Ep.13 悪夢と恩義
--------------数日前---------------------
私は最愛の妹と共に両親達のもとで幸せに暮らしていた。
その暮らしは決して豊かではなかったが、貧しくもなかった。
凄く優しいが怒ると少し怖いお母さんや、
無口であまり感情を出さないが、私達を撫でる手は凄く優しいお父さん。
いつまでたっても私の後ろを付いてくる可愛らしい妹。
そんな家族の為に、私はいずれ楽をさせてあげようと、
勉強している最中だった。
だが、そんな日常は突然崩れ始めていく。
家族とリビングで過ごしている中、急に外が騒がしくなった。
まるで何かから逃げているかの様な叫び声が窓越しに聞こえたので、
両親は不審に思って、私達を窓から遠ざける。
その時。突如大きな音がしたと思ったら天井に穴が開いた。
私と妹は何が起こっているのか理解できず立ちすくんでいると、
背中に強い衝撃が走って前方に飛ばされてしまう。
痛みに呻き隣を見れば、同じように背中をさすっている妹が居て、
背後には瓦礫の山が出来上がっている。
天井だけじゃなくて、壁も崩れたんだ。
私は妹のそばに近づいて抱きしめると、辺りを見渡す。
両親はどこに行ったのだろうか。
何かが燃えるような臭い。熱さも少しだけ感じるので、
火がついてしまっている。あまり猶予は残されていない。
だがどこにも姿は無くて、嫌な予感がどんどん募っていった。
大声で呼んでも返事は無い……心臓が苦しくなる。
そして……背中の衝撃を思い出した。思い出してしまった。
あれは吹き飛ばされたんじゃなかった。突き飛ばされたんだ。
倒壊した時の衝撃じゃなくて……両親が私達を突き飛ばした。
恐る恐る瓦礫を見る。無意識に見ないようにしていた下の方を。
そこには、見慣れた手と赤い液体。
幸せだった日々は唐突に破壊され、あっという間に家族を失った。
それが一つ目の不幸。
私達は、キャリーケースに水とパン。缶詰などの食料を入れ外に出る事にした。
最初は、瓦礫から上がる火の手を消そうとしたが、
水を掛けても布で叩いても何故か消えなくて、ゆっくり燃え広がっていく。
何処に行けばいいのかは分からないが、あのまま家に居ても焼け死ぬだけだ。
だが、外も変わらなかった。
見慣れた風景は、壁に開いた穴と粘液の様な炎。
噴火? 空襲? 冗談でしょ?
活火山なんてどこにもないし、ここは争いとは無縁な町だった。
そもそも空を見てみてもそれらしいモノは何もない。
喧噪と熱が溢れる町中を急ぎ足で歩きながら、周りを見る。
他の人達は皆パニックになって縦横無尽に逃げていた。
「まるで、パニック映画ね……サリーナ、はぐれないように気を付けて」
「うん、大丈夫。荷物も取られないようにしないとね」
とりあえず町の外に出よう。隣町に避難して……。
そんなことを考えていたら、すぐ横の路地で叫び声が響いた。
心臓が跳ねて、咄嗟にその方向を見ると、一人の男が膝をついている。
彼の足元には血溜まりが出来ていて、辺りは瓦礫と破片に満ちていた。
後ろ姿だったし、呻き声の様な物が聞こえていたから、
怪我してるのかと思って、つい声をかけてしまったのだ。
それが失敗だったと気付いたのは……その血溜まりが彼の物ではなくて、
振り向いた彼の半身に見える、死体の物だと気付いた時。
