95、初級学校開校の当日(2)
入学式。
自分の息子や娘や孫の姿を間近で見たいのはわかりますけど。。。
さて、国王陛下にはいたずらされたけど次は入学式だね。
式典の行われた本館の小ホールから屋内運動場3階の大ホールに移動した。
教職員は開校の式典に参加していたので入学式の受付と誘導整理はは役所から派遣された職員だ。
壇上には初級学校の幹部教職員と1年生担当教員が着席する。
あれ、あそこで揉めてるな。
「ここでは息子の姿が見えないじゃないか。もっと前の席を用意しろ」
「保護者の方の席は来場された順番になっています」
「私は子爵だぞ」
「この国の学校では貴族・平民ということは関係ありません」
「平民が貴族をないがしろにするとはなんだ。生徒も貴族と平民を分ければいい。そして貴族の生徒の側に貴族の保護者の席を設けろ」
「そのようなことはできません」
そうこの国の学校では貴族も平民も平等だ。
学校以外でもかなり平等に近い状態にある。
貴族ということで権力を振りかざすのはそれなりの理由があるときだ。
それがわからない貴族がいる。
「全くこの領の青二才公爵は何を考えている。貴族というものをわかっていない。国王も国王だ」
言っちゃったよ。
仕方がない、権力を振りかざすか。
「私がその青二才公爵ですが」
子爵の後ろから声をかけて。
振り返って驚いたみたいだね。
「その青二才を公爵にしたのは私だよ」
国王もさらに追い打ちをかけたよ。
先程まで顔を赤くして文句を言っていた子爵が青くなった。
「ここは貴族も平民もない平等の場です。皆さんの迷惑になるので誘導されたお席におつきください」
私はこのくらいで怒りませんよ。
「ああ、ゴロ子爵、王都の戻り次第王宮に来るようにな」
ああ、国王様はお怒りモードですね。
子爵は従者に支えられながら席に着いたよ。
「皆さん、お騒がせしました。もう大丈夫ですよ。ここは平等の場ですから」
「そうだ、タケハヤ公爵の言うとおりだ。彼が理事長であるこの学校なら安心じゃよ。このアル=ムサシノが保証する」
国王陛下まで言ってくれたよ。
様子を見ていた他の保護者が安堵の表情を浮かべた。
あ、拍手まで。
少し信頼されたかな。
国王陛下のお墨付きだし。
まあ、貴族の意識改革は大事だよね。
権力は必要だけど使いようだよね。
さて、始まる前に一波乱あったけど入学式も無事に進行したかな。
だけど国王陛下、私をそんなに持ち上げないでください。
恥ずかしいですよ。
何も出ませんよ。
一所懸命ポーカーフェイスです。
あ、花見の時のエピソードまで。
もう時間ですよ。
なんで皆さんそんなに食いつくように聞いているの!
はあ、なんとか時間通りに入学式が終わった。
私の挨拶?
かなり短めにしました。
他の来賓もね。
後で耳元で「国王陛下に食われちゃいましたね。公爵殿も大変だ」っと言って笑っていらっしゃいました。
ご配慮ありがとうございます。
次は始業式、まだまだ何かありそうな予感がします。
ビビット!
お読みいただきありがとうございます。




