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ガロワのソラの下で  作者: 友枝 哲
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〜第8章 時空の暴走〜 ∫ 8-1.再び交わされる約束 dt

まえがきは割愛させていただきます。

毎日0~1時の間に次話投稿いたします。


 アメリカ国防総省の中では昼夜問わず『アンドロイドの憂鬱』に関して調査が行われていた。


 人間たちはこの奇妙な現象への不安感とアンドロイドやAIによる職の剥奪への怒りが募り、いよいよ大きな暴動、アンドロイドの破壊行為が相次ぎ発生し始めていた。


 国防総省内のデジタル防疫チームはHumanチームとアンドロイドAIチーム両方がグレイの指揮下に置かれ、任務を遂行していたが、まだ何も手がかりすら見つけられていなかった。


 グレイは必死にあるプログラムをコーディングしていた。


 そこにグレイの上司、ホワイト・R・マーセナスがやって来た。前回と同様に、多くのSPも一緒に入ってきた。


 グレイは慌てて、立ち上がり敬礼をする。


 回りのHumanチームメンバーも同様に立ち上がり、グレイのところに集まろうとした。


 だが、局長は手を軽く上げ、周囲のメンバーに向けて言った。


「いや、集まらずとも良い。それよりも作業を優先したまえ。」


 局長はグレイの前に来て話し始めた。


「グレイ君、先ほどのニュースを見たかね?


 我々の国ではないが、また暴動が起こってしまった。


 これで今週に入って四件目だ。分かっているのかね?」


「はい。最善は尽くしてはいるのですが。」


「最善?君は何か勘違いをしているようだ。


 私が望んでいるのは、君が最善を尽くすことではない。


 明確な結果を出すこと、なんだよ。分かっているね?」


 局長はグレイに顔を近づけ、小さい声で付け加えた。


「もう一刻の猶予もない。


 もし今日の十二時までに突き止められない場合、全員クビだ。


 アンドロイドたちはスクラップ行き。


 覚悟して望むんだ。」


 局長は元の位置に姿勢を戻した。


 グレイが反論する。


「お言葉ですが、実際にアンドロイドが人類を転覆させるとは思えません。


 そして、それは有り得ないことです。


 いくら探してもプログラムにそのような命令がないのです。」


「では、なぜアンドロイドを利用した犯罪が生まれる?


 誰かが植え付けているのだろう。


 AIなんてもんは教師データ次第で善にも悪にもなりえる。


 お前は今までの犯罪から何を学んでいる?


 今回もその一例ではないのか?


 お前たちはそれを発見できていないだけではないのか?」


「ですが、それらの犯罪は全てメモリにプログラムが刻まれています。


 明確な原因があり、その結果です。


 今のものにはそれがありません。」


「じゃあ、なぜアンドロイドはなにかを考えている素振りを見せる?」


「。。。」


 グレイは何も言えなかった。


「結局、おまえたちが見つけられてないだけじゃないのか?


 つべこべ言わずにさっさと調査をしろ!」


 局長はグレイを睨んで言った。


「やはり君は勘違いをしているようだ。


 自分は優秀で、誰にも負けることはない、だからクビにはならない。そう思っているんだろう?


