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勘違い

起床した俺の左腕にプニプニとした柔らかい感触が絡まっていた。

それは——美浜の腕だった。

俺の左側に横たわる人物の安定した心地よさそうな寝息が耳を襲い続けている。

横向きに横たわる彼女の無防備な寝顔は可愛い。

寝顔だけが、ではなくて全体的に、だ。


薄い掛け布団で隠れた彼女の身体——裸体をどうこうしようということには思考は至らない。

俺は周囲が口にする——ムラムラする、という感覚がよく分からない。

俺だってオトコなわけで、異性の身体に興味がないわけではない。

ないけれど、他人を……異性を弄ぶようなことに抵抗を覚える。

他人の傷付いた表情を瞳に捉えてしまうことに恐れを抱く体質(タチ)で、いかがわしいモノを興味本位で観たら、えずいてしまったほどだ。


「にゃ……にゃ、ぅぅうう……あっちゃん、すぅっ……好き……」

彼女が寝言を吐いた刹那、スマホが着信を告げた。

「ぅぅぅう……しもし」

『やぁ〜!おはよう、鴻上ぃ〜……って寝起きかーぁ?』

「んだよぅっ、こんな朝っぱらから。寝みぃんだよ、さっさと用件を言え」

『あー悪りぃ悪りぃ。そんな不機嫌なの、珍しいな』

「だからぁー谷津——」

『ダブルデートぅ〜を今週末にって、用件んぅ!んじゃな〜ぁ、鴻上ぃ!あっ、蒼依ちゃんを抱いた感想、聞かせろー』

「おい待ッ——」

ブツッ、ツーツー……と通話が切れた。

谷津瀬の奴、何だってんだ。

スマホを投げ捨てたくなった。

「……したぁー、あっちゃん?」

「あっ……起こしてごめん。何でも、ない……」

寝ぼけ眼を擦りながら、寝起きの声で訊いてきた美浜に返答した俺。


「——はさぁ、谷津瀬のやつは夜更かししたんだと思い至ったんでしょ」

「夜更かししたからって、何であおちゃんを……その、えっと、だっ……抱いたってなる?」

「あーぁ、まあ……それは……登校中にしよ、それは」


朝食を摂るために、リビングへと向かうことにした。


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