようとしたが、すでにレイ、ミライ、小林はViewerで何かを探していた。


 躊躇している間に金形のBCDに突然メッセージが入った。


 このメッセージの送り主は浜辺だった。


「今送ったViewerをインストールしてください。」


 浜辺は金形をじっと見ていた。


 金形はなぜ自分のアカウントが分かったのか聞きたかったが、浜辺の目がそれをさせなかった。


 金形は恐る恐るViewerをBCDにインストールしていた。


「やっぱりか。」


 ある光景を見たレイが言葉を漏らした。


「あの『時空の暴走』はこれだったんだ。。。」


 みんなが自分たちが見ていた画面からレイの画面に視線を移した。


 とある家での葬儀の様子であった。


 家の前には、


(故 柊蓮 柊ユイ儀 告別式)


 と書かれた看板が立っていた。


 それを見て、浜辺が信じられない様子で言った。


「そんなはず。。。だって、時間のパラメータは16箇所が一致しないと動かないのに。


 不一致の時は時間が止まるようにしているのに。。。何でこんなことが。」


「きっと、ハッキングで書き込まれたデタラメな値が偶然一致したんだと思います。一瞬。だけど、その一瞬がこの世界の一週間ほどに。」


 レイはミライのことも気になって、ミライの方を見た。


「ミライさんのお父さんも。。。」


「うん。あたしの方はもう葬儀も終わってるかな。


 お母さんもいたから、あたしの方は大丈夫。


 それより、レイ君、入って会ってあげたら。」


 ミライの目には微かに涙が浮かんでいた。


 レイにはミライの心の痛みが伝わってきた。


 父親との思い出が流れ込んできた。


 それは深く重いものだった。


 レイはミライの本当の姿を見た気がした。


「ミライさん、もし良かったら一緒に行ってくれないかな。」


 レイはミライを一人にしておきたくなかった。


 ミライはレイのその気持ちを感じた。


「うん。いいよ。一緒に行こう。」


「申し訳ないんですが、お二人はここで待っていていただけますか。


 また、何かあるといけないので。」


「はい。分かりました。気をつけて。」


 レイとミライは小林と浜辺の方を見て、VRにログインした。


 浜辺は金形に言った。


「金形さんもそのインストールしたViewerのVR機能で中を見てみてください。」


「我々が何をしていたのかを確認してほしいんです。」


 金形は浜辺と小林の眼差しに圧倒されたというのもあったが、金形自身もこの数時間で見たり聞いたりしたことに対して、何かちゃんと自分が納得できる答えを見つけなければという思いが膨らんでいるのを感じていた。


