マルさんがキレた
「ああ。もうやってられないわよ。」
句点がキレた。
「なにが『マルハラ』よ。私を使うのがハラスメントってふざけてるわ。」
句点を「句点さん」と呼ぶ者はいない。皆、彼女を「マルさん」と呼んでいる。
「全く! 失礼な話だよな!」
感嘆符が同意した。彼は皆から「ビックリさん」と呼ばれている。
「まあ流行りもあるからね? そのうち元に戻るんじゃない?」
疑問符が宥めた。彼女は皆から「ハテナさん」と呼ばれている。
「そもそも私はね。『セリフのカギカッコの最後には句点を入れない』ってのも納得してないんだから。以前は『蜘蛛の糸』とか普通に
――犍陀多は「下りろ。下りろ。」と喚きました。――
って書いてるんだからね。もう知らない。私は辞める。」
マルさんの機嫌はどんどん悪くなる。
「そんなっ! マルさんがいないと文章の区切りがつかないじゃないか!」
「マルさんがいなかったらどうすればいいのよ?」
ビックリさんとハテナさんは困り果てた。
「ピリオドでも連れて来なさいよ。」
「呼び捨てっ!」
「呼び捨てっ?」
「無理だ! ピリオドさんに頼んだら日本語だかなんだか分からなくなってしまう!」
「マルさん自棄になってない?」
三人とも無言になった。
三人なりに解決方法を考えている。
「あっ。そうだわ。」
「おっ! どうした!」
「何か思い付いたの?」
マルさんは自分のアイデアを話し始める。
「あの『変な顔みたいなヤツ』に私の代わりを頼むわ。文章の最後は全てアイツがやればいいのよ。」
「ええっ!」
「本気なの?」
そのとき三人は「変な顔みたいなヤツ」が近くを歩いているのを見付けた。
呼び止める。
三人はこれまでの経緯を「変な顔みたいなヤツ」に伝えた。
「えっw(°o°)w
僕がですか(ノ*0*)ノ
てれるなあ⁄(⁄⁄•⁄-⁄•⁄⁄)⁄
嬉しいですけど(≧▽≦)
でも先輩方┐(˘_˘)┌
プライド無いんですね(;∀;)」
「ウザいわね。」
「ウザすぎだろ!」
「ウザいよねえ?」
マルさんは「辞める。」と言った事を撤回し、ビックリさんとハテナさんに謝罪した。
最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。
偶然テレビで観た「マルハラ」ですが、私は「なに言ってんの?」としか思いませんでした。
しかし、この小説……、なんじゃこりゃ(笑)