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不思議なパン  作者: TKSZ
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6 再会

近づいてきた女性はカタクラ村の村長コンさんと治癒士の姫様ミオさんだった。


「タカシさんご無事だったのですね。話はコンさんから聞きました。神鹿様が一緒だったのですね。でも急にいなくならないでください。心配しました」

『ロク様、ミオさんにはどこまで説明していいのだろう。神様に禁じられていることはあるのかな?』

『大丈夫ですよ。特に禁じられていることはありません。タカシ様の判断で説明してください。ミオ様もコン様も信頼できる方です。私も二人に念話を使おうと思えば使えます』

「ミオさんご心配をかけました」 

「タカシ様、ミオさん、神鹿様。ここではなんですから村の集会所に移動しましょう。昼食も用意させています」


コン様に連れられて村の集会所に。

集会室や食堂・談話室がある。

客間も3部屋ある。

どの部屋も土足で利用できる。


昼食は和食だった。

ご飯・味噌汁・焼き魚・漬物。

村から10分ぐらいのところに川があり、その横に池を作り、魚の養殖を行っている。

村から川までの間には水田があり、米を作っている。

これらは村の大事な産業だ。

魚はニジマスのような魚でサケのようにピンクサーモンがきれいだ。


「この魚は白身なのですが数年かけて大きく育てるとこのようなきれいな色の身になり、脂がのっておいしくなります。各地で人気が高まっています」


まさにニジマスと同じだな。

味もいい。

生きたまま王都に運んだり、燻製にして販売しているらしい。


「おかげでこの村も潤ってきているのですが、やっかみからの嫌がらせが増えて困っています。さらに自分の領地にしようと画策するものが後を絶ちません」


カタクラ村はこの国では自治領となっている。

裕福になってきた狐の獣人の村を自領に取り込もうという動きが活発になってきている。

王国もそのような動きを抑制しようとしているがうまくいっていない。

実はヤリミズ村やナリタ町・タカオ町・ヒカワ村も同様なことが起きているのだそうだ。

今回の病気騒ぎ裏が見えてきたようだ。

カタクラ村では村長のコンさんが独身なのをいいことに他領の領主領主の子弟からの縁談が増えている。


「私を妻や妾にしたからといってどうにもならないのですが。村のことは合議制で決めていますから」


とコン様は笑う。

食後、お茶を飲みながら昨日からのことを二人に説明することにした。

自分が此処と地名が似てるが異なる地域から来たこと。

文化や文明が異なること。

パンは自宅でホームベーカリーで焼いたこと。

昨日は小山内裏公園からミオさんがいたところに来たこと。

昨日、神木のところで念話で話しかけられ、パンの準備を指示され帰宅させられたこと。

夢で怪我をした白いシカを見せられたこと。

片倉城跡公園からこちらの世界に来たこと。

ロク様と意思疎通ができること。

ロク様と協力して治療や結界の修復を行ったことなど。


「やはり、タカシ様は神鹿様と意思疎通ができたのですね」

「はい、念話が使えます」

『ではこれも聞こえますか?』

「え、コン様!」

『私もできますよ』

「ミオさんも?」

「私たちは神託を受けることができます。神様からこのような力を授かっています」

「タカシさんには私がタカオで巫女をしているとお伝えしましたよね。コンさんもカタクラ村の巫女なのです」

「タカシさんも神様と何かしらの縁を持たれた存在なのでしょう」

「そ、そうなのでしょうか」


いろいろな所で神社やお寺・祠や道祖神を見るとお参りをしたり、軽く会釈をしていくことが多いけど。。。。

参拝するときも特別お願いをすることもない。

ちょっとご挨拶だけ。

あとは、今日もありがとうというぐらいだけかな。

自分は神様・仏さまを敬ってはいるけどあまり神頼みはしないよね。

他の人の信仰は自分を害さないなら自由だと考えている。

でも昨日の帰宅をお願いしたということになるかな?

私たちの場合、念話は5m以内で相手を見ながらではないとできないのだとか。

さてこれからどうしよう。

またヤリミズ村に行かないと帰れないのかな?


『一晩滞在して、明日ご帰宅してはいかがでしょう』

『帰り方を教えてもらえるの?』

『はい、ここから直接帰れます。その前にいろいろお話をしたいことがあります』


私はカタクラの村に1泊することになった。

ミオさんはタカオの町に今日中に行かなくてはならいということだ。

慌ただしくなったのは私がヤリミズ村で行方不明になった影響もあるようだ。

申し訳ない。


「大丈夫ですよ。神様の考えだから」


私が見つかったということを知らせるために村人がミオさんの書状を持ってヤリミズ村に行ってくれることになった。

ミオさんは私をカタクラ村に置いていくことを残念がっていた。

また近いうちに会えるとロク様が伝え、ミオさんは出発していった。


今、客間にはロク様と自分だけがいる。


『今から鑑定について学んでもらおう』

『鑑定ですか。そういえば、ミオさんは私の持ってきたパンを「回復のパン」と鑑定していましたが、ロク様は「治癒のパン」と鑑定しましたよね。具やパン少し違うだけでこのパンが違う効果を持つものになってしまうのですか?』

『そのことも含めて説明しよう。それから結界をこの部屋に施したから普通にしゃべってよい。私からは念話だが。タカシ様が慣れない念話を使うのは疲れるだろう』

「はい、そうさせていただきます。お願いします」

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