28 神殿
神殿へ
この後が宴なのだが、騒ぎの事後処理のために少し時間が空いた。
控室で王族や公爵の家族とともに準備ができるのを待っている。
国王陛下や宰相やナリタ公爵は別のところで協議中だ。
流石に今日の主賓というべきタカシまでを駆り出すわけにはいかない。
まだ1時間ぐらいは待つことになりそうだ。
王都に来たらやることで何か忘れているような?
あ、神殿に行くようにロク様に言われていた。
「ミオさん、少しいいですか。空いてる時間で神殿に挨拶に行きたいのですがよろしいでしょうか」
「はい。まだ大丈夫ですね。では王都神殿の巫女であるルミに案内させましょう」
「それは助かります。よろしくお願いします」
ミオさんがルミさんを呼んでくれた。
「ではタカシ兄さま。ご案内します」
「よろしくお願いします」
「私、男兄弟がいなかったので兄か弟が欲しくて。タカシ様が兄になってくださるのがうれしいですわ」
「はあ、こちらこそ」
「何かつれないですわね。私では妹として不満ですか?」
「いや、そんなことは・・・・」
「まあ、兄さまかわいい」
「あまりからかわないでくださいよ」
「ふふふ・・・、昔の王族では姉と妹の両方を夫人にした方もいらっしゃいますよ。ことによると私もタカシ様の奥方になったりして」
「ええーーーー昔は昔ですよ」
「ほんとに兄さまをからかうのは楽しいわ」
「もうー」
すごく明るいけどすごく危ない妹だ。
「こちらですわ」
本殿の中に入ると光を感じた。
頭の中に声が響く。
『やっと来たか。王都に着いたらすぐに訪れると思ったのに』
『申し訳ありません』
『チヨダ神様、タカシ様もいろいろありましたからお許しになってください』
ルミさんがフォローしてくれた。
『わかっているよ。時間がないから端的にいこう。ムサシノ王国とその周辺では邪悪なものが動き始めている』
『それが誰かわかるのですか』
『複雑だ。隠蔽が施されている。ただ、中心には邪神がいるな。賢者の力で邪神を打ち破り、差別をなくし、豊かで平和な世界を築いてほしい』
『文化や技術も地球から持ってきてということですか』
『タカオ神からも変革については聞いていますね。貴方がそれを担う運命にあることもわかりますよね』
『はい』
『まだ、邪神に対抗するには不足するものもありますが、貴方なら必ず成し遂げるでしょう』
『わかりました。力不足ですが努力します』
『謙虚でいいですね。では貴方に相談相手にもなる手伝いをつけましょう』
『はい?』
目の前が光って一羽の鳥が出現した。
『鳳凰です』
『火の鳥とか不死鳥・フェニックスといわれる』
『そう考えてください』
『燃えていないのですね』
『時と場合を考えますよ。彼女は火と風の精霊です』
『精霊なのですか』
『いつもは風になって貴方に同行してくれます。必要な情報を貴方に与えたい、貴方の命に従い、調べてきてくれます。攻撃や防御もできます。「魔法のパン」を与えて主従の契約をしてください。』
収納から出した『魔法のパン』を鳳凰に与える。
『ありがとうございますタカシ様。ホウといいます。よろしくお願いします』
『こちらこそよろしくお願いします。ホウ様』
チヨダ神様にお礼を申し上げて神殿を去る。
去る前にルミさんがタカシをからかわないようにチヨダ神様が釘を刺してくれた。
ホウ様は風となって見えない状態でタカシに付き従った。
控室で待つ4人の婚約者は見えないがホウ様の存在が分かるようで驚いた表情で迎えてくれた。
ルミさんの妹属性は危険?
相談相手ができました。




