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ガロワのソラの下で  作者: 友枝 哲
13/66

∫ 2-3.柊レイ先生!! dt

まえがきは割愛させていただきます。

可能な限り、毎日0~1時の間に次話投稿します。


 

 レイは波多野と約束していた朝十時の十分前にカフェに来ていた。


 滑らかな流線型の小綺麗なテーブルに椅子、観葉植物があちこちにあって、センスのある落ち着けそうなカフェだ。


 周りを見回したが、まだ波多野はいなかった。窓際の二人テーブルに座った。


 座るとすぐにアンドロイドがレイが店頭で注文したカフェラテを持ってきた。


 レイは、アプリで場所と待ち合わせ時間を確認した。


「うん、大丈夫。」


 窓から外を見ながら、自分に言い聞かせるように言った。


 BCDの時間をチラチラ見ながら待っていた。


 10時になっても波多野は現れなかった。


 レイの心に不安がよぎった。


 友人関係にはあまり良い思い出がなかったからだ。


 10:01の表示になっても現れない。


 レイにとってこの一分がとても長く感じた。


 10:02になった。


 次の瞬間、ガラス張りの外の景色に波多野と女子二人が走って通りすぎるのが見えた。


 レイがホッとした。


 波多野がカフェに入ってきて、周りを見回し、レイを発見して、レイに向かって手を振った。


 女子二人には見覚えがあった。たしか食堂で一緒に食事した人たちだった。


 波多野がレイのところまで来て、話し始めた。


「ごめん。遅れて。この二人が遅くてさ~。おれも待たされたんだよ。全く!」


 走ってきた波多野の振動を捉えて、ポロシャツの胸にある野球ボールのキャラクタがバットを振っていた。


 女子二人も挨拶する。


「待った?ごめんね。遅れちゃって。今日はよろしくね~。」


「席。四人席に移動しようぜ。」


「あっ、そうだね。」


 四人席に移動した後、波多野が女子二人を奥のソファー席に行かせた。


 波多野がレイの方に向いて言った。


「いいよな。俺たち男子はこっちで。」


「うん。全然大丈夫だよ。」


 女子を奥に座らせ、レイは手前の席に自分のカフェラテを置いて席に座った。


 波多野はレイの横の席に座って、テーブルをトントンとつっつく動作をした。


 テーブル上面全体がディスプレイになっていて、注文用ウインドウが表示される。


「私、バニララテ~。」


「私はキャラメルマキアート。」


 と言いながら、表示のボタンをクリックする。


「おれは。。。」


 波多野がレイの方を見た。


「それ、カフェラテ?」


「うん。」


「じゃあ、おれも。」


 波多野がカフェラテをクリックして最後に(order)をクリックした。


 その様子を見て、女の子の一人が話し始める。


「波多野くんさ、柊くんの話ばっかりするんだよ。よっぽど好きなんだよ、君のこと。」


 女子が柊レイに話し始めた。


「そうなんですか。」


 少しおどおどしながら、少し恥ずかしそうに答えた。


「そうか?そんなにしてる??」


 波多野も意識してないようであった。


「さっきもバス停で待ち合わせた時に柊くんの心配ばっかりしてたじゃん。」


 話している女子は波多野に向かって話した後、レイに向かって話し出した。


「10時10分前がね、待ち合わせ時間だったんだけどさ、少し遅れたのね。


 そしたら、『10時に着けないじゃないか!急ぐぞ!!』って、『レイが不安がるだろ!?』って。」


 もう一人の女子が言う。


「そうそう。1、2分くらいいいじゃんね~。」


 レイに同意を求めてくる。


 ちょっと苦笑いしながらレイが答える。


「そうですね。」


 レイの答えに女子たちも続ける。


「だよね~。」


「なんでだよ!待ち合わせに遅れるとか、最悪じゃんかよ。


 五分前集合。これ、基本でしょ?」


 波多野がレイに向かって言った。


「いいんだぜ。こいつらに合わせなくて。ダメって言ってやってよ。」


「あっそうだ。」


 女の子の一人が思い出したように話し出した。


「そう言えばさ。柊くん、ここ数日見なかったけど、何してたの?」


「そうそう。波多野くんに聞いても、『レイにもいろいろあるんだ』って、知ってそうなのに教えてくれないんだよ。」


「あっ、それはですね。。。」


 レイが少し言いにくそうにしているのを見て、波多野が横から入る。


「それはいいじゃん、もう。それよりさ。宿題、宿題。宿題、やろうぜ。」


「そんな慌てなくてもいいじゃん。


 だって、柊くんがいるんだよ!?


