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ガロワのソラの下で  作者: 友枝 哲
17/66

∫ 2-7.それだ!!! dt

まえがきは割愛させていただきます。

可能な限り、毎日0~1時の間に次話投稿いたします。



 牧瀬の車で二時間ほど走り、レイは寄宿舎に到着した。


 まだ待ち合わせの時間には三十分ほど時間があった。


 レイは寄宿舎に荷物を置き、すぐに指定の場所に向かった。


 幸いナビが寄宿舎から歩いて二十分のところを指したので、時間には間に合いそうだった。


 目的地に行く最後の曲がり角を曲がるとそこは飲み屋街だった。


(あれ?本当にあってる?)


 レイはもう一度BCDで確認した。


あと百メートルも行ったところが波多野の指定場所だった。


 間違いない。


 指定場所まで来た。


(鳥豪族)


 レイは恐る恐る店に入って、少し辺りを見回した。


 昔ながらのレトロなお座敷のある居酒屋だった。


「いらっしゃいませー。」


 レイはアンドロイド店員の元気な挨拶で出迎られた。


「何名様ですか?」


「あのー、波多野という人は。。。」


「六時からご予約のお客様ですね。こちらです。」


 店の中に案内された。店の中に入っていくと十名くらい入れる個室に着いた。


 店員がふすまを開けると個室の中に波多野と勉強会でも見る顔が二人いた。


「あっ、りょーじ。。。」


 レイの顔を見て、波多野が安堵の声をあげた。


「あっ、ホント助かる!ジャストタイミング!!待ってたよ。」


「間に合った?ところでピンチってどうしたの?何か相談?」


 波多野がうつむき、そして重たい声で話し始めた。


「おれ、重大なミスをしてさ。」


 だが、次の瞬間いつもの明るい声に戻って続けた。


「でもレイが来てくれたから、安心したよ。まあまあ、上がって、上がって。」


 レイが個室に入り、男子が四人、横に並んで座った。


その時、またふすまが開かれた。


「ごめーん、待ったぁ!?」


 波多野がいつもの声のトーンよりも高いトーンで素早く反応した。


「いやー、今ちょうど全員集まったところだよぉ!あっ、店員さん、さっき頼んだ飲み物、持ってきてください。」


「はい。かしこまりました。」


 レイには突然のことで何が起こっているのか、理解できなかった。


 女子が部屋に入ってくる間に波多野がレイに状況を説明した。


「実はさ、合コン、人数間違えてて、こっちが一人少なかったんだよ。


人数合ってないなんてさ、あり得ないからさ。


それにレイもこういう経験ないと思って誘ったんだ。何事も経験が大事じゃん⁉」


 波多野がレイにグーを突きだした。


 レイも思わずグーでコンと波多野のグーに軽くぶつけた。


「あー、合コン。。。」


 噂は聞いたことがあったが、まさにレイにとっては未開の地だった。


 女子が部屋に入り、男子を見て少し話ながら席を決めていた。


 その間にアンドロイド店員が飲み物を持ってきた。


 席が決まったのか、一人ずつ女子が座っていく。


 その状況を前にレイは思わず唾を飲み込んだ。


 レイの前には一番おとなしそうな女の子が座った。


 女子が全員座るやいなや、波多野が進行を始めた。


「では、改めまして。まずはこの出会いに乾杯したいと思いまーす。さっ、ついで、ついで。」


 レイの前に座っていた女子がレイのコップにビールをつぎはじめた。


 それを波多野が制止した。


「あっ、ダメダメ。レイはジュースな。」


「あっ、飲めないんだね。じゃあ、こっちで。」


 おとなしめの女子がそう言いながらビールをついだコップの横にもう一つコップを置いて炭酸ジュースをついでくれた。


「では、みんな持ちましたか~?それでは、この出会いに~、かんぱ~い!」


 みんなが各々声を出して言った。


「かんぱ~い!」


 レイも小さい声で合わせた。


 みんなが少し飲み物を飲んでコップを置いたところで、司会進行が再び話を始めた。


「えー、皆様、本日はお越しいただき、まことにありがとうございます。


それではまずはお互いを知るということで、一人ずつ自己紹介をしていきましょう!」


「まずはおれから。えー、姓は波多野、名は亮治と言いま~す。


第二新東京工科大学理学部物理科三年の運動大好き青年です。


趣味はカラオケ、映画鑑賞、ボーリング、野球、サッカー、サーフィンなどなど。何でも一通りやるのが信条。そんな男です!よろしく~‼」


 簡単な挨拶が終わり、みんなが拍手する。


「じゃあ、次、私やるね。」


 次に波多野の前に座った女子が話し出した。


(この流れで考えると、次はぼくか!?)


