241、ヒハ国(4)
「気が付いていたか」
「はい、あの指輪は魔法道具です。かなり強い隠蔽が施されていましたが間違いないでしょう」
ヒハ国の国王がつけていた指輪についてアスカ神様と話している。
ヒハ国の国王の指にあった指輪のひとつが「傀儡の指輪人形」ということが分かった。
隠蔽を掻い潜って鑑定するのは少し大変だった。
「傀儡の指輪」の操者は誰なのかはわからなかった。
心配した通り不明だった魔法道具のひとつが出たきた訳だ。
ここで一つ心配な事は「傀儡の指輪人形」は一つだけなのだろうか。
複数の人形にされている人間がいると厄介さが増すよね。
「その辺はわからないな」
「そうですよね。あとは『狂乱のネックレス』と『殺戮の長剣』の在りかですか」
「こちらも手掛かりがない。困ったものだ」
改めて在りかのわからない二つの魔道具について考えてみる。
もし、「傀儡の指輪」の操者が持っていたらどこで使ってくるか。
「狂乱のネックレス」--着けると精神を蝕み、殺人衝動に支配され、着用者本人の魔力を吸い尽くす。
「殺戮の長剣」--さやから抜かれると手あたり次第に人を切り、柄を持った人物の魔力を吸い尽くし死に至らせる。
これが魔術武術大会で国王側が使わってくることはないだろう。
むしろこちら側の誰かに着用させようとするか。
それともヒハ国から離れた地で誰かに着用させるか。
兎に角各地の警戒を魔術武術大会に合わせて高めていく方がいいだろう。
アスカ神様とは明日再び相談することにした。
クレナイさんとミドリさんのどちらかに従者を頼むのでそのことを話さなくてはいけない。
「そういうわけで二人のうちのどちらかに従者をしてもらおうと思う。最終決定は試合の直前になると思う。どうだ大丈夫かな」
「はい、タカシ様に迷宮に連れて行っていただいたお陰で強くなることができました。やらせてください」
「私も頑張ります」
二人が快諾してくれた。
二人のうちどちらになるかは相手の状況等の情報に基づいて選ぶことになる。
そして二人と話していて思いついた。
「迷宮・・・・」
「はい?」
「迷宮で『狂乱のネックレス』や『殺戮の長剣』が宝箱に入って出てきたらどうだろう」
「喜んで持っていきますよね」
「そうだ、しっかりとした鑑定ができなかったら危険だ」
「すぐに迷宮の管理事務所に連絡をした方がいいですね。場合によっては一時的に入るのを禁止した方がいいかもしれませんね」
すぐにカタクラ村近くの迷宮には危険な魔法道具がでるかもしれないことを周知せるように指示した。
アバシ王国へも転移で行き、連絡をした。
さらに高性能な鑑定の魔法道具を作って配布した。
これで少しは危険の芽を摘むことができたか?
さてどうなるだろう。
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