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ガロワのソラの下で  作者: 友枝 哲
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〜第4章 仲間〜 ∫ 4-1.アンドロイドの憂鬱 dt

まえがきは割愛させていただきます。

毎日0~1時の間に次話投稿いたします。


 

 LNXリニアエクスプレス東京駅から降りた糸魚川教授と牧瀬准教授、そしてレイは在来線に乗り換えるため、移動式歩道に乗っていた。


 分岐点で糸魚川教授が牧瀬准教授とレイに話しかけた。


「ここから妻の実家に寄って帰るから、別行動としよう。


 牧瀬くん、お疲れ様だったね。柊くんも。」


「あっ、はい。先生、お疲れ様でした。」


 牧瀬准教授が答えた後、レイは小さい声で言った。


「お疲れ様でした。」


 教授はレイの態度が少し気になったが、そのまま一言言って立ち去った。


「うん。また来週からよろしく頼むよ。」


 糸魚川教授が立ち去った後、牧瀬准教授はレイに気を遣い、レイに声をかけた。


「今回話があった衝突テストまでの間は少し余裕があるし、柊君は少し休むといいよ。


 僕が教授の対応はしておくからさ。」


「あっ、はい。ありがとうございます。」


「じゃあ、行こうか。」


 そういって、二人は歩いていった。


 その歩道のウォールディスプレイには、あるスポーツニュース紙の記事が出ていた。


 ちょっとした世の中の現象を面白おかしく記事にする、いわゆるゴシップ記事だった。


(アンドロイドが瞑想?人間への反逆を企てているのか?)


 その同じ場所で一人の男が移動していた。


 その男はその記事を目にしつつ、独り言を言った。


「キネットダイン社はここを出たところか。」


 Kinet-dyne社はアンドロイド製作会社世界二位の会社である。


 日本のアンドロイドはほぼこの一社によって造られていた。


 Kinet-dyne社は独自の人工筋肉材料の開発に成功したことにより、省電力かつ強いパワーを持つアンドロイドが製造可能となった。


 そして、日本独特の配慮を備えたAIの開発により、人間に心地良さを感じさせることでシェアを伸ばしていた。


 男は駅を出た。


 目の前に巨大なビルが立っていた。


(Kinet-dyne)と書かれたそのビルにその男が入っていった。


 男は受け付けのアンドロイドに声をかけた。


「警視庁捜査二課の金形というものです。」


 そういうと身分証を宙に出した。(その身分証はアンドロイドを含めてBCDを着けている全員に見えるように権限設定がされていた。)


