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第一章 1話 いきなり追放とかツイてない

「お前さ、いつまで経っても魔法使えないから追放な」


突然俺のクラスのリーダー格、ブライトがとんでもないことを言い出した。


「笑えない冗談はやめてくれよ、俺は何もしてないだろ」

「何もしてないからダメなんだよ。いい加減魔法諦めれば?w」


これまでもこいつを始めとするクラスメイトに散々罵られてきたから慣れっこといえば慣れっこだ。


「あ、お前いつも通り俺らの中で終わると思うなよ。今回は俺の地位を利用して学園に働きかけたから」


ブライトは上位貴族だ。代々王宮の番人を任されている。ブライトもすでに才能の片鱗を見せており、将来は番人を継ぐんだろう。

とはいえ、この学園も王立だ。いくらなんでも一貴族の意見で動くことはないだろう。そう思っていたのたが、


「ブライト君の言う通りだ。君にはこの学園は勿体ない。追放処分が下されたよ。」


魔法科班長のライカ先生が現れ、あろうことかブライト側についたのだ。


「ま、待ってください!突然すぎます!どこがお気に召さなかったでしょうか?」

「いやさ、魔法の才能が無いやつをこの由緒正しきハイレル王立学園には似合わねえってこと。魔力とやる気だけはあるから我慢してやってたけどもう限界だ。早く出ていってくれ」


ブライトはそう吐き捨てた。クラス中に爆笑が巻き起こる。それは若い俺にとって、あまりにも突然で、あまりにも残酷な宣告だった。


〜〜〜


俺、ギーヴァ・ラウェイは王立学園魔法科に通う学生だった。

入学試験の魔力測定で史上初の「測定限界値超過」を叩き出した俺は周囲からの期待も大きく、順風満帆なスクールライフを送れるかのように思われていた。


しかしだ。俺には膨大な魔力はあれど、魔法の才能、すなわち魔力を属性魔法に変換する力が著しく欠落していた。同級生が次々と強力な魔法をぶっ放していく中、初級魔法のファイヤーボールさえろくに使えない始末。あれだけ周りをうろちょろしていた取り巻きたちは皆、俺の元を離れ、罵詈雑言を浴びせてくる。


教師も同様だ。自分が勝手に残業して補講を押し付けてきただけなのに、やれ才能が無いだの、やれ私の時間を返せだの、散々な言われようだった。


その間も、俺の魔法は一切上達することはなかった。そしてついに、愛想を尽かされた俺は魔法科を追放されることとなったのだ。


〜〜〜


「いつまでも落ち込んでいても仕方ない。食いつなげる職を探さないと」


ついさっきまで学生だったこともあり、俺の貯金はあってないようなもの。しかし、学歴も実績もない俺に定職などすぐに見つかるはずもない。とりあえず俺は冒険者ギルドに出向き、今日の食費と宿代を稼ぐべく依頼を受けた。内容はスーパースライムの討伐。スーパースライムと銘打っているが、少しステータスが高い程度でノーマルスライムと大した差はない。

しかも難易度の割には報酬もおいしい、っと。とりあえずこれを受けることにしよう。


〜〜〜


というわけで、スーパースライムが多く生息する『だだっ広い野原』にやってきた。フィールド名の通りただただ広い野原。それだけだ。


こっちから探す必要もないようで、さっそくスーパースライムが2、3体襲いかかってくる。


「いっちょやったるか。あと、魔法科で読んだ禁断書の内容も気になるしな」


というのも、俺は追放を喰らう前日、図書館で魔法の入門書を読み漁っていた。その時に『魔力の禁断書』という本を見つけたのだ。そこにはこう書いてあった。


「汝………魔力………………………流…込……」


管理状態があんまりよろしくなく、全部は読むことができなかったのだが、ここはひとつ仮定をしてみる。


魔力を敵に流し込めばいいんじゃないか?


そんなのやったこともないし聞いたこともない。

第一、そんなことをして俺が安全な保証などない。でも俺はやるしかない。どん底まで落ちてるんだ。このまま流されるままに生きてるのはちょっと嫌だ。


というわけで俺はスーパースライムめがけて猛然と駆け出した。普通の魔法職なら絶対にやらない。


「ゴギギィィィィィ!!」


スーパースライムの体が俺を包もうとする。俺は右手をかざし、魔力の流れを掌へ集中させる。


解放(リリース)!!」


極限まで凝縮された俺の魔力がスーパースライムへと伸びていく。魔力は巨大化したスーパースライムを覆い尽くし、スライムの体を蝕んでいく。


「なんて恐ろしい力だ…」


そう呟いているうちにスライムのドロップ報酬が俺の手元に入ってきた。2秒も経ってない。


この「魔力」って俺らが知っている以上のポテンシャルを秘めてるんじゃないか?こんなに早く敵を討伐でき、疲れもほとんどない。この調子なら小銭くらいはすぐ稼げるだろう。


そう目論んで、俺は広大な野原を駆け回っていた。その時、


「きゃあああ!!!」


奥の方から何かに追われる人影を視認した。俺はその誰かを助けるべく駆け出した。

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