 もし、そう思っているなら、十時間後、君は後悔することになる。


 これは脅しではないぞ。


 明日から私をゆっくり眠らせてくれ。グレイ君。頼んだよ。」


 そう言うと局長はその部屋を出ていった。SPもこぞって退出した。


 回りのHumanチームメンバーは心配そうにグレイを見ていた。


 グレイは檄を飛ばした。


「何を見ている!そんな暇があったら、はやく作業を進めろ!」


 グレイは自分の席に座り、歯を食い縛り、拳を握りしめた。


「あいつらのはずなんだ!あいつらの!!」


 そう言うと、拳で机を叩いた。


 周囲がその音に驚いたが、引き続き作業を続けた。


 グレイも赤くなった拳をキーボードに乗せ、コーディングを続けた。





 四人は、時間の経過スピードを自分たちの世界と同じにして、発見した惑星をViewerで確認していた。


 小林が感嘆の声をあげた。


「こんなことが。。。」


 現実世界でのアメリカ、ニューヨークタイムズスクエアがある場所を見ていた。


 街の風景、文字、広告の数々。


 何から何まで現実世界と同じであった。


 広告などの文字をみて小林が言った。


「読める。読めるぞ。」


 人々が街を歩いていた。


 まさにこの世界の人類と全く同じだった。


 ただ、人の耳の裏にはBCDがなく、変わりにメガネのようなデバイスを付けていた。


 浜辺も驚きの声を上げた。


「これって本当に柊先生の宇宙が私たちの宇宙と全く同じってことなんでしょうか?」


 ミライが路上販売の店に視点を近づけた。そして、電子ペーパーの新聞に書いている日時を見た。(この時代でもダウンロードが主だったが、この頃でもまだ物理的媒体で読んでいる人がいた。)