彼の口元は赤く染まっていて、何をしていたのか容易に想像できた。
「……っ!?」
私達は真反対の路地へ咄嗟に逃げる。
勘違いだと思いたかったけど、否定できる材料が無かったから。
路地に入った瞬間に、背後から轟音が響いた。
間違いない。追ってきている。
逃げて、逃げて、逃げ続けて。
追手を撒く事しか考えないで全力で走って。
でも……背後からの音は縮まっていく。
迫りくる恐怖に思考が霞み、一つ路地を間違えてしまった。
決定的な失敗。二つ目の不幸。
袋小路に行き着いた私達はどうする事も出来なかった。
戻ろうにも、背後には既に……奴がいたのだから。
逃げ場のない私達は地面にへたり込み、
それを見た化物はにやりと笑って私達に言う。
彼の言葉は聞き取り辛く、カタコトの様に聞こえる。
だが、理解しなければよかったと後悔した。
『……いいものを見つけた。お前らは非常食』と言っていたからだ。
それから私達は手足を拘束され、化物に担がれながら移動していた。
喧噪はまだ聞こえているが、人に出会わない。
助けを呼ぼうにも口は塞がれている。
逃げ出そうにも拘束を解く手段が無い。
喰われるくらいなら、なんて思ってみたが、そんな勇気も無く。
ただ死への恐怖を増幅させるだけの道中。
……やがて私達は適当な建物の一室にそれぞれ閉じ込められて、
彼は私達に目隠しをすると、どこかに行ってしまった。
(今なら逃げられるかもしれない……)
私は様々な方法を試した。
芋虫の様に這いながら、使えそうなものを無いかと虱潰しに彷徨った。
だが、全て無駄に終わる。……化物は賢かったのだ。
その部屋には、何もない。ただの四角い箱の様な物。
唯一存在するドアも、床も、壁も。
拘束を解くには知識が足りない。
それでも、もがき、もがき、もがき続けて。
一体どれほど経っただろうか?
疲れと恐怖で衰弱しながらも意識を保っていられたのは、
今はもうたった一人になってしまった大切な肉親の為。
サリーナという私の大切な妹がいたからだ。
妹だけでも逃がす方法はないかと、思考を巡らせている中、
化物が妹を連れてきてこう言った。
『二人は重い。減らす』と。
化物は私達の拘束を足枷を残して全て外し、ドアの前に居座る。
口元は醜く歪んでいて、愉しんでいる事だけはわかる。
私が震える妹を抱き寄せて、化物を睨むと、
彼は私達に向けて選択を迫ってきた。
『どっちが先、食われる? 最終的にはどっちも喰う』
……なんて残酷な質問なのだろうか。
「おねえちゃん……」と泣き声交じりの妹へ、頭を撫でながら視線を向ける。
そこには体を震わせ目をつぶっている姿が目に映る。
私は妹を抱きしめていた腕を緩め彼に体を向ける。
そしてなけなしの勇気を振り絞って、私が食料になると答えた。
「私……が……私が先……お願い……」
(どうか妹だけは助けて!)
化物は声にならない声を上げながら名乗り上げた私を見て、ニヤリと笑った。
(ああ、私は殺されるんだわ……サリーナ、どうか生き延びて……)
私はこれから来るであろう痛みに耐えるため目をつぶると、
その瞬間に隣から悲痛な叫びが響いた。目を開け叫びの方へ顔を向けると。
妹の足にかぎ爪が突き刺さっていた。
「そんな……どうしてっ!」
私は叫んだ! 名乗り上げた私ではなく、
何故妹に手を出したのだ!
