重い愛
「しゅーくんしゅーくん、彰人のことでなんか引っ掛かるようなのでもあるの?」
「いんや、なんもねえ。そんな顔してる、俺って?」
正面に広がる白い天井を見つめていると、隣から心配そうな普段よりも低い声で美彩が訊いた。
天井を見つめたままで、軽く返事をして、確かめようのない自身の顔について訊く。
「うーん……私にはそう感じたように見えたよ。私をさしおいて彰人に思いを馳せるなんて、妬いちゃうな〜」
「そう……俺にそんな趣味はねぇって。普通、逆じゃね?妬くってんならさ」
俺は及びもつかない返答が返ってきて、恋人の思考をのみこめず、相槌が絞り出した感の否めないものになった。
彼女はごく稀に、俺の理解しえない発言をする。
「そおぅ?私はしゅーくんの中で生き続けられたら、とても幸せ。他の誰かがしゅーくんを蝕んでるってのが嫌なの。私以外の誰かがしゅーくんの中に入りこむって考えただけで気が狂いそうになるの」
「へ、へぇー……そ、そう、なんだ」
俺は返答に窮し、当たり障りのない(?)返事を発した。
「しゅーくん、愛が重すぎるって思った?」
「えっ、い、いや。そんなことは断じて……」
俺はいわれもない罪を犯した奴だと責められている感覚に陥り、冷や汗を通り越してあぶら汗が身体中の毛穴から溢れているようだった。
「……私のこと、嫌いにならないよね?」
「そ、そんな……美彩のこと、嫌いになんか、なんないって」
俺は彼女の機嫌を損ねないように返答に気をつけ、動揺を必死に隠して返答を告げる。
「えへへぇ、その答えが聞けて安心したよ。私もしゅーくんのこと大好きだよっ!」
口端を緩め、ご満悦な笑みをたたえベッドのシーツに触れてない左腕を俺の背中に回し、恋人の胸に顔を埋めて笑う美彩。
「俺も、あ、安心だよ、美彩」
生きた心地がしないまま、彼女の背中に右腕を回し抱きしめた俺だった。
さすがに、このまま彼女と抱き合うことは出来なかった。
彼女の身体の温もりを、うんぬんなどと言えない精神で、彼女に委ねた。
今日もであるが、彼女とは一線は越えていない。
お互い裸ではあるが、責任の取れそうもないことには及んでいない。
「——しゅーくん、彰人ってまだ発展してないの?」
「そうらしいよ、美彩」
「勿体無いよねー、彰人ってさぁ。蒼依が受け入れてんのに、蒼依の胸すら揉まないなんてね〜」
谷津瀬駿介と島田美彩は、シャワーを浴びて二人でひとつのベッドの上で就寝した。




