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プロローグ 引きこもりの幼馴染への想い

「大きくなったらあっくんのお嫁さんになりたい」

「ぼくもみーちゃんとケッコンしたい。約束しよっ、なっ!」


彼女──幼馴染の玖渚美月とそんな約束を交わしたのは10年も前のことだ。

思い返してみるとよく恥ずかしげもなく、結婚を誓い合えたなぁと呆れる。


幼いながらに交わした──誓い合った婚約なんて案外忘れることは出来ない。

高校二年である現在(いま)もはっきりと思い出せるほどに脳に──瞳に焼き付いている。


無邪気に笑いあって、バカやって、擦り傷やかすり傷を身体に刻んで陽が沈む直前まで遊んでいたのは過去のことだ。


小学生の頃は笑顔が絶えることもなく、何事もなく無事に小学校を卒業した俺と幼馴染の彼女だった。中学二年になった頃から彼女の表情が暗くなり、休みがちになっていき、不登校になってしまった彼女。


不登校の原因は言うまでもない──イジメだった。


次第に彼女が浮かべていた笑顔が消えていくのを何も出来ずに立ち尽くしていた。


誰もが一度は陥るであろう不安──イジメの矛先がこちらに向くことへの恐れ、恐怖がじわじわと身体中に伝わってきてしまい、彼女に手を差し出すことすら出来ずに不登校へと追い込んだ。


こんな俺が──俺自身が彼女の前に姿を現したら、と考えただけで怖くなる。怖すぎる。


彼女からしたら、俺は裏切り者だ──殺したいほど憎んでいるだろう──俺が彼女の立場に立たされていたら間違いなく、瞳にそう映る。


彼女が全てを許してくれるとは思っていない。


だけど、どうにか......少しずつではあるが、笑顔をみせてくれていることが──それだけが嬉しい。







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