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「お疲れ様〜。」

少し間延びしながらドアを開けたのは、高校の友人で今は神奈川で一緒きルームシェアをしている東 鏡花だ。


「おー。」

だらけた姿勢で東の方を見ずに返事だけ返す。

そんな様子を気にもせずに東は足を進める。


「次はどんなジャンルになったの?」

にやにやとした笑いを浮かべる東に少しイラッとするところがある。

しかし、彼女には色々と苦労をかけている自覚もあるので無碍にはできない。


「恋愛」

一言そう伝えると、大きな笑い声をあげた。


「恋愛!なっちゃんに恋愛はむりやら〜。」

「うるせー。分かってるよ、そんなん。」


関東圏に移り住んで7年経っても地元の方言が抜けない東は、楽しそうに横に座り込んだ。

むしろ、方言を正す気もないようだ。


「んで、恋愛のれの字も知らないなっちゃんはどうするおつもりで?」

「にやにやすんな!そうだなー。この時期のデートスポットとやらに行ってみますか。」

「夏のデートスポットってどこよ?」


東の言葉を借りるなら、お互い恋愛のれの字も知らない同士、デートスポットなんて言われても思いつくつところなど無い。


先程、樋口の電話が終わった後に布団に放り投げた携帯を手に取る。


神奈川、デートスポット、夏と簡単に検索をかける。

適当にサイトを見て行けば、江ノ島と言う文字が目に入る。


「そういえば、えのすい行ってみたいんだよね。」

ポロッと零れた言葉に、東は切長の目を目一杯広げて瞬きを繰り返す。


「え、もしかしてデートのお誘い?」

普段なら何でだよ!!!と突っ込むものだが今日は樋口とやり合った後だ、そんな体力は残されていない。


「いや、普通に行きたいだけというか…行きたいだけだわ」

「ほぁー、いいんじゃない?海も直ぐだからデートスポットには最適なんじゃ無い?」


んじゃ、明日行こーと発言しながら東は部屋を出た。

自室に取り残された私は扇風機からくる生暖かい風を受け、窓の外から聞こえはじめた雨音に耳を傾ける。


そういえば、明日雨予報だったような…東に相談しようと思うのに瞼は鉛のように重い。


また、後で考えようと決意して微睡み始めた思考にストップをかけた。

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