 レイの心が揺れまくっていた。


何を話せばいいんだ?どうしよう。どうしよう。。。と考えいる間に女子の自己紹介が終わった。


「よろしくです!」


 レイは全然、その子の名前すら覚えてなかった。


 少し間が空き、全員がレイの方を向いていた。


 レイは回りを少しキョロキョロ見て、立ち上がって話し始めた。


「はじめまして、柊レイと言います。。。えーと。。。」


 言葉が詰まった。


(何を言えばいいんだろう?)


 頭が混乱する。


 その時、女子の一人がレイを見て、首を傾げながら言った。


「何か君、、、どこかで見たことがあるような、ないようなー。。。」


 波多野がその言葉に反応した。


「だろー?さて、どこでしょう?ヒントはね、、、」


 波多野が話している時に、その女の子がはっとした顔をして言った。


「あーー!分かった!思い出した!物理のスゴい子だ‼あの超統一場理論とかいうやつでしょ。」


 その言葉に他の女の子も反応した。


「えっ?そうなの?」


「あっ、私も見たことある!」


「あっ、えーと、はい。それです。趣味は星を見ることです。。。よろしくお願いします。」


 みんながレイに大きな拍手をした。


 その後、他のメンバーも順次自己紹介をした。その間もレイのドキドキは止まらなかった。


 そんなレイを見て、波多野がレイの足をトントンと指で軽く叩いた。


 レイが横目で波多野を見た。


 波多野も横目でレイを見ながら(上手くいったじゃん)という目をして、机の下でグーを突きだした。


 レイはちらっと下に突きだされたグーを見て、グーでコンとして、(上手くいったなら良かった)の合図をした。


 全員の挨拶が終わり、食事もサーブされてきたので、波多野が再度進行した。


「じゃあ、食事でもしながら各自話して仲良くなりまっしょい!」


 パンと手を叩き、歓談の時間に入った。


 波多野がレイに小さい声で言った。


「遠慮なく好きなだけ食べていいぜ!今日はおれのおごりだ!!」


「ホント?ありがとう!」


 波多野のグータッチのおまじないで少し気持ちが和らいでいた。


 さすがに女子に話しかける勇気はなかったが、波多野がうまく誘導していた。


「このチキン南蛮、うまくない?この店で一番うまいと思うんだよ。」


 波多野が女子とレイを見ながら言った。その言葉にレイも反応する。


「うん。おいしいね。このソース、おいしいよ。」


「だね。このソース、ホント、美味しい!」


 レイの言葉にレイの前に座っている女子が声をかけた。


 レイはちらっとその女子の方を見た。


 その時、その女子と目があった。レイはまた心拍数が上がるのを感じた。


 レイ理論を発表した時や今回の学会の発表などとは、比べものにならないくらいほどの緊張感を感じた。


 そして、その言葉の掛け合いをきっかけに、レイの前に座っている女子がレイに興味津々で話を振ってきた。


「柊くん、物理の研究ってさ、どんなことやってるの?あっ、あと、星見るのって楽しい?私一度も行ったことないんだ。」


 レイは生真面目に答えた。


「あっ、えーとですね、、、今やってるのは、高エネルギー衝突実験の基本理論説明の資料作りで、、、


えーと、衝突実験というのは、えーと、えーと、ほとんど光の速さまで加速させた電子と陽電子をぶつけて、エネルギーの、あの、、高い状態を作りだして、そこから今まで発見されてない素粒子を探そうって、、、


そういう実験です。」


 レイは最初緊張でシドロモドロであったが、話していくうちに糸魚川教授のことを思い出し、本当に自分がやりたいことがこれではないことを再認識していた。


 最後の「実験です」と言う言葉にはどこか落胆した感情さえこもっていた。


 女子は難しい話が分からないが、レイには興味を持っているようだった。


「ふーん、何か聞いたことはあるよ。スゴいんだね。やっぱり。」


 女の子の声を聞きながらもレイの頭のなかでは糸魚川教授の声が繰り返し再生されていた。


 その状況を見て、波多野はレイにチャンスじゃん!という目の合図を送った。


 レイを見た波多野はレイの落胆にその時気がついた。


「いえ、全然そんなことないです。。。すみません。つまんない話しかできなくて。。。」


 レイの前にいる女子もその言葉は意外だった。


「いや、そんなことないよ…」


 レイの前に座る女子がそう言うや否や、レイは急にさっき間違えて注がれたビールを手に取った。そして、一気に飲み干した。


 突然で波多野も止めに入れなかった。


「おっ、おい!レイ!!」


 レイは今まで感じたことがないほど大きく、心臓の鼓動、心臓が脈を打つのを感じた。


そして、同時に食道から胃が熱くなっていくのを感じた。


その感覚が身体中に広がっていく。


心臓の音がますます大きく聞こえ、逆に周りの声の音量が小さくなっていく。


「大丈夫?大丈夫か!?」


 レイは心の中に何かどす黒いものが溢れてくるのが分かった。


 次の瞬間、レイは叫んだ。


「おれがやりたいのは、そんなことじゃないんだよ!全くあのバカ教授はー!!


