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輝石の楽園  作者: Butler
第1章~輝石の楽園へようこそ~
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Ep.21 継がれる思い

「えっと……つまり、メリアは他人の……

 妹の【色】を使って戦ってたんですか?

 それって可能なんです?」

「前例は無かったわね。でも、実際出来てるのだから、

 そういうつもりで調べないとでしょ?」


(一時的な【色】の譲渡……いや、交換かしら?

 前提条件があるとして……血の繋がりや、意思の統一性……)

原因を考え始めたらきりがない。

切り替える事にして、話を続けよう。


「とにかく、メリアの色素検査がおかしかったのも、

 繋がりが希薄だったのもこれで説明が付くわ。

 でも、まだ問題がある……主を失った【色】よ」

エリカはわからなかったようだが、カレンは成程と呟いた。

彼女にはもう少しお勉強が必要そうね……。


「そうか。妹に入ってる【色】は本来の宿主であるメリアを失った。

 暴走する危険性があるんですね?」

「……ってことは……【色骸(アクロマータ)】になっちゃうの!?

 何とかならないんですか!」

彼女は動揺し、私の体を強く掴んで揺らす。

友人の【色】が暴走するのは、見たくないだろう。

でも……これも慣れなければいけない事の一つ。

だから彼女達を呼んだのだ。


【輝石の楽園】では、死は唐突に訪れる。

今回の事件には違和感があるものの、

この職場で誰かを失う感覚は、彼女達にとって初めての事。


支部長として冷徹な意見を持つならば、

この件は都合が良いと言える。

実戦以外で友人を失う事は稀であり、

基本的には切羽詰まった状況で、”それ”を経験することになる。


パニックになり、二次被害を引き起こすことは避けたい。

だが、そういった経験は、そういった状況でしか得られなかった。


故に、この事件は貴重だ。

状況は違えど、一度経験した事には耐性が付く。


(……最低ね。こんな考え持つべきじゃない……)

自分が嫌になりながら、思考を原点に戻す。


任務中に仲間を失った場合、

運が悪ければ、その子が持っている【色】が暴走してしまう。

宿主との絆が……信頼が高ければ高いほど耐えきれず堕ちてしまうし、

そういった【色】は経験を積んでいるから脅威だ。


とはいえ……

「落ち着いて、エリカ。あくまで可能性の話よ。

 それに……実を言えば、そうはならないと思ってるの」


私の仮説を彼女達に説明する。


一つ、メリアの本来の【色】は、宿主とのあまり関わっていない。

 生まれてすぐに、妹さんの身に宿った事で、絆は希薄だと想定できる。


二つ、そもそもあの【色】にとって、今の宿主はどちらか。

 一つ目の通り、今宿っているのは妹の方。

 故にメリアを失っていても、そのまま引き継がれている可能性が高い。


「推測でしかないけど、以上から暴走の可能性は低いわ。

 結論として、妹さんは今、二つの【色】を所持しているという事ね」


エリカ達は、少しだけ安心した様だ。

それでも、心配そうな顔をしているけれど。


「あなた達を呼んだのは……

 かなり低い確率だけど暴走した場合に、

 妹さんを保護して逃げてほしかったからという理由が半分」

私の【色】は、仲間を守るのに適していない。

引き付けている間に妹を連れて逃げてくれる人手が必要だった。


「そしてもう半分は……友人を失う事について、

 その危険性を知ってほしかったから。

 暴走の危険性や、パニックによる精神の負荷とかね」

説明に二人の顔が苦痛に歪む。

聞きたい話じゃないだろう。

でも、伝える必要がある。


「あなた達は、調査志望でしょ? 今後、死地へ赴くことになる。

 その時、自分が死んだ時、どれ程の被害をもたらすかを考えなさい。

 自己犠牲は仲間を危険に晒す事になる。

 どういう状況でも、自分の身を護る事を優先できる?」


「それは……」

「約束は……できないです」

正直すぎる応えに、複雑な顔になる。


「……難しいわよね。でも、そういう選択を

 迫られる場合があるのを覚えておいて。

 その時、思考を放棄せず、私の言ったことを思い出してくれるだけで良いわ」

良くも悪くも、私達は【家族】としての繋がりが大きい。

仲間を助ける為に、自己を犠牲して散っていく花も少なくなかった。


(散った仲間の想いは種となって、後に継がれる。

 後に大輪が咲く事を願って……。

 らしくないわね……これも気まぐれって事かしら……)


頭を振って、手を叩く。

切り替えよう。


「さて……これで私の話はおしまい!

