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2.マルニア

マルニア、聞いたこともない国だ。

「マルニアか。色々聞きたいことがあるのだが、まずこの国に入国できるか?」

「なんだ、入りたいのか、それならそこの門から入ればよかろう。ついて来い」

そう言うとちっこい犬の獣人は尻尾を振って先を行った。門の両脇にはひとりずつ門番が立っている。その鬱の一人の方に駆け寄っていき、取り合ってくれた。

「おい、リューク!珍しい客人だ、入国したいそうだ。」

リュークと呼ばれた彼はライオンだろう、いかにも門番らしい風貌をしている。彼は僕を一瞥し、一瞬固まったが何事も無かったかのように「そうか」といいながら僕の前までやってきた。

「僕はイツキと言います。入国をしたいのですが...」

「私は門番をしているリュークです。あなたのような入国者は珍しいのでいくつかの質問と検査の後、上に報告して許可が出ないことには入って頂くことができません。ですのでその間は門番用の宿舎に滞在してもらうことになりますが、それでもよろしければ今から手続きを行わせて頂きます。」

「はい、大丈夫です!お願いします。」

「それでは中へどうぞ」


門の中に入ると、すぐ横にある建物の中へ通された。建物の中に入ると驚いた、外から見た時はそんなに大きいとは思わなかったのに中は見た目以上に広い。

「こちらです。この部屋でお待ちください。」

そう言ってリュークは部屋を出て行ってしまった。そういえば、最初に出会った獣人もいつの間にかいなくなっている。

部屋の中に飾られているものが珍しくてソファーに腰をかけながら眺めていると、ドアがノックされた。


「失礼します。わたくしはアイリス、あなたの入国審査を担当します。」

ドアの方を見ると綺麗なウサ耳を持つ女性で思わずボーっと見入ってしまっていると

「あのー、イツキ様ですよね?」

「っはい!すみません、アイリスさん。あまり見慣れていないので、とても綺麗だと見入ってしまいました。」

アイリスさんは何故かその言葉に驚いたように目をパチクリさせた。

「綺麗...そうですか、ありがとうございます。それでは先にいくつか質問をさせてもらいますね。」


質問の内容は”どこから来たのか” とか”何しに来たの” などのごく普通のことだったが、どれもまともに答えられるものでは無かった。誤魔化してもどうしようもないので僕はここまでたどり着いた経緯を伝えるとこにした。

どうせ信じてもらえないだろうと思っていたけど、アイリスさんはただ黙って最後まで話を聞いてくれた。その上でこの世界のことについて話してくれた。


「まずここはマルニア王国、獣人の国になります。この世界には人間、獣人、エルフ、精霊、そして悪魔の五種族が共存していて、300年前まで種族争いが耐えることなく続いていました。しかし300年前の最後の戦争のときに五種族の長が集まってある契約の元誓いが立てられました。それ以降徐々に争いは減り、今ではどの種族も平穏に暮らしていると思います。と言うのもこの国では他種族の国へ行くことが暗黙の了解で禁じられているので、この国以外のことはよくわからないと言うのが現状です。」


「と言うことはやっぱりこの国に人間はいないのですね。」

「はい。特に、人間はかつて獣人に対して非道な行いをしてきました。ですので人間のことをよく思わない者も少なくないのです。 それにしてもイツキ様、草原から歩いてこの国までたどり着いたと言われてましたが、この近くに来られた時何も無かったのですか?」

「何もとは一体何ですか?特にこれといったことは無かったですね。」

「そうですか、質問は以上となります。最後に、魔力属性とステータスを見させてもらいますね。こちらのプレートに血液を垂らしてください。」

プレートとともに渡された針で指先を刺し血を垂らすとプレートがフワッと光りを放ち刻印が刻まれていた。

「これでこのプレートはあなたのものになりました。これは魔力を流すことによって今のイツキ様のステータスが表示されます。今回はイツキ様のことを上に伝えなければなりませんこので、私の方でも確認させて頂きますね。」


魔法とかよくわからないけど「気」みたいなものかな、多分。とりあえず指先に集中して、

「!!!!!!!」


ステータス

-----------------------

Lv: 1  HP: 10000/10000 MP: 30000/30000

種族  :人族

職業  :???

スキル :鑑定・間接魔法無効化・治癒

魔法属性:闇

神の祝福:神の王ゼウスの加護・火の神バルカンの加護・水の神ネプチューンの加護・風の神プロセルピナの加護・光の神アポローンの加護



魔法属性「闇」とか完全に悪役だろ。普通がどれくらいなのか分からないけどレベルは1だし。

視線を感じハッと横を見ると前のソファーに座っていたアイリスさんがいつの間にか横に立って僕のステータスを凝視していた。

「・・・・・・・。」

「アイリスさん?やっぱり僕何か問題ありましたか?」

「・・・。問題は、ないと思います。ですがこんなステータスは初めて目にしたので少し驚いて...失礼しました。こちらからして頂きたいことは以上になります。これからおよそ3日はここに滞在していただくことになると思います。外に出ることはできませんが建物内と中庭であれば自由に行動していただいて大丈夫です。寝室とバスルームはこの扉の奥にありますので。」

「ありがとうございます。今日はもう休みます。」

「わかりました。それでは私はこれで失礼します。」


本当に長い1日だった。自分で思ってたよりもよっぽど疲れていたのだろう、ベッドに横になると数秒としないうちに眠りにつていた。

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