あんな計算もできないで、よく平気な顔してられるわ。ふざけるな!!」


 周りが茫然とした。それでもレイは続けた。


「しかも、四粒子衝突はおれのアイディアだよ!この前の資料だって全部おれが書いてるじゃねーか!!何なんだよ。あのオヤジはーー!?」


 波多野がレイの豹変ぶりに驚いていた。


だが、これがレイの本当の心の声だとも感じていた。


 波多野がレイに声をかけた。


「おい、大丈夫かよ!?」


 レイは波多野の方を見て、笑顔になって答えた。


「えー、全然大丈夫っす。本当に波多野さんはいい人だよ。」


 そして、次に席の前にいる女子に向かって話した。


「もうね、大変なんすよ。変なオヤジの相手しないといけないし、第一ね、つまんないんっすよ。なんか自分がやりたいことが。。。やりたいことが。。。」


 レイは急に上を向いて大泣きし始めた。


女子が呆気にとられた顔をしている。





 レイが目覚めた。見覚えのある天井だった。


 レイはすぐにここが波多野の部屋だということを認識し、起き上がった。


「あっ、いてっ」


 頭がズキズキと痛んだ。


 周りを見たが、波多野の姿がない。


 その時、玄関の生体認証センサの動作音がした。そして、玄関が開いた。


 波多野が部屋に入ってくる。


 起き上がっているレイを見て、波多野が声をかけた。


「おー、起きたか?身体、大丈夫か?」


「少し頭が痛いかも。」


「そりゃ、二日酔いだな。初だろ?それ。まあ、じき直るさ。


っていうか、十六だろ、レイ?飲んじゃダメだろ~。」


 波多野が笑いながら茶化して言った。


「あー、ごめん。」


「まあ、もう過ぎたことだし、それにレイには必要だったかもな。


あー、二日酔いの薬あるけど、飲む?」


「いや、大丈夫。」


「ほら、おにぎり、あー、パンもあるよ。朝はパン派?炭酸か、牛乳か、どっちがいい?」


 レイには昨日のビールを飲むまでの記憶があった。だが、その後の記憶が全くなかった。


「昨日ってどうなったの?」


「あー、どこまで覚えてる?」


「えーと、ビール飲んだとこまで。」


「えー?そこまでしか覚えてないの?マジで?」


「うん。その後は全然。。。」


「そっか。」


 波多野は「ふふふ」と笑いながら話し始めた。


「レイがあんなに糸魚川教授にイカってたなんて、知らなかったよ。」


「えっ?ぼく、なんか言ってた?」


「ホント、覚えてないんだな。」


 そういって、波多野はレイに昨日のレイの大爆発について話をした。


「えっ、本当にそんなこと。」


「いやー、良いと思うぜ!かっこ良かったよ!!