 ミライがそこに書かれている日付を伝える。


「2066年11月6日。。。」


 浜辺と小林が反応した。


「ということは、私は15才ですね。」


「僕は23です。」


 ミライが続けて言った。


「ちょっと、この記事ってレイ君のお父さんが信号をキャッチした内容じゃない?」


 レイも覚えていた。


「うん。この2日前だ。」


 レイははっきりと日付を覚えていた。それはレイの誕生日でもあった。


 そして、その後の事故のことも。


 ミライが言った。


「とにかく日本見てみようよ。レイ君はこの時、どこに住んでた?」


「あっ、えーと、山梨県北杜市大泉。父さんと母さんが野辺山天文台で働いてたから。」


「ちょっと見てみる。」


 そう言うと、ミライはViewerの視点を日本に移動させた。


 間違いなくそこには日本の形をした島が存在していた。


 そして、山梨県あたりに視点を移し、さらに八ヶ岳の近くに移す。


 レイがミライの横でViewerを見つつ、画面内の一点を指差した。


「この辺りだよ。」


 そこに近寄っていくと確かに天文台らしきものがあった。


 4人はその建物の近くに(野辺山宇宙電波観測所)の標識を発見した。


 建屋の前のロータリーに時計があった。時間は夜の九時を過ぎた頃だった。


 レイははっと思い出した。そして、みんなに言った。


「ここにはいない。八幡神社の近くだ。ちょっとぼくので見るよ。」


「うん。」


 そう言うと、レイは住所を入力し、画面をみんなに共有した。


 そして、レイはカメラを移動させた。


 レイは記憶に頼って、観測所から自宅までの道を移動した。


 レイはその道を見て、父親や母親との思い出が頭の中でフラッシュバックされた。


 通っていた小学校の近くにある小さい社のある神社にカメラを移動させた。


 社の前に何本かの大きな木が立っており、その奥の小さい石垣に一人の大人と一人の子供が座って空を見ながら話しているのが見えた。


「いた!小さい頃のぼくと父さんだ。」


「幼少期の柊先生、興味が湧きますね。入ってみましょうか。」


 小林の提案により、4人はVRでログインした。


 入ってすぐに浜辺のBCDにメッセージが入り、受信音が鳴り響いた。


 浜辺は最近4人での連絡が速く取れるように、メッセージ受信音が出る設定としていたのだった。


 浜辺は慌てて音を消した。


 それでも、とても静かな場所だったので、音が鳴り響き、父親とレイはいぶかしげに社の方を見ていた。


 だが、4人は(Invisible)状態であったので、全く見えておらず、レイの父親は何かを操作しているようであった。そして、また話を始めた。


 浜辺は胸を撫で下ろした。


 2人の会話が聞こえる。


 レイの父親が言った。


「父さんな。この信号を発見した時、初めて『孤独』の糸が、ほんの僅かだけど、ほどけたような気がしたんだ。


 どこか、遠いどこかで、同じようなことを考えて生きている何かがいるんだって。


 もしかして、この信号を解読すれば、これを送った人と分かりあえるのかもしれないって。


『孤独』の糸がほどけるのかもしれないってね。


 もっとすごい内容なら、もしかしたら生きている意味を知ることができるかもしれない。」


 少年のレイはきょとんとした顔をした。それを見て、父親が笑った。


「まだレイには難しかったかな。


 でも、大きくなれば、きっと分かる日が来る。


 レイは賢いからな。父さんよりも、もっと深くで感じてしまうかもしれないな。


 だけど、きっとレイなら、きっと。」


 話している父親を少年レイはじっと見ていた。


 ふと父親が何かを思い出してレイを見て言った。


「そうだ。約束。それを感じた時、また二人で、星を見にこような。」


「うん。必ずだよ。」


 レイは社のそばから2人を見ていた。


 レイは父親に伝えたかった。


 そのデータの謎を、幾千の知的生命がこの銀河にいることを。


 自分たちは孤独ではないことを。


 父親の話を横目で見ている少年レイに父親が言う。


「じゃあ、そろそろ母さんが心配するといけないから帰ろうか。」


 そう言うとレイと父親は再び自動車のところに戻って、自動車に乗り込んだ。


「優しいお父さんですね。柊先生の人格が素晴らしい理由の一部を垣間見た気がします。」


「いえ。そんなこと。」


 レイははにかんだように軽く首を振った。


「柊先生を信頼しているあのお父様の眼差し。小林さんにも見習ってほしいもんですぅ。」


 浜辺がそう言うと、すかさず小林が返した。


「信頼してますって。」


 4人は笑いあった。


 父親と少年レイは自宅に帰った。


 母親が二人を迎え入れ、家の中ではレイの記憶通りの暖かい団らんがあった。


 レイはそれを見て、涙を流していた。


 ミライはレイに言った。


「レイ君、大丈夫?」


 レイは涙を拭き、ミライを見た。


「うん。ごめん。」


「ううん。レイ君のお父さんやお母さんが事故に遭わないように見守りましょう。」


 レイの中には葛藤があった。さっき、伝えることを躊躇したのはその葛藤があったからだった。


「でもぼくたちが介入することで、またおかしなことがおきないかな?」


 小林が言う。


「柊先生の世界です。柊先生が思うようにしても良いと思います。


 柊先生ならそれを悪い方向に使うことはないでしょうから。」


 その後、ミライの家族、小林の家族、浜辺の家族を見た。


 それぞれがぞれぞれの思い出に浸った。


 特にミライは、ちょうど父親とその日にミライが乗ったカートの映像を見て、ここをこうすれば良いと父親がソファーから立ち上がってハンドルを握ったジェスチャーで教えている風景を見て、ミライも涙を流した。


「パパ。。。」


 レイはその様子を見て、ミライに言う。


「ミライさんのお父さんも絶対に助けよう。」


 そう言うとミライは涙を拭きながら答えた。


「うん。ありがとう。」


 そして、4人はVRからログアウトした。





 VRから戻ってきて、浜辺がレイに問いかける。


「時間を少しだけ速めます?それともこのまま?」


 浜辺がそう言った瞬間、部屋の奥からガタッという音と男の声がした。


「動くな!」


 4人は声がした方をハッと見た。




<次回予告>

宇宙で見つけた星は地球そのものだった。

9年前の自分たちを見つけた4人。

柊レイは自分の両親や夏目ミライの父親が災害でなくなるのを防ごうと決意した。

そして、VRから現実に戻ってきたそこには4人を追っていたある男が待ち構えていた。

男が4人を取り調べようとしたその時、突然の異変が発生する。

4人は果たしてどうなるのか?柊レイや夏目ミライの父親はどうなってしまうのか?

次話サブタイトル「憂鬱の終焉に訪れるもの」。

次回もサービス、サービスぅ!!



<あとがき>

仮想現実内で自分達を見つけてしまう。

これってどんな感じなのだろうかと思いながら書いていました。

彼らは自分達が創った世界であることを認識しているからこそ、正気を保てるのでしょうけど、普通にこの世界で全く自分と瓜二つの自分を見つけたなら、どうなってしまうのでしょう。

仮にその自分がすごくお金持ちで恵まれていて、自分は逆に貧しかったりすると、、、なにか新しい物語が生まれそうです。(笑)

さて、本編ですが、4人は自分達を見つけた後、誰かが4人の前に現れました。さて、これからどうなるのでしょうか。

ここから急展開します。

次回サブタイトル「憂鬱の終焉に訪れるもの」。乞うご期待!!


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