嫌われるのが怖い
6月19日の水曜日。
登校中に後ろから背中を押され、振り返った。
振り返るも既に誰かはおらず、横に居た。
「おはよ、あっちゃん!鈍いなぁ、反応……どうした?」
「おはよ、あおちゃん。考え事しててさ。今日も元気だね」
「あっちゃんが元気ないだけだって〜!昼さぁ、4人で食べよ?」
「あぁ、うん。それも良いかも……」
「今日のあっちゃん、なんだかなぁ……なんだよな!」
「あおちゃんって『秒速5センチメートル』って映画観たことあるんだっけ?」
「映画?また唐突に映画か……観たことある。主人公とヒロインが結ばれない悲しいやつでしょ、転校してって映画。いや〜あの映画は悲しくなる!でも画面の中の登場人物が幸せになれない、結ばれない映画って観たくなることがあるんだ。『秒速5センチメートル』がどうしたの?」
「どうしたって訊かれると困るけど、好きだった人とあんなふうに別れるってやっぱり辛いなって」
「あんなふうな別れって実際にあると辛いね私のこと思い浮かべて泣いたって話し?」
「まあ、そんなところかな」
「うわー、何その返し〜?それはそれとして、アニメ化のPV観た?」
「アニメ化、あぁあおちゃんが好きな少女漫画のだよね?観たよ」
高校に到着して下駄箱の所でも話しは続いた。
SHR前の時間も共通で好きなバンドの曲について語り合った。
4限目の授業を終え、昼食を食べに屋上へと向かった。
谷津瀬や島田、そして美浜と合流して、円になって昼食を食べる。
「久しぶりじゃん、皆で昼食食べんの!」
「そうだな」
「うん」
美浜の嬉しそうな弾けた声がして、谷津瀬と島田が頷いて返答した。
「谷津瀬くんは最近どう?」
「最近どうって……普通ってとこかな、美彩とも順調にいってるし」
「そのことは美彩から散々聞いてるから知ってるって!部活とか勉強はどうかって?」
「そっちも普通だって。美浜こそどうなんだよ?」
美浜と谷津瀬の会話が続く。
黙々とお弁当のおかずを減らしていく俺と島田だった。
「私?私は楽しくあっちゃんと付き合ってるよ!」
「ほんとかぁ?胸、揉まれてないって聞いてるぞ!鴻上にキスしてもらったことあるのか?」
反撃とばかりに攻撃を仕掛ける谷津瀬だった。
「あっちゃんに胸ぇ、揉まれてない。キスは私からばっかだよ」
今気付いたように現状を言葉にして、俺を見つめてくる美浜。
「何言ってんだ、谷津瀬。なんでこういう気まずい雰囲気にすんだよ!」
「トイレ、行ってくる!」
美浜が急に立ち上がり、屋上から校舎に戻っていった。
「美浜が聞いてきたから乗ったんだよ。鴻上はなんで恋人として、やってやんないんだよ!」
「それは……その、しなくても蒼依はすきでいてくれるから……」
「……」
「……」
俺は未だに言えなかった。言えるわけ……ない。
美浜は屋上に戻ってくることなく、昼休憩が終わった。