私の叫びに彼は慈悲の無い言葉を綴っていく。
「気が代わった、喰いごたえのありそうなの残す」
化物はそう言うと、妹に対し即死しない様に、
敢えて傷が深くならない部分にだけ爪を突き立てていった。
化物の嗤い声、泣き叫ぶ妹。
その不協和音を聞くしかなかった私はただ叫んだ。
どうして私達がこんな目に合わなければいけないのか。
どうして私じゃなく、妹が殺されなければならないのか。
そんな悲痛な叫びはもはや届かず、
私はふと舞い降りた暗闇に身を任せ、意識を薄れさせていくのだった。
突如現れた眩しい光と、体を包む温かい感触に目が覚める。
「あれ……私……何してたんだっけ……」
寝起きで朦朧とする中、記憶を手繰り寄せると、
あの悪夢を全て思い出してしまって、飛び起きるように体を起こした。
もしかしたらあれは、嫌な夢だったのかもしれない。
そんな淡い期待を抱いたが、見えた景色は私の知っている場所ではなかった。
「ここは……」
私は一人呟く。
一体ここは何処なのだろう。何故私はベットの上で寝ていたのだろう。
目を閉じ、頭を振りながら思考を巡らせていく。
(あれは夢……じゃない。痛みや恐怖はしっかり覚えてしまっている)
両親が死んで、私達は拉致された。
それでも、妹を守ろうと必死に足掻いたが、意味をなさなかった。
私が意識を失う前の最後の光景。
恐怖や絶望に埋め尽くされた妹の顔。
化物が彼女に手を掛ける瞬間。確かに覚えている。
私は最後のイメージにハッとなり、叫ぶ。
「……サリーナは何処っ!?」
「妹さんなら現在治療中よ」
返答を期待していなかったその叫びに答えたのは、
長い黒髪をまとめている綺麗な女の人だった。
どうやらずっと傍に居たらしいが、気が動転していた為、
気付かなかったようだ。
「治療中……!? 貴女は誰っ!?」
掴みかからんばかりにその女性に詰め寄ろうと体を動かしたが、
ベッドから倒れこむように床に落ちそうになる。
「落ち着いて……貴女も相当弱っているのよ」
落ちそうになった私を彼女は優しく抱きしめるように支えてくれた。
「サリーナ……あの子に会わせて……」
私は掠れた声で彼女に訴えたが、彼女は首を振り、こう答える。
「まだ無理よ、深い傷を負ってるから、少なくとも全治するのは数日かかるわ」
「数日……」
「そう、数日。貴女も今は少し休みなさい。
落ち着いたらまた詳しく話すから」
優しく抱きしめられた私は、疲れからまた意識を手放していった。
次に目が覚めた時、私は視線だけ動かすと、彼女と目が合った。
ずっと傍に居たのだろうか? 彼女は水差しとコップを用意してこちらに微笑みかける。
「おはよう。少しは楽になったかしら?」
「は……はい……」
私は幾分楽になった体をゆっくりと起こすと、
彼女から渡された水の入ったコップを傾けながら、問いかけた。
「それで、ここは何処なんですか?」
「そうね、まずは順を追って話しましょうか」
彼女はそう答えると、私達を連れてきた経由を話し始めた。
「私達はある理由から、あの町の調査へ赴いたのだけど、
その町は既に【色災】……いえ、災害に見舞われていたの」
「災害……でもあれは……」
「ごめんね。その話は後で詳しく話すわ。
……で、私はすぐに家族に指示して、救助活動を行った。
その最中……近くで悲痛な叫び声が聞こえたの」
「叫び声……私の?」
「そうね。声の元に向かったら、貴方達がいたわ。
二人とも意識は無くて怪我していたけれど、
妹さんの方がかなり酷かった。どうして生きているのか不思議なくらいね」
「……っ」
私はその言葉に動揺し、シーツを強く握りしめてしまう。
だけど、彼女は優しく私の手を包み込む。
「今は大丈夫。命に別状はないから。
……で、応急処置をした後、貴女達を運ぶために応援を呼んで、
傷つけない様にしながらここまできたってわけ」
どうやら彼女は私達の命の恩人だったらしい。
「……ご迷惑をおかけしました……」
「気にしなくていいのよ。貴女は何も悪くないんだから」
私の謝罪に対し、彼女は頭を撫でて答える。