 そして、続けた。


「十一時に天馬開発統括部長へのアポイントを取っています。」


 アンドロイドはこの言葉を聞き、一瞬宙を見る素振りをした。


 アポイントのデータを検索し、照合が完了したため、立ち上がり、金形を会議室まで案内し始めた。


「どうぞ、こちらへ。」


 案内と同時にアンドロイドは天馬開発統括部長にも連絡を入れていた。


 天馬開発統括部長のBCDに音声連絡が入った。


「十一時アポイントの警視庁捜査二課金形様がお越しになりました。


 二階会議室Atomにお越しください。


 面会不必要であればご連絡ください。」





 会議室の椅子に金形が座っていた。


 金形がしばらく回りを見回しているところにスッとドアが開き、天馬が入ってきた。


「失礼しました。少しお待ちいただきましたかな。」


 金形がスクッと立ち上がり、挨拶をした。


「いえいえ。今日は時間をとっていただきまして、ありがとうございます。


 お忙しいところ、すみません。」


 そういうとBCDの示す宙に浮いたディスプレイからテーブルに名刺を移した。


 テーブルの名刺は天馬の方にスッと移動した。


「わたくし、警視庁捜査二課の金形と申します。」


 天馬も自分の名刺をテーブルに置いた。


 名刺が金形の前に移動した。


「私は天馬と申します。以後、お見知りおきを。」


 各々は自分の前に来た名刺をタップし、自分のBCDに取り込んだ。


 天馬は席に座りながら言った。


「どうぞおかけください。」


「ええ、どうも。」


 二人が座った時に、ドアがノックされた。


「はい。」


 天馬が答えると、アンドロイドがお茶をもって現れ、席に置いて、立ち去った。


 立ち去る際に、ドアの手前で会釈した。


 そのアンドロイドの様子をじっと金形が見ていた。


 その金形を天馬は見ていた。


 アンドロイドが立ち去った後、天馬が言った。


「今日はどういったご用件ですかな?」


 金形は天馬の方を見て話し始めた。


 しかも、世間話もなく、いきなり本題に入った。


「私のいる捜査二課というところはサイバー犯罪を主に取り扱っています。


 以前あったアンドロイド殺人とかです。」


「ええ、存じておりますよ。しかし、あれはうちのアンドロイドではありませんでしたね。」


 天馬は軽い笑みを浮かべながら話した。


「うちは防疫部署が優秀でしてね。


 ありとあらゆる策を講じております。


 現在までのところ、ハッキングによる問題は発生しておりませんよ。」


「そうですか。では、これについてはどうお考えですか?」


 金形刑事が再びBCDから、ある記事をテーブルに移した。


(アンドロイドの憂鬱。人間に使われることへの悲観か?)


 天馬が記事を見るなり、笑い始めた。


「何の話かと思えば、ゴシップ記事じゃないですか。


 捜査二課の刑事様ともあろうお方がこれを信用してしまうとは。


 少々残念です。」


「では、何もないと?」


「もちろんです。我々のアンドロイドには完璧な防疫が施されてます。


 さらにハードウエアロジック上、人間に危害を加えることができないようにできておりますので。


 おっと、これは機密内容ですので、ここだけの話で。」


「ですが、この現象は今のところ、この日本でしか、しかも首都圏でしか見られないとのことですが。


 日本と言えばやはり御社ですよね。」


「それはお褒めの言葉ですかね?


 おっしゃる通り、日本だけみたいですね。


 日本で最もシェアが高いのは確かに弊社です。ただ我々の製品だけでなく、他社のものにも発生しているようですね、その記事によると、ですが。」


「なるほど。ということはこの件、認識はされているのですね。」


「もちろん、苦情には真摯に対応します。


 それが我々のモットーでもありますので。」


「苦情というのはやはり何か問題が起こっているということですか?」


「いえいえ、ただ何かを考えているようだというだけですよ。


 先程も言いましたが、我々の防疫は完璧です。


 一切問題はありませんよ。」


「なるほど。」


 金形は話している素振りをずっと詳細に観察していた。


 金形のBCDには警視庁用の特別なアプリが備わっており、目の動き、息づかい、筋肉の硬直度、心拍、体温、発汗の変化などから話者が真実を話しているかが分かるようになっていた。


 判定は(True=真実)だった。


 だが、金形は実際にはあまりこの判定を信じていなかった。


 むしろ自分の五感でしっかり相手を見て、判断するようにしていた。


 今回は自分の五感による判断も白、何かを隠していることはなさそうに感じた。


 金形はこれ以上は時間の浪費と考え、会話を終わらすことにした。


「そうですか。ひとまず分かりました。


 と言っておきます。ただ。。。」


「ただ?何です?」


「今回のは何かありそうな気がしてならんのですよ。」


「何もないですよ。


 本当にそれは保証しますし、何か問題が発生したらご連絡いたしますよ。」


「忠告しておきますが、保証などと言う言葉は使わない方が良いですな。


 この会話は全て録音されておりますゆえ、もしあなたが嘘を言っていた場合…」


「嘘はないですよ。本当の話です。」


「分かりました。今日はありがとうございました。」


 金形が立ち上がり、それに合わせて天馬も立ち上がった。


「それでは、どうも。」


 そういうと、金形は会議室を後にした。


<次回予告>

何かを考えている素振りを見せるアンドロイド。動き出した警察。

そんなこととは露知らず、柊レイは学会で加地教授に背中を押され、

仲間と呼べる者たちのところへ急ぐのだった。

そして、波多野は別の計画を練っていた。

次話サブタイトル「隠れた真実を探して」。

次回もサービス、サービスぅ!!



<あとがき>

ここで新しいキャラクタが登場しました。金形警部補。

彼が調査しているのが、『アンドロイドの憂鬱』です。どうやらアンドロイドが何かを考えているように見える現象なのですが、なぜこんなことが起こったのでしょうか。

そして、これを人が見たらどう思うでしょうか。

この作中のマスコミと同じように人類転覆を狙っているのだと騒ぎ立てる人が大勢出てきそうですね。

これからどうなっていくのでしょうか。

次話サブタイトル「隠れた真実を探して」。乞うご期待!!


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