89、領都のごみ処理(2)
リサイクル施設稼働開始。
ごみ集積場は内壁の北門を出て北に500mそこから東に500m進んだところにある。
「北門を通るごみの運搬馬車について不満があるようです」
内政官のルルさんからの報告だ。
住宅街4区の住民からの苦情があるようだ。
地球でもごみ処理場やごみ埋め立て地付近では運搬車両についての苦情が出るな。
コンテナに入れて、防臭措置を施していても苦情が出るか。
見た目かな。
「匂いが漏れているのかな?」
「調べましたがそのような事はないようです」
「輸送方法を検討すべきかな」
「それも難しいですよね」
いやできないことはないな。
実は雨水管と下水道管と上水道管はメンテナンスを配慮して共同溝を作ってある。
当然通路があり、軽自動車サイズなら通ることができる。
ところどころに駐車できるぐらいのスペースもある。
内壁の下に通路を作るのは防衛上抵抗があるけど。。。
ああ、内壁の延長と考えればいいか。
では内壁の手前で出入りの確認。
地下道を・・・・
ごみ集積場から下水処理場まで共同溝がある。
これを利用するか。
各ごみ集積場から地下にごみのコンテナを降ろすシステムと人員の配置。
共同溝の強化、防衛。
集積場と今日建造するリサイクル施設も防御しなくては。
ここから害があるものに侵入されては困る。
運搬車両は軽トラサイズの魔力駆動の自動車だ。
共同溝内の通路は一方通行にする。
この案で行ってみることでルルさんと合意した。
余裕を見て5日後からにする。
直ちにルルさんが部下に指示を出した。
優秀だね。
さて、リサイクル施設の建造を始める。
事前に検討を重ねてあるので精霊さんたちにお願いして速やかに作業を進めることができた。
並行して内部に設置する機材や運搬車も製作していく。
午前中には建物ができ、中の機材も昼食をはさんで午後2時には設置が完了した。
同時に共同溝の通路から集積場への通路も整備した。
なおごみを降ろした運搬車は地上を港門まで行き、そこから共同溝に入れるようにした。
慎重に稼働してみる。
ごみが処理されて様々な物質に分けられて蓄積されていく。
予定通りの処理能力を発揮しているな。
一晩稼働してみて問題がないか検証を行う。
周囲への影響も含めて調べることにもなっている。
環境への影響はないはずだがこの検証も大事だ。
予定より多くの仕事を予定より早く終了することができた。
これも精霊さんたちの手助けによるものが大きい。
精霊さんたちやお手伝いいただいた役所の関係者・技術者や婚約者達に感謝しながら領主館に戻ることができた。
お読みいただきありがとうございます。