そして言葉を続けていく。
「妹さんは今、ここの集中治療室にいるわ。
ここの技術は最高峰と言ってもいいくらいだから、
普通全治数か月かかるような怪我も数日で治療することができる。
妹さんは安心して任せて」
妹が無事だった。その答えに私は心から安堵すると。
緊張が途切れたせいか、涙があふれ出た。
声にならない声を上げ、嗚咽を漏らす私に対し、
彼女は優しく私を抱きしめ、ただ「もう大丈夫」
と声を掛け続けてくれたのであった。
泣き疲れ、再び眠ってしまった私は、良い匂いで目が覚めた。
目を開くと彼女が美味しそうな食事を持って入ってきたところだった。
「あら? おはよう。いいタイミングね。
お腹すいてるでしょ?消化に良さそうな物持ってきたわ」
そういうと彼女はベッドに備え付けてあった折り畳み机を開き、
その上に食事を乗せる。
「食べても……いいんですか?」
恐る恐る聞く私に対し、彼女は微笑みを返す。
「当り前じゃない。貴女の為に用意したのよ」
その答えを聞く前に私は気付けば手を動かしてしまっていた。
私は久しぶりの暖かい食事を味わう事も忘れ、ただ必死に食べる。
「せめてもう少しゆっくり食べなさいな……。
喉に詰まらせて死んじゃうわよ……?」
そんな声が聞こえ、ふと彼女の方を見ると、少々複雑そうな顔をしていた。
少し冷静になった私は恥ずかしくなって頬を染める。
それでも動いている手は止められそうになかった。
そんなこんなで食事を終えた私は彼女から水をもらって一気に飲み干す。
「あの、ありがとうございました。命を助けていただいた上、食事も……」
私が頭を下げると、彼女は何でもないというように、頭を撫でてくれた。
暫くそうしていると、手を放して彼女が話を始める。
「昨日、止めた話をしましょうか。
あの時貴女が巻き込まれた災害は、人的災害でも自然災害でもない。【色災】よ」
「色彩? 赤とか、青とかですか?」
「まぁ、そう思うのも仕方ないわ。でも違う。
【色】が引き起こした災害。通称【色災】。
そんでもって、【色】とは……簡単に言えば化物ね」
「えっと……すみません……」
全然理解できず謝ると、彼女は「まぁ、そうよねぇ……」と呟いた。
彼女は簡単に、【色】についてを教えてくれた。
いきなり本の物語の世界にでも飛ばされたかのような非現実的な現象に、
私は顔をしかめる。
もし、実際に経験していなかったら、からかっているとしか思えない。
「じゃあ、私達を襲ったあの化物は……【色】なんですか?」
「そうね。今回の災害を引き起こした元凶の一つ。
堕ちてしまった彼は、凄まじい食欲の願いに突き動かされた。
燃える様に熱い胃液で全てを融かし……いえ、この話はやめておきましょう。
とりあえず、その元凶は私達によって討伐され、事態は収束したわ」
なんだかファンタジーの物語を思い出す。
彼は、選ばれた力で人類を守る為に、戦いへと身を投じるのだ。
現実逃避にも近いそれを見かねたのか、彼女はコホンと姿勢を正す。
「で、じゃあ私達はってなるわよね?」
そして、名刺の様な物を取り出して私に渡した。
「私達は、【楽園】と呼ばれる組織の中の一つ。
とりあえず、【色】と呼ばれる人外を保護したり討伐したり、
それが起こした災害に対処する所と思ってくれていいわ」
名刺を見てみると、組織の名称が簡単に書いてあった。
(輝石の楽園。……化物を討伐したり……保護……保護?)
「……化物を保護するんですか?」
「そう。保護。襲われた貴女からしたら気持ちの良い物ではないかもしれない。
でも、人類全てが命に害をなす存在ではないように、
【色】達にもまた、人を守る事が好きな存在もいる。
そういった味方や中立の子達を保護して協力して貰う事で、
【色】と戦う事が出来るのよ。
”目には目を歯には歯を”そう考えた方が今はいいかもしれないわね」
……両親を奪い、私達を襲ったあの化物は許せない。
だけど……それ以外に対しては……まだ分からない。
そもそも……どうしてここまで話してくれるのだろうか?