おれはレイのそういう部分、もっと出してもいいと思うぜ。」


「じゃあ、昨日のあの会ってもしかして、ぼくがめちゃくちゃにしちゃった?」


 すると波多野はもっとにやけた顔になった。


「いいや、、、大成功だったよ。そっか、歌うたったのも覚えてないか!?」


「えっ、歌?いや、全然覚えてない。。。ごめん。」


「そうだよな。うわー、もったいねー!いやー、結構衝撃的だったんだけどな。」


「えっ、なんかやった?」


「うん、やったやった。」


 波多野が笑いながら話を続けた。


「カラオケ行ってさ、酔ってたからなんだろうだろうけど、もうすごい音はずしててさ。


それでもレイ、自信満々で歌うもんだからさ。大爆笑の渦だったんだよ。


女の子たち、めちゃくちゃ気に入ってくれてさ。またやりましょう。だってさ。」


 レイはそんなことがあったのに、自分に記憶が全くないことが不思議でしょうがなかった。


 それでも波多野が大成功と言ってくれていることがちょっと嬉しかった。


 複雑な気持ちが入り交じりながらも、すこしの間、一生懸命思い出そうとしていた。


 そんなレイを見て、波多野が言った。


「ホント良かったよ。もし歌まで上手かったら、俺たち勝てるものないもんな。」


 波多野が目の前のおにぎりを手に取った。


「おにぎり食べていい?」


「あっ、うん。もちろん。」


 波多野はおにぎりの封を開け、おにぎりをのりに包みながら話を続けた。


「おれには分かんないけど、きっといろいろあんだな。


おれなんか高エネルギー衝突実験なんて聞くとワクワクするんだけど、お前にとってはあまり魅力あるもんでもないんだな。


逆にスゲーよ、やっぱり。」


 波多野のその言葉にレイは謝りの言葉を言うしかなかった。


「。。。ごめん。」


「謝んなくてもいいよ。でもお前には悪いけど、少しホッとした。


お前みたいな天才でも悩んだり、怒ったり、そんなことがやっぱりあるんだなと思ってよ。


お前の前に座ってた女の子もそんなこと言ってたよ。


『こんなすごい宇宙でも作れそうな天才でも悩むことがあるんだね』


だってさ。うまいこと言うもんだよな。はははは。


そう言えば、あの子、レイのこと、気に入ってたぜ!」


 その言葉を聞いて、レイの頭の中でふっといろんな場面の記憶がフラッシュバックした。



(宇宙でも作れそうな天才でも悩むことがあるんだね、っだってさ。)



(世界の法則の一部をあんたは解き明かした。それをあたしが空間にする。)



(僕は何故こんなに複雑な生命が生まれたのか、それを一部解き明かしたと思ってる。)



(君は物理で、僕は化学で、神の声を聞いている。。。)



(言い換えれば同一計算で状態計算が完了する散逸構造の集合単位がどこまでかを判断するシステムを使えば)



(この宇宙のある意味ってなんなんだろうな)



 レイがフッと記憶のフラッシュバックから舞い戻ってきた。


 レイは目を大きく見開いて、おにぎりにかぶりつこうとしている波多野に言葉を放った。


「それだ!!!」


 波多野は何が起こったのか認識できなかった。


「えっ、何!?大丈夫?」


「ありがとう。ぼく、行くよ。」


 レイが立ち上がって移動しようとした。


「あっ、うん。パン、いいのか?持ってけよ。」


 波多野はレイの方にクリームパンを一つ投げた。それをレイがキャッチした。


「うん。ありがとう。」


 レイは急いで玄関から飛び出した。


 以前より少しレイの気持ちが軽くなっていた。


 その姿を見て、波多野が小さい声で言った。


「あいつ、何か吹っ切れたのかな?」





 レイははや歩きで大学に向かっていた。


 掌を自分に向けてBCDのアイコンを表示させ、メッセンジャーを立ち上げた。


 そして、夏目ミライにメッセージを送った。


(申し訳ないんだけど、今から会えないかな?)


(場所はできるだけ人がいないようなところが良いな。大学だと会いやすいかな?)


 そして、小林秋雄、浜辺小春にも同じようにメッセージを送った。


 しばらくすると、ミライから返信が帰ってくる。


(何?急にどうしたの?まあ、大学ならすぐ行けるけど。)


(じゃあ、お願い。すぐ会って話がしたいんだ。)


(どこに行けばいい?)


(じゃあ、この前のワークステーションセンターで。)


(OK!)


 ミライがOKと返事を打ったとほぼ同時に小林からも返事が帰ってくる。


(お久しぶりです。突然どうしたんですか?僕は今、ワークステーションセンターにいます。浜辺さんも一緒ですけど。)


 それを見て、レイは心が踊った。


(浜辺さんにも言いたいことがあるのでちょうど良かったです。すぐいきます!)


 レイのはや歩きだった足取りは猛ダッシュに変化した。


<次回予告>

人生初の合コンを経験した柊レイ。

1杯のビールが彼のタガをはずした。

その様子に同席した女子が放った一言。

その一言をきっかけにして、柊レイはとんでもない計画を思い付いた。

そして、ついに4人の天才が集まる!

次話サブタイトル「宇宙創成」。

次回もサービス、サービスぅ!!



<あとがき>

とうとう柊レイが何かを思いつきました。

思いついた場面、頭の中で映像が浮かんだでしょうか?一応、映像化を意識して書いてみました。(笑)

さて、柊レイは何を思いついたのでしょうか?って分かりやす過ぎますね。(笑)

ここから急速に話が進んでいきます。

次回、「宇宙創成」。乞うご期待!!


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― 新着の感想 ―
>4人の天才が集まる う〜ん 何か大風呂敷を 広げ過ぎな気が、、、 そもそも 天才なんて 中学以来使った記憶が無いし そのルベルの人間見た記憶無い (ノД`)シクシク
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