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Ep.1 プロローグ
その日、突然に……そしてあっけなく、私達の日常は崩れ去った。
倒壊する我が家、鉄と肉の焦げた臭い。動かない両親に、震える妹と、私。
何が起こったかも理解できず、
私はただ……妹の元に向かい強く抱きしめる事しかできなかった。
暫くそうしていると、互いの体温に安心し、震えが収まっていく。
まだ恐怖はあるが、ここに留まっていても良い事はない。
「サーニャ……行きましょう。まずはここから逃げないと」
安全な場所を探さなくては……でも。
何処に行けばいいの? 安全な場所なんてあるの?
これから、二人でどうすれば……。
涙を流しそうになり、咄嗟に上を見上げると、穴の開いた屋根から空が見えた。
眩しいくらいに明るく、温かい日の光。透き通る様な青い空。
なのに、なぜだろうか。チカチカと星が見える。
「ねぇ。見える?」
「……うん。綺麗な、星」
咄嗟に妹に尋ねると、彼女も空を見上げていた。
まだ、昼間だというのに、私達は確かに星を見たのだ。
私達と同じ色をした、『桃色』と『翠色』の星を。