 あっという間に柊くんが解いちゃうでしょ。すぐ終わるよ。」


 それを聞いた時、レイの胸に少しモヤモヤしたものが芽生えるのを感じた。


 レイは小学校の頃をふと思い出した。


(柊、宿題やってきてんだろ!写させろよ。友達じゃんか。なあ?)


 だが、その女の子の言葉にすぐさま波多野が反応した。


「何言ってんだよ!みんなで別々にやるに決まってるじゃん。


 レイの見せてもらうとか、ありえねえし。」


 それを聞いてレイは感動を覚えた。


 そんな意見を今まで聞いたことがなかったからだ。


 マジマジと波多野を見つめた。


 それに波多野が気づいて言った。


「なに?何か付いてる?」


 レイはまだ少し驚いた顔のままだった。


「いや、何も。。。」


 女子が期待はずれな状況にガッカリしながら言った。


「えー、そうなの?なんだ。せっかく柊くんがいるって期待したのに。」


 もう一度波多野が女の子の方を向いて話す。


「レイに来てもらったのは、考え方を教えてもらうためだよ。


 分からないところ、公式に関しての考え方、たどり着き方を教えてもらうんだよ。


 そうすれば、自分の理解度も上がるだろ?


 それによってだな。次の公式にたどり着くための準備ができんだよ。


 心理学で言う『レディネス』だよ。」


「はいはい。分かりました。じゃあ、始めちゃいましょ。


 って柊くん、どうしたの?」


 女の子が驚いた。


 波多野を見ていたレイが目に涙を溜めていた。


 その声で意識を取り戻したかのようにはっと気がつき、涙を拭きながら答えた。


「あっ、すみません。いや、なんでもないです。」


 波多野が心配する。


「おお、どうしたよ?レイ。」


「いや、大丈夫。なんでもないよ。はじめよ。」


 少し間を開けて波多野が返事する。


「おっ、おう。」


 それぞれがBCDの表示からテーブルに教科書ウインドウとノート用ウインドウを移動させた。


 レイは問題を見るなり、超集中モードに入る。


 回りにまるで何もないような状態になり、スラスラ解いていく。


 これ以上にもっと難しい内容を、誰もなし得なかったことを成し遂げた人間なのだから、当然と言えば当然であった。


 その様子を女の子たちは唖然と見つめてしまう。


 それを波多野が目で制止した。


(自分のに集中しろよ!)