「分かりました。見させていただきます。」





 レイとミライは柊家の前に立っていた。


 二人の服は派手ではなかったが、葬儀用ではなかったため、周囲の人の中には怪訝けげんそうな顔をする人もいたが、レイはそんなことは全く気にならなかった。


 家の前にはかなりの報道陣がいた。


 後に『時空の暴走』と呼ばれることとなるこの現象が、レイの父親によるものかもしれないとの噂でもちきりだったからだ。


 レイとミライはゆっくりと家の中に入っていった。


 家の中で大人たちの会話がレイに聞こえてきた。


「誰が引き取るのよ。今もう決めないといけないんでしょ?」


「律、そりゃお前のところだろ。蓮はお前の弟じゃないか。」


「そんな急に言われたって、うちは無理だよ。


 あいつのことでうちだって迷惑被ってんだから。これ以上は無理無理。」


 レイには聞き覚えがあった。


 親族の大人たちが少年レイをどうするかで揉めている話だった。


 レイは歩みを止めて、横目でその大人たちを睨んだ。


 ミライは立ち止まったレイの腕を引っぱった。


 レイは大人たちを睨みながらも、ミライの力には拒むことなく、家の奥に歩を進めた。


 奥の部屋では二人の遺影と棺があり、その周囲に花が飾られていた。


 その横に小さい少年が呆然と座っていた。


 少年の目は赤く、腫れていた。


 レイは棺の前で焼香をあげ、小さい声で言った。


「父さん、母さん、ごめん。」


 ミライも一緒に焼香をあげた。


 そして、二人は少年の前に立った。


 放心状態であった少年レイはその大人二人に気がついた。


 レイは少年レイをじっと見つめ、ゆっくり優しく語りかけた。


「事故を防ごうとしたんだけど、防げなかった。ごめん。許してほしい。」


 レイは涙を堪えながら続けた。


「これからも君にはいろいろ大変なことが起こるだろう。


 でもね。心配しなくていい。


 君にはいつか素晴らしい仲間ができるんだ。


 素晴らしい夢も待ってる。


 だから乗り越えられる。」


 レイは少年を強く抱き締めた。


「君は一人じゃない。ぼくたちは、また必ず会える。


 君は一人じゃない。それだけは忘れないでほしい。」


 レイは少年レイの肩を持って、少しの間、じっと目を見つめ、そして、肩から手を離した。


 ミライも少年レイを引き寄せて、ぎゅっと抱き締めた。


 いろんな言葉をかけようとした。


 だが、それが未来への影響を及ぼすかもしれないと思うとかけることができなかった。


 ただぎゅっと抱き締めた。そして、小さい声で語りかけた。


「あなたにはあたしがついてる。必ずまた会えるから。それまで、それまで頑張って。」


 少年レイはなぜか少し心が楽になったのを感じた。そして、目に力が少し戻った。





 金形は柊家の前に立っていた。


 まるで現実の世界にいるような感覚だった。


 2075年にあるVRゲームでもかなりの現実感を感じられたが、どこか一瞬やはりVRであることを感じるところがあった。


 だが、これは本当にRealな世界であった。


 金形は手を足を身体を隅々まで見回した。


 その素振りが明らかに周囲から浮いていた。


 金形は、それに気がつき、身体を確認することを止めた。


 金形は身体を見る代わりに周囲を見渡した。


 その時、ふと報道陣が目に入った。


 報道レポーターとその背景の家の構図に既視感があった。


(ん?このニュース、なんか見たことがある。


 何だ、これは!?


 本当にこれが宇宙を再現したもの、ということなのか?


 今の世界と全く同じものを作ったということ?だから、同じことが起こっているのか?)


 周囲の人を見て、ふと考える。


(その話が本当ならこの中にいる人たちはあの子たちが創った計算によって成り立っているのか?こんな世界が全部計算で。。。)


 金形には今までの事件の経験からアンドロイドに魂を感じることがあった。


 人を傷付けてはいけないという命令を消去され、特定の人物を憎むことをインプットされたアンドロイドがその人物を死に至らしめた後も、その死体に対して更に惨い仕打ちをしていたり、


 逆に長年仕えてきた主人がなくなり、その家族の世話を続けた結果、それまで主人を想い、家事全般を高いレベルでこなしていたが、他の家族の世話になった途端に、それまでのレベルを維持できず、家族から粗末に扱われ、遂には破壊されそうになり、


 抵抗した際に、その家族に怪我をさせた事例など、まるで情が移っていたと思われるようなことを多々目撃していた。


 そういう事件を目撃する度に、そして、人の憐れな部分を見る度に金形はあることを考えていた。


 そして、今まさにそれと同じことを考えざるを得なかった。


(人間とは何なのか?AIとは何なのか?


 AIと人の境は何なのか?


 何のために生きているのか?


  その一つの答えがここにはあるのではないか?


 ここには人がいる。アンドロイドではない、人がだ。


 だが、それは全て計算によってできている。


 プログラムによって動いている。


 では、我々の世界もそうやってできているのか。


 確かにそういう説はいつも存在している。ただ、確証がない。


 ただの空想でしかない。


 しかし、この世界はどうだ。


 これは空想ではない。


 今、ダイブしている世界は計算によって、人が創られている。。。)


 金形は納得するために入り込んだが、逆に頭の中が混乱してしまった。


 どっちが現実で、どっちが仮想なのか。


 それほどまでに、この仮想現実世界はRealだった。


 金形が考えているところにレイとミライが家の中に入っていくのが見えた。


 この世界に知っている人物がいて、心がほっとした。


 金形はレイとミライの後を追った。というより、追わざるを得なかった。


 金形は家の中で柊蓮、柊ユイの遺影を見た時、更なる既視感を覚えた。


(間違いない。これはあの『時空の暴走』の時に容疑者となっていた柊博士夫婦だ。)


 そして、レイと少年レイとのやりとりを見ていた。


(ということは、あの少年、柊レイ本人ではないのか!)


