日常の非日常
※これは日常コメディーです
俺は女子高生が少しばかり苦手である。なぜかって?それは、何を考えているか全く分からないからだ。
第1話
いつも通り登校してると道端にバナナの皮を持って真剣な顔をしている女子高校生を見つけた。うちの制服だな、あれ。できるだけ気配を消して通り過ぎよう。
「あ、君!」
絡まれた。もう見るからに面倒臭そうなやつに絡まれた。
「はい。」
「えっとさ、ちょっとこのバナナの皮を踏んでくれる?」
「………これがJKか………」
「え?」
「あ、いや何でもないです……で、踏めとは?」
「そのまんまだけど……向こうから歩いてきてこの皮を踏んで欲しいんだ☆」
欲しいんだ☆じゃねえよ。なんだこいつ。最近のJKって初対面の人にこんな意味わからん絡みすんのか。
「………わかりました。」
俺は驚きと面倒臭さで了承してしまった。
「行きますよ。」
俺は歩いた。ひたすら歩いた。バナナの皮を踏んで彼女の横を無言で通り過ぎ、何もなかったかのように清清しい気持ちで学校へ向かった。今日も空気が美味しいな!
第2話
今朝の望みもしないイベントのおかげで危うく遅刻するところだった。あいつはちゃんと遅れずに学校に着いたのだろうか。まあそんなのは俺が気にすることじゃ………
「ああ!君!なんで黙って先行っちゃうの!」
神様、俺は悪い子でしたか?なんでこんなことするんですか?
「あぁ、すまん。」
「ちゃんと感想聞かせなさいよ!」
「え?感想…?」
「バナナ踏んだ時の感想!ほら、早く!」
「えぇっと……」
もう意味がわからない。何を言えば良いんだ。ああもうめんどくさいなぁ……
「えっと…その……あの……あれだよあれ。」
「……あれって?」
「えっと……超…神秘的……だった。」
「……………………なるほど!」
え、嘘でしょ、こんなんで納得するのこの子。自分で言っといてなんだけど俺には理解不能だよ。
「ありがとうね!」
そう言って彼女は自分の教室に戻って行った。そしてこの日、幾度となく彼女に絡まれた。
第3話
いつもと変わらない通学路。普通が一番幸せということに今さら気がついた。なんだったんだ昨日の悪夢のような出来事は。神が俺がJK苦手なのを知っといてわざと巡り会わせたのか。言っとくが俺はお前のことなんて頼りにしてないからな。調子乗んなよこの……
「あ!また会ったね!」
ごめんなさい。調子に乗っていたのは俺でした。
「……」
「お?なんだぁ?元気ないなぁ?彼女にでもフラれたのかい?お姉さんが慰めてあげy……」
「はぁああああああいいいっっっっ!!!」
「……お、おう…どうした?」
「すみません、邪気を祓ってました。ところで今日は何の用で?」
「なんか余所余所しいな。私たちもう友達だろ?気楽に行こうぜ!」
「キエエエエエエエエエエエ!!」
「ななななんだ!今度はどうした!?」
「はは、すみません。実は昨日から寝不足でして、なんか『私たちもう友達だろ?』って幻聴が聞こえたので恐怖のあまり叫んでしまいました。」
「お?幻聴じゃないぞ?私たちはもう友達だ!」
「……………ナンデ?」
「もぉう、忘れたのかぁ~?昨日あんなにバナナの話をしたじゃないか~。」
「………え、だから?」
「バナナの話をしたら友達だろ!私たちバナ友だぜ!」
「などと犯人は意味不明な供述をしており…」
「なんでだよ!」
「こっちがなんでだよ!なんだバナ友って!ふざけんな!それにお前誰だよ!」
「私は勘解由小路だ」
「…………あ、やべ、もうこんな時間!俺行かなきゃ!じゃあなバナ子!」
「あ!待て!お前の名を教えろ!」
この後めちゃくちゃ鬼ごっこした。