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『幸せ』

 あの頃の私は、生の意味も死の意味もよく知らず、恋と愛の境目もよく分からない子供だった。

 一端の大人のつもりでだったくせに、愚かで、無知で、そして何の力も持たなくて。


 それでも、馬鹿だったとしても、不確かなものを絶対だと信じていられたのは――きっと、幸せだったからだ。

 幸せだったのだ、間違いなく。


 神様を恨んだけれど、世界を憎んだけれど、断言できる。

 君といて、あなたといて、本当に私は幸せだった。


 たとえどれだけの時が流れたとしても、忘れはしない。


 ねえ、あなたは、幸せでしたか。

 君は、幸せでいてくれますか。

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