私がそう問いかけると、「貴女、これからどうしたい?」と聞かれてしまった。
私は困惑する。両親は死に、妹と二人取り残された私は一体どうすればいいのだろうか。
やりたいことなどあるわけがない。その機会は永久に失われてしまったのだから。
「よく……わかりません」
そう答えるしかなかった。
彼女は「そう……」と呟くと、言葉を紡いでいく
「もし当てがないのなら、良ければここで働かない?」
「ここで……ですか?」
「そう、決して安全とは言えないけど。
いや、寧ろ外より酷いかもしれないわ。
人が簡単に死んでいくような危険な仕事よ」
その言葉に私は言葉を詰まらせる。
もし、働くとなれば、【色】と戦う事になるだろう。
あの化物みたいな奴とも。
ただ、他に当てもない、このまま外へと出た所で何も出来ずに朽ち果てるだろう。
なら、ここで働く方が得策かもしれないと思った。
「あの、妹はどうなるんですか?」
「勿論貴女と一緒に暮らしてもらって構わないわ。
うちは部屋が余ってるから余裕はあるし、
それに妹さんに仕事の強制をすることもないわよ」
私は安堵した。ここで妹と一緒に暮らすことができると。
外で二人で彷徨うよりも、多少の危険を私が負えば、
妹は安全な場所に居られるかもしれない。
「もし、私が断ったらどうなりますか?」
「どうもしないわ。何もしなくてもここで安全に暮らして構わないの」
……私が働かなくてもどうやらここで過ごすことは可能らしい。
でも、それでいいのだろうか……。
命の恩人に対して、更に衣食住すら世話になることになる。それも対価無しに。
……耐えられるだろうか。
私は……仕事内容などの細かいことを質問し、
彼女が疑問に答えるという作業をいくつか繰り返した。
聞きたかった事は全て聞いたので感謝を伝えると、
ダリアは微笑みながら頭を撫でて来た。
「今すぐ決めなくていいわ。また明日来るから、
その時に答えを聞かせて?
たとえ貴女がどんな決断したとしても、
貴女達は私の家族として大切に扱うことを誓うわ」
そういって彼女は部屋を出てしまったが、
私の答えは既に決まっている。
ここまで親身に接してくれて、私達の命を救ってくれて。
また、私達は家族だと、心から思ってくれていることに嬉しさを感じた。
だから私は、彼女に恩を返す為、協力することを決意したのだった。
ー現在ー
働く事を決めた私に対し、ダリアさんは凄く喜んでいたな。
と思い出しながら意識を現実に戻していく。
「で、私は妹の為、果ては自分の為にここで働く事にしたのよ」
その言葉で締める。
全て話したことで妙にすっきりした私は、蝶執事に声を掛ける。
「聞いてくれてありがとう。少しすっきりしたわ」
そう言った後、そういえば独り言の体だったなと思いだしたが、
別に構わない。
『いえ、私に話すことで気が楽になるのでしたら、いくらでも相手をいたします』
そう言ってくれた蝶は、どこまでも紳士だ。
「ありがとう、また何かあったらお願いするわ」
「ええ、その時はまた道端の蝶にでもなりましょう」
私は思わず”次”を頼んでしまう。
優しさにかなり気を許してしまっている事に気付いた私は少し恥ずかしくなったが、
蝶は気付いていない。それか……気付いていて敢えてフリをしているのか。
対して蝶は片羽を嬉しそうに羽ばたかせていた。
まだ出会って二日だが、表情は見えずとも感情を羽ばたきで表しているような気がする。
「もし、夢にでも見る様でしたら、蝶を探すと良いでしょう
きっと救ってくれるはずです」
別れる際、蝶執事が告げたその言葉の意図はわからなかったが、
胸に閉まっておくことにした。
そうこうしているうちに業務時間は終了し、
二日目の仕事は悩みを相談して終わったのだった。




