幼馴染の可愛い寝顔
俺は放課後に玖渚家へと足を運んでいた。
いつ彼女に拒絶されるかと恐怖を抱えながら、今日も彼女の様子を伺うことにした。
玖渚家の玄関扉は鍵が施錠されておらず、恐る恐る足を踏み入れるが彼女のスニーカーしか置かれていなかった。
靴を揃えて脱ぎ、彼女の自室へと向かう。一段一段、段差を上がっていき二階に着き、彼女の自室の前で呼吸を整えるために深呼吸をしてノックをした。
コンコン。
耳をすますが室内からは物音一つ聞こえてこない。
恐る恐る扉を開けながら彼女に呼び掛けながら室内に足を踏み入れた。
「入るぞぅ~美月ぃ~って、寝てんのか......」
瞳が捉えたのは玖渚が薄い掛けぶとんすら蹴飛ばしへそを出したままですぴぃすぴぃと寝息をたてながら寝ているものだった。
彼女の勉強机には漫画の原稿が置かれていた。ベッドの周りはジュースの空き缶が何本も倒れたまま放置されていたり、スナック菓子の袋が落ちていたりと汚い。
漫画の単行本も床に積まれたままといった感じではあるが、まだマシな方だ。
はぁー、とため息が漏れた。
彼女を起こすのは気が引けるが起こさないわけにはいかない。
彼女が寝ているベッドに近付き、彼女の肩に手を置いて揺らした。
「おぉ~いっ美月っ!起きろぉーっ起きろ、美月ぃっ!おいって、美月ぃ~っシュークリーム買ってきたけど──」
「ぅぅぅううっ......ふぇぇ......しゅー、くり、ぃーむぅー?あっくんだぁ!ふぁ~っ、おはよぅ~」
低い唸り声をあげてから、短い沈黙ができ、ふわふわした寝起きの声でシュークリームに反応してから俺に気付き、欠伸をした彼女。
「ああ......てか、もう夕方だって。美月、遅くなってごめん」
「そう、だね......えへへぇ~。良いよぅ~あっくぅんっ!シュークリームはどこなの?」
「はい。もう原稿終わったの?」
コンビニで買ってきたシュークリームを彼女に渡し、漫画の原稿の進捗を訊ねた。
「ふぇっ?出来たよ。うぅ~っまいっ、あっくんっ!」
シュークリームをかぶりつき頬を膨らましながら短くこたえ、笑顔を浮かべご満悦な彼女だった。