 四人は無言で少しの間、自分なりの勉強をしていた。


 十分経過したかどうかの時に、それまで止まることなく動いていたレイの指が動きを止めた。


「ふう」


 息を吐く声がレイから漏れた。表情がさっと柔らかく変化する。


 それに女の子の一人が反応した。


「もしかして。。。もう終わった?」


「はい。」


 レイが頷く。


「えー、はやっ!!ホントに!?」


「じゃあさ、もう聞いてもいい?」


 波多野が女の子の言動に聞き耳を立てていた。


「はい、どうぞ。」


「じゃあさ、ちなみに私はまだ二問目なんですけど。


 この問題って、この公式を使えばいいんだろうけど、そのまま使えなくない?」


「あっ、そうですね。この公式のこの部分を見てみてください。


 これって何の微分処理だと思いますか?」


「もちろん時間でしょ。」


「その通りです。


 ただこの波動関数というのが、それまで出てきた物理の式とはちょっと違っていてですね。


 波の性質と粒子の性質を兼ね備えた式なんです。」


 レイはその女子が書いている内容から概ねどの単元まで理解しているかを認識して、それに合わせて話をしていた。


「ほうほう。」


「波って言うとこんなサインカーブみたいなものがうねうねってうねってる感じですよね?」


 そういいながらレイが新しいウインドウを開いて絵を書き出した。


 波多野は少し先まで進んでいたが、思わずレイの説明を聞きだしていた。


 レイはうまく噛み砕いた説明をしながら、時おり女の子にも理解した内容を絵に書いてもらいながら、女の子に自主的に数式を展開させるように導いていた。


 波多野ともう一人の女の子はレイの教え方に驚いていた。


 そして、10分ほどの式展開の後に、女の子は自然と答えへと導かれていた。


 女の子は波動関数というものの理解と問題が解けたことの喜びに思わず声をあげた。


「できた!できたよ!!すごくない?」


 喜んで思わずレイの手をぎゅっと握った。


 レイは突然のことに少しドキドキしていた。


 波多野も説明を横で聞きながら内容に納得した。


 曖昧だった式の理解が深まったように感じた。


 その後も一つ一つ問題を解きながらいつも以上に充実した感覚を波多野や女の子達も感じ取っていた。


 途中、お昼ご飯もそのカフェで食べながら、やりたいバイトの話やどんなことが好きかという話をした。


 それなりに打ち解けたレイだったが、星を見るのが好きだという話をする時、周りの様子を伺いながら恐る恐る話していた。


 父親の件もあり、あのことを思い出す人がいるのではないかと思っていたからだ。


 波多野もレイのその様子を感じ取っていた。


 だが、そんな心配もよそに、女子二人とも「正に宇宙物理学者!」という意見でぴったりだと言ってくれた。


 レイは内心ホッとした。


 ご飯を食べて、再び宿題に取りかかる。


 そして、午後二時にはみんな問題を解き終わった。


「できたー!」


 背伸びをしながら女の子二人が充実感いっぱいに喜びの声を上げた。


「こんなに集中して勉強できたの、初めてかも。本当に柊先生さまさまだよ~。」


「そうだよな。正直ビックリしたわ。よくさ、名プレーヤー、名監督になれずって言うけど、レイは別格だな。スゲー分かりやすかったわ。」


「うんうん。」


 女の子も頷く。


「いや。そんなこと。。。ありがとう。」


 少し照れながらレイが答える。


「お礼言うのはこっちだよ。ホントありがとね。」


 女の子の一人が言った。もう一人も頷いていた。


 波多野がレイと女の子たちを見ながら切り出す。


「さてと、この後、どうする?」


「遊びにいく?私、大丈夫だよ。」


「私も大丈夫!」


 三人がレイを見る。


「あっ、ぼくも大丈夫ですよ。」


 レイの返事を聞いて、三人がニコッとした。


「よしっ!行こう!!」


 波多野が言う。


「でも、どこに?」


 女の子たちが訪ねる。


「そりゃ、この凝り固まった身体をほぐすのは、あれしかないだろ!」


 波多野がテーブルに書いていたファイルをさっとBCDに転送した。


「さっ、行こうぜ!」


「行くってどこよ。」


「い、い、と、こ、ろ!」


 そう言って、波多野が先に歩きだした。


 三人は各々テーブルに表示されている自分のファイルをBCDに転送して、波多野の後について店を出た。


<次回予告>

柊レイの導きで良い時間を過ごした4人。

波多野の提案で4人はある場所にいく。

その場所で柊レイは突然の事故に遇う。

そして、そこで柊レイは波多野の本当の姿を見るのだった。

次話サブタイトル「本当の『友達じゃんか』」。

次回もサービス、サービスぅ!!



<あとがき>

量子力学ですが、初めて勉強した時を少し思い出しながら書きました。

その時は、全くと言っていいほど何書いてるのか分からず、困惑したのだけ覚えています。(笑)

柊レイのような先生がいたら良かったのになと書きながら思っていました。

さて、本編ですが、波多野がどこかにみんなを連れていこうとしています。何が起こるのでしょうか。

次回、「本当の「友達じゃんか」」。乞うご期待!!


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― 新着の感想 ―
>レイは波多野 既に、綾波レイが気になって仕方無いw あと、行間空白があった方が 読み易いかも 当方、スマホオンリーなので どうしても区切りの無い長文は 敬遠したくなります m(_ _)m
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