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輝石の楽園  作者: Butler
第2章~引き継がれる意思~
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Ep.19 合流と出会い


「黒雷!」

「主、遅くなり申し訳ございません」

「いえ、無事で何よりです」

あれから直ぐに合流出来た私達は、小さな部屋で休憩することにした。

言わば、作戦会議……だろうか。

私が丁度良くせり上がった岩に座って一息ついていると、

二人の会話が聞こえる。


「黒が遅れるのは珍しいですね。何か問題がありましたか?」

「距離的には近かったのですが……、

 通路がかなり入り組んでいまして、手こずりました」

どうやら、直線距離では黒雷の方が近かったが、

迂回しないと来れないルートだったらしい。


「成程……こちらは殆ど直線だったので失念していました。

 こちらの情報も共有しておきましょう」

黒雷の言葉に納得した白炎は、

私と出会う前、出会った後の情報を簡潔に纏めて共有する。

こうした再確認は整理するには丁度良い。

私も混ざりながら情報をメモしていった。

しかし、結局の所重要なのはこれだけだ。


・ここは洞窟型の【世界】の可能性。

・如雨露頭を倒した後、何者かによって連れてこられた。

・現状私達以外の気配は無い。


「あとは……地図ですかね?

 一応記憶していますが視覚で捉えた方が良いでしょう。

 黒、お願いできますか?」

こういう時の白炎は凄くしっかりしている。

流石兄、と言った所だろうか。メイド服を着ているが……。


しかし、その兄の頼みを、妹である黒雷が首を振って否定した。

そしてこちらを首を傾けながら見つめて来た。

「残念ながら、如雨露頭の時で打ち止めです。

 主様、そちらの端末に地図機能等は……」

地図機能。

確か端末を弄っていた時にその様なアプリがあった気がする。

端末を開いてみれば、左右から顔を乗り出して端末を見る二人の気配を感じた。

「えっと……あ、ありました。

 では、二人の情報を元に地図を作ってみましょう」


私は、端末から地図アプリを立ち上げると、

使い方にそって地図を書き始める。

初めて使ったものだが、意外と分かりやすく、使いやすい。

なので、そう時間もかからず地図は出来た。


「……まるで、アリの巣ですね」

白炎の呟きに私も同意する。

複数の小部屋にそれを繋げた細道。

細道は一本線では無く、別の小部屋や通路を繋いでいて、

更に、なだらかな坂道もいくつかあったらしく、

上にも下にも進む道がある。


今わかっているのは、私が落ちた場所を中心として、

上階に黒雷、下階に白炎が落ちていた事。

つまり、ここは階層毎に区切られているらしい。


こうなるといよいよ、落ちて来たのではなく、

別の世界に吞み込まれたという線で正しいだろう。

そう結論付け、私は地図を見ながら考える。


「遊技場にあったゲームみたい……」

「あのひたすら上や下に進んでいく不思議なあれですか?」

「はい。私は見ていただけなのでやってはいないのですが、

 結構楽しそうでした」

私は、エリカがハマっていたゲームを思い出す。

入る度に構造が変わるダンジョンをアイテムを駆使して突き進むものだ。

ローグライク……と言っていた気がするが、私にはよくわからなかった。

っと、今はそんなこと考えている場合では無い。


「とりあえず、上に向かって進んでみましょう。

 形式上は洞窟に下に”落ちた”のなら、地上に向かって上へ」

もしダメでもそれは仕方ない。潔く戻れば良いだけだ。

私の意思を告げれば二人は頷き、黒雷が一歩前へ進む。

「では、私が先導しましょう。

 上階に関しては私が覚えています」

私達は、善は急げと休憩を止めて足を進めた。



 進行を初めて30分程だろうか。

私が居た初期地点から数階層上がった所で黒雷の歩みが止まる。

「……何かの気配がします」

先頭を行く黒雷が庇うように立った瞬間、

白炎が銃に変わって私の手元に収まった。

「敵、ですか……?」

「いえ……多分、人……かと」

『多分……? ”らしく”ないですね?

 気配に関しては私よりも優れている筈ですが』

「申し訳ございません。ここの場所の性質でしょうか……」

難しい顔で白炎に謝る彼女を慰めながら、

私は背中越しに前方の暗闇を見つめる。


元々【色】は同種の反応……、

人に近いか、【色】に近いかを感知する事は出来る。

だが、より人に化ける事に長けている個体や、

【色】に落ちかけている人間に対しては反応が曖昧になるのだ。

だが、一応……この先に居るのは人に近い個体らしい。


「もしかしたら、リンドウさんかもしれません。

 確認してみましょう」

「御意に……ではルートを変えますね。

 くれぐれも、お気を付けください」

不安の色を隠せない彼らに誘導を頼む。

実際……リンドウ以外の可能性の方が高いが、

ここを脱する為の手がかりはいくらあっても困らない。


道を少しだけ曲がり、歩みを再開すれば、

幸い距離も遠くなく、直ぐにほのかな明かりが見え始めた。

この先に、反応の原因……主が居るのだろう。

少し警戒を強め、目を凝らすとうっすらと人影が見える。

だが、その姿が見えれば見える程頭が混乱していった。


混乱の要因は……この洞窟に似つかわしくない異質な風貌。

何故ならそこには……、

「人形……? いや……人?」

ゴシック系のドレスを身に纏う人形の様に綺麗な少女が、

岩に座って目を閉じていたからだ。


呼吸が浅いのか、体に動きは見えない。

端から見たら、人形だと錯覚してしまうだろう。

ただ、彼らがそれは生物だと言っている。


(人……ですよね?)

どうしたって人には見えないが……、

黒雷の感知では変わらずそれを人と認識している。

少女が何故ここに居るのかも含めて怪しさで溢れている。


だが、不思議と嫌な感じはしない。

それどころか、本能が彼女に優しくするべきだと

訴えかけてきている様な……。


(なんにせよ……手がかりですよね……)

(危険、とも言い切れませんが、一応ご注意を)

白炎の忠告を心に刻み、少女に近づく。

だが、彼女は微動だにせずずっと俯いて目を瞑ったままだ。


「失礼、少し聞きたいことが……?」

「…………」

勇気を出して声を掛けてみたが、反応が無い。

もう一歩近づいて更に声を掛けてみる。


「あの……?」

「…………」

だが、それも返事が無い。

(もしかして……寝ている?)

だとしたら、凄く器用な寝方だが……。


声を掛けるのを諦め、触れられる距離まで近付けば、

人形とは違う暖かさを感じる。

間違いなく、この少女は生きている。

それでも動く様子の無い彼女に、私はしゃがみ込んで顔を覗いた。


整った顔、白い肌。金色の髪が顔に掛かっていて、

睫毛は長く、凄く可愛らしい。

そうやって眺めていれば、視界の端で変化があった。

少女の指がピクリと動いたのだ。


咄嗟に距離を取り、胸に手を当てて息を吐く。

特段悪い事はしていない筈だが、なぜか罪悪感を感じてしまった。

それに……、

(少し……びっくりした……でも、今なら……)

「あの……! お聞きしたいことが……」

三度目の声掛けは功を奏し、ようやく少女の目が開かれた。

そして、ゆっくりとこちらの方へと顔を向け、

私と彼女の視線がぶつかった。


(綺麗な眼……本当に人形みたい……)

私が、少女の吸い込まれそうな瞳に固まっていると、

彼女は碧い瞳を瞬かせ、口元を緩めて笑みを浮かべた。


「初めまして お姉さん

 何か 私に 用かしら?」

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