 金形にとってはすでに、柊レイが二人いるということだけが現実ではないと思える唯一の事例となっていた。


 逆に言えば、それがなければ脳がもうこれは現実でしかないと判断してしまうほどであった。





 そして、3人がVRからログアウトしてきた。


「どうでしたか?」


 小林が戻ってきたレイとミライに言葉をかけた。


 レイは今までの想いを少し語った。


「実はこれまで、あの葬儀の時に会った大人たちの夢を何度も何度も見てたんです。


 悲しい夢なんですけど、最後に大人の人に励まされて目が覚める。


 ぼくはあの時の記憶があるから、生きてこれた。


 皆さんのおかげだったんだって気がつきました。ありがとうございました。」


 レイはミライを見て、改めて言った。


「ありがとう。」


「きっとあの子も、ここまで来られるよね?」


「うん。きっと。」


 小林が金形に言った。


「どうでしたか?我々がやってきた内容、ご覧いただけましたか?」


 金形はかなり汗をかいていた。


 元いた部屋を見て、ようやく心が少し落ち着いた。


 なんだか試されている気がして、ここまで揺さぶられたことを、あまり口にしたくなかった。


 だから金形はあえてこのソフトウエアの世界の存在とその影響についてだけを言葉にした。


「ただのソフトウエア。。。ではないことはよく分かりました。


 こうやって仮想空間で動いている世界がありながらも、今こちらの世界には何の問題も起こってないことを見ると、あなたたちのあの世界がこちらに影響していないことも理解はしました。」


 浜辺が少しほっとした顔をした。


「ですが、余剰分を使っているとはいえ、全世界へのハッキングは重大な犯罪行為です。これは許されることではない。」


 柊レイは金形を見て言った。


「分かっています。この世界は。。。消去します。」


 金形は4人を見た。


 BCDに映される心理分析表示が邪魔で消した。


 じっと4人を見た後、質問した。


「本当に、本当に、、、この世界に影響はしない。そう断言できますか。」


 金形はそう聞けば、自分の『思い』への逃げ道ができる。そう思って聞いた。


 その問いにレイが真摯に答えた。


「影響という意味では、すでに『アンドロイドの憂鬱』とか、出てはいます。


 ですが、直接的に問題は起きていないです。


 今までも、そしてきっとこれからも。可能性が全くないわけではありませんが。。。」


 金形にすると、少し残念な答えだった。


『逃げ道』は自分で用意するしかないか、と心に言い聞かせた。


「やっぱりあなたは科学者だ。普通こんな状況でなら『断言します。』というものですよ。」


「そんなの言えるわけないでしょ!?世の中に100%なものなんて何もないんだから。」


「ははっ、それも科学的ですね。」


 金形はその逃げ道がとんでもない犯罪への荷担であることも理解していた。


 この数時間のあまりにショッキングな出来事で頭がおかしくなったのかと自分でも思っていた。


 金形はしばらく上を向き、ため息をついて、再び4人を見た。


「私は警察失格のようです。捜査二課の課員としては特にね。」


 金形は目を瞑り、また軽くため息をついて再び4人を見た。


「分かりました。帰って酒でも飲んで忘れます。」


 金形はレイを見た。


「その世界はあなたがたで守ってやってください。私はあなたがその世界で何をやろうとしているのか、これから見てみたくなりました。」


 4人は金形の意外な言葉に目を丸くした。


 そして、4人が4人とも金形をじっと見つめた。


 金形は4人の視線を感じて、照れ隠しで斜め上を見た。


「じゃあ、私はこれで。」


 そういうと金形はクルっと回れ右をした。


 二歩歩いた後、振り返り、金形が付け加えた。


「あー、そうでした。忘れてました。さっきのイニシャル入りのプログラム送ってもらえますか。」


 浜辺をニヤリ顔で見ながら言う。


「アドレス分かりますよね?私のアドレス。グレイ・ロズウェルのプログラムを、そこに。


 これだけの大惨事を引き起こしたんだ。犯人を捕まえないと。ですよね?」


「分かりました。ありがとうございます。」


 浜辺が金形にお礼を言った。





 グレイは手を震えさせながらウイルスの配置図を見ていた。


 何もできない、文字通り手も足も出ない状況に無力感を感じていた。


 局長が椅子からずれ落ちて倒れているアンドロイドを蹴り、Humanチームのメンバーに罵声を浴びせていた。


 そして、グレイの横に来て、グレイにも罵声を浴びせだした。


 しかし、グレイはあまりのことの大きさにその声すら聞こえなくなってきていた。


 交通事故、医療事故、航空機墜落、衛星落下や工場などではアンドロイド活動停止による操業中断まで、人命的にも経済的にもとんでもない被害が出ていた。


 その重圧でグレイの精神はすでに崩壊しつつあった。


 そして、現実逃避のため神経回路遮断=気絶直前の状態にまで追い込まれていた。


 周囲の音はどんどん小さくなり、目の前はどんどん暗く閉ざされようとしていた。


(おれは今まで何をやってきたんだ。今までおれには出来なかったことなど何もないというのに!どんなやつにも負けたことがないというのに!!なぜこんなことが。。なぜ。なぜ。)


 すると目の前に表彰台の横に立つ浜辺小春が、学会の舞台に立ち、誇らしげに話している夏目ミライや柊レイが映った。


(あいつらだ。あいつらのせいだ!!


 おれの人生に汚点を残したあいつらが全部悪いんだ!)


