先輩の要求
「うりゃうりゃうりゃうりゃーッッ!!おっしゃーッッ、レア素材ゲットぉぉ〜ぅッッ!!彰人ぅっ、やりぃ〜!!」
「イェーイっ、夏杞先輩!めちゃくちゃかかりましたね、【闇龍の心臓】を獲るまでっ!」
熱狂した実羽羅がテレビゲームのコントローラーのボタンやスティックを激しく操作して、欲しいレア素材を落とす闇龍というゲームの敵を倒し、コントローラーを床に落として俺の身体の前でハイタッチをしてとばかりに両手を挙げた。
俺は実羽羅が挙げた両手の掌に自身の両手を挙げて、パチンと掌を重ねながら歓声をあげた。
「うんうんうんッッ!低い確率でなかなかゲット出来なかったからね〜。やったー……ふぅ〜」
「よかったですね、夏杞先輩。このあとはどうします?あと幾つか作成んのにいる素材がありますけど……」
「そうだなぁ〜うーん……まああとは、これよりは確率が高いから今日は終ろ〜。徹夜しなくていいなぁ〜。もうこんな時間だし、泊まってきなよ、彰人」
実羽羅は一分程悩んで唸っていたが、ゲームを進めるのを辞めてゲーム機の電源を落として、胡座の脚をといて立ち上がる。
「そうですね。でも、今日はさすがに……」
「あおっちに訊かれたら、強引に誘われて断れなかったって言やぁいいんだよ。マチガイなんて起きねーんだから、不安がることなんてねぇ〜って。そうだろ、彰人くぅ〜んっ!」
実羽羅が俺の苗字を呼びながら悪戯を画策してるような不敵な笑みを浮かべた。
茶目っ気を含ませた彼女の笑顔に、つい両頬が僅かに強張った俺だった。
彼女が寝室を出て行き、浴室に歩いていった。
開けられたままの寝室の扉を見つめながら、微かに聞こえるシャワーの水音を聴いて、脚を投げだす。
実羽羅の言う通りで、間違いなんて起きない。
彼女が俺に迫ってくるだけで、臆病な俺には——から。
壁にかけられた時計に視線を向けると、22時が過ぎていた。
背後に短い脚のローテーブルがあり、ほろよいや豊富な酒の缶が何本も並んでおり、酒の肴も載っていた。
汗を流した彼女が首にバスタオルをかけて、寝室に戻ってきた。
いつにもまして、彼女の身体は妖艶さが際立っていた。
彼女がベッドに腰をおろすと、ベッドがギィッと軋んだ。
「この間さぁ、あおっちが睨んできたんだけどさー、言った〜あのこと?」
「言ってませんよ。言えないですよ、美浜になんて……」
「そう……誰かに見られたか。ささっ、それは置いといて、今からお楽しみをシよぅ、彰人」
一瞬だが、彼女の顔に翳りがさし、空気を変えるかのようにテンションを上げながら、誘ってきた。
「夏杞先輩……」
彼女がベッドをバンバンと叩き、ベッドに上がるように促した。
ほんとに、強引なんだよなぁ……
自身の翌日の出る講義が遅いからって……巻き込むなんて、なんだよなぁ。
仕方なく、彼女の要求に応える俺だった。