 今日はもう休みなさい。ここは私が見ておくから」

エリカ達はここに残りたがった。

だが、妹さんが目覚めた後、説明や、状態チェック。食事とかもある。

話せるのはまだ先だと言ったら不承不承といった様子で去っていった。


残っているのは私一人、誰も見ている人は居ない。

ベッドに近づいて、妹さんの顔を覗く。


(あぁ……本当にそっくりね……)

たった数日。話した回数も多いわけじゃない。

それなのに心が締め付けられる。

また、守れなかった。


視界が滲み、咄嗟に上を向く。

こういう時、私の肩書きが恨めしい。

「支部長なんて……私に務まるのかしらね……」

つい、言葉が漏れる。

返事は期待していなかった。


「……君は強いよ。ダリア。

 だからこそ、一人で背負うな」


なのに……。


「やだ……居たの?

 乙女の泣き顔は見世物じゃないわよ」

「なら私だって乙女だ。問題ないだろう」

つい出てしまった言葉に、同じ様に返される。

乙女(サルビア)は、蒼い髪を揺らしてこちらに近づくと、

私の体を抱きしめた。

相変わらず、感情表現が体に出るようだ。


「他の子からお父さんって言われてる貴女が?」

「茶化すなよ。君の悪い癖だ」

彼女は私の頭をポンポン叩いて笑うと、自分の端末を見せる。


「エレベーターの修理は終わったよ。

 途中であいつらにあって話を聞いた。

 全く……また辛い役目を一人で背負って……

 自己犠牲は罪じゃないのか?」

「私は死なないから、それに含まれないでしょ。

 あれはあくまで、死なない為の保険よ」

「それで精神をすり減らして、摩耗して……」


彼女は怒っている。私の為に。

理由も分かってはいる。分かってはいるのだ。


そしてサルビアはドンっと私を壁に押し付けると、

睨むように目を合わせる。

有無を言わせない強い力で、私に諭すように。

「私は副支部長だ。違うか?

 支部長を支える為に居るんだ。それに私だけじゃない。

 遠征に言っているアイツだって、お前を助ける事が出来る。

 それに……私達は【家族】だろ?」


その言葉はずるい。

心も、体も、千切られるよりもずっと……

「……痛いわ」

「そうでもしないと、お前は頼らない」

救いの言葉は、私にとっては毒だ。

アンデッドに回復魔法を撃つようなもの。

だから私は、また茶化す。


「フフッ……まるで痴話喧嘩ね?

 末っ子の前でこんな話はするべきじゃないんじゃない?」

私のからかいに、彼女がまた嫌そうな顔をした。


「またお前は……まぁ良い。

 確かに患者の前で喧嘩は良くないな」

サルビアは私の身体から手を放して、病室に背を向ける。


「じゃあ、今日は帰るよ。

 あまり根を詰めすぎるんじゃないよ? ”母さん”」

「はいはい、”お父さん”は優しいわね。

 来たと思えばすぐに帰って……、

 じゃあ、何しに来たのよ?」

「建前は、エレベーター修理の報告。

 本音は、君が泣いてないか見に来たって所かな」

「正直すぎる。減点ね」

「ハハッ……手厳しいな」

軽く言い合いをして、サルビアと別れる。


(ベストなタイミングで来たものね……

 おかげで心が楽になっちゃったわ)

喜ぶべきか、戒めるべきか分からないが、

ずっと悲しんでいたら防げる事故も防げない。

切り替えよう。一つ手を叩く。


「さて……眠り姫はいつ起きるのかしらね……」

椅子を引き寄せて端末で情報を纏める事にした。

彼女が起きるその時まで。

こんな感じで1章は終了です!

しっかりと書いたのは久しぶりなので読みにくい箇所や誤字、脱字があるかもしれません。

物語に関しては、元々Xでつらつらと投稿していた作品が元になっています。

【色】という人外と人が織りなすストーリーを今後も書いていくので、

癖に刺さったら是非、いいね! をいただけたらなと……。


今はまだ少ないですが、今後様々【色】や、キャラクターが増えていきます。

それを読みながら、もし自分や、自分のキャラクターがこの世界に居たら。

どんな【色】を持っているか、どんな形をしているのか等、どんどん妄想してみてください。

能力、戦い方等、きっとあなたならではのキャラクターになると思います。


私はそれが見たい!! という癖でした。Xで見れたらいいなぁ。

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