 その時、グレイの閉じていく視界の中心にあったウイルスの配置図に変化が現れた。


 配置図の端っこで一部赤い点が消えたのだった。


 グレイは目を疑った。


 しかし、その消えた赤い点はやがて円形となり、広がっていく。


 真っ暗になりかけていた視界が戻っていき、周囲の音も元の音量を取り戻していった。


 うるさく騒ぐ局長が目の前に入ってきた。


 グレイは叫びながらその上司を押し退けた。


「邪魔だ。どけ!」


 グレイは局長を押し退け、円が広がっていく世界地図の画像を慌てて保存した。


 配置図の端に現れた円形は瞬く間に世界全体に広がっていき、配布したウイルスが世界から完全に姿を消した。


「おれのプログラムが消えた。。。」


 押し倒された局長がグレイの胸ぐらを掴んだ。


「何をやってるんだ!はやくこの状況を。。。」


 と言いながら、周囲を見るとアンドロイドが再起動を始めていた。


 一部はすでにシステム領域までメモリが書き換えられてしまい、起動できない状況になっていたが、起動できたアンドロイドから順に起き上がって、席に戻っていった。


 そして、端末は全て再起動が行われており、こちらも正常化されていた。


 局長がその状況を見回しながら言った。


「何をしたんだ、お前?状況は?システムは回復したのか?」


 その時、グレイは思い付いた。


「局長。私がワクチンを使い、世界に蔓延るウイルスを駆除しました。」


「ウイルス?やはり君の言うように攻撃を受けていたということか?」


「はい。間違いありません。」


 グレイはニヤリとした。


「そして、犯人はこの画像から場所を特定できるでしょう。」


 グレイは先ほど取得した画像を表示した。


「これはなんだ?」


 局長の質問にグレイが答える。


「これは私の放ったワクチンの拡散図です。


 このまだ赤くなっていない部分がワクチンを強力に拒否し続けていた部分。


 つまりこの中心地に犯人がいる可能性があります。」


 そう言いながら、グレイはコマンドを打ち込み、衛星地図と先ほど取得した自分のプログラムの配置地図をマッチさせた。


 更に、コマンドを打ち込み、プログラム配置図の少し歪んだ円形に対して真円近似し、その真円から内接正三角形を表示させた。


 最後に内接正三角形の各辺の中点から法線が引かれた。


 その三本の法線は円の中心、ほぼ一点で交わった。


 グレイは局長に説明しながらその交点を拡大した。


「この円から推測される犯人の場所、それはここです。」


 拡大された衛星地図には第二新東京工科大学の校舎が映し出されていた。


 グレイは咄嗟に感じ取った。誰がこのウイルスを駆除したのかを。


 グレイは付け加えた。


「この大学には私に勝るとも劣らないほどのプログラム能力を持つ浜辺小春という人物、そして、秀でた数学の能力を持つ夏目ミライという人物、そして物理でも名の知れた柊レイという人物がいます。」


 グレイは微塵の躊躇もなく言い放った。


「その者たちこそがこの事件の首謀者だ。間違いない!」


<次回予告>

浜辺のワクチンプログラムにより世界は破滅を免れた。

時空の暴走の正体と柊レイたちが仮想宇宙に抱く想いを知った金形。

金形はこの件の調査をそっと閉じようとした。

だが、グレイ・ロズウェルは自身の失敗を4人に擦り付けた。

追われることとなる4人。警察や軍隊までもが4人を捕獲しようとする。

4人はどうなってしまうのか?

次回より最終章「ガロワのソラの下で」突入。

次話サブタイトル「容疑者捕捉指令発令」。

次回もサービス、サービスぅ!!


<あとがき>

以前2023年5月に投稿した際には、グレイはプログラムだけの天才でした。

ですが、今回は数学においても物理においても天才ということにしています。ですが、それぞれの分野で実は浜辺やミライ、レイとぶつかり、負けた過去を持っています。その内容も要所要所に散りばめています。そして、グレイは国を守るという大義を言い訳にその道から退いており、それが実は心残りになっているのです。一応、その心情もちょっと書いたつもりです。気になる方は読み返してみてください。

さて、本編ですが、アメリカ国防総省ではグレイの策略により、主人公たちが犯人に仕立て上げられてしまいました。この先、どうなってしまうのでしょうか。

次回、9章「ガロワのソラの下で」突入。

次話サブタイトル「容疑者捕捉指令発令」。乞うご期待!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
 こまかい所ですが、ワクチンって、本来ウィルスを消すようなものじゃなかったような……。  だったら、ウィルスを消すものは何だろうと言われると思いつかないので、消去法的にワクチンって呼んだ方が分かりやす…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