24 ナリタ公爵令嬢
4人目の婚約者登場です。
桜餅がありました。
それも二種類。
長命寺餅と道明寺餅。
王宮の応接室に通され、寛いでいるとお茶とお茶請けが運ばれてきた。
お茶請けは桜餅が2種類。
こんなに食べたら昼食が・・・・・
同行していた三人の令嬢はすぐに食べ始めた。
君たち馬車の中でも甘味を和洋交えて楽しんでいたよね。
「この桜餅はナリタ公爵令嬢より皆様へ是非召し上がっていただきたいということです」
あ、三人とものどに詰まらせた。
大丈夫?
大丈夫そうだね。
しかしナリタ公爵家は地球の文化に詳しいのかね。
「ナリタ公爵令嬢よりご伝言です。『タカシ様、夕食会でお会いするのを楽しみにしております』とのことです」
「はい、ありがとうございます。よろしくお伝えください」
お茶が終わり、昼食はどうしますか?と聞かれたけどパスすることに決定!
あたりまえだけど、不健康だよね。。。。
国王との内輪の挨拶は午後3時からということなので私の使う部屋へ案内された。
ミオさんたちも一緒にやってきた。
当分の間ここがタケハヤ公爵家の王都の拠点だ。
鳳凰の像もここに祀る。
部屋から王都を見渡す。
王宮は城というより宮殿。
ここでは城壁の内部が城という考えだ。
王宮の防御機能も充実している。
結界も万全だ。
外壁と呼ばれる城壁の中の敷地に政府庁舎と議会と上級貴族の屋敷と近衛騎士団本部がある。
さらに内側の内壁の中に公爵の屋敷と王宮の宮殿と神殿がある。
そして近衛衛士隊と宮廷魔術師団がいる。
王都チヨダは都市全体が都市外壁という高さ5mの壁で囲まれている。
王都に入るには都市門という6つの門のいずれかを通る。
街道はこの都市門に繋がっている。
都市に入る人と物を掌握している。
平民街を進み、さらに都市内壁の門を潜ると下級貴族や富裕層の住み、高級店がある貴族街になる。
貴族だけが住むわけではないが落ち着いた雰囲気の街だ。
平民街のほど活気はないが治安はいい。
この貴族街を抜けると城壁にたどり着くことができる。
さらに、城壁内を進み内壁を潜るとやっと王宮である。
タカシ達もこのようにして王宮にたどり着いた。
もちろん上級貴族ということで特別の入り口が用意されていたが。
都市には残念だがスラムも存在する。
平民街の都市外壁に近い辺りにあるのだそうだ。
この国において奴隷制度は廃止されているが闇で人身売買があるという。
貧困層の救済には力を割いているがうまくいかないとミオさんが嘆いていた。
いろいろあるが今は春爛漫。
都市外壁内の公園に桜がきれいに咲いているのが此処から遠目でもわかる。
この時期は平民も花見を楽しむということだ。
王宮に来る途中、花見に向かう人々やそれを目当てにした露店を見た。
この世界でも花見はお祭り気分だ。
城壁内の庭園にも桜が咲き誇っている。
これらの桜もナリタ公爵家が関係しているんだな。
今現在もナリタ公爵家と地球は何か関係があるのだろう。
そんなことを考えていると王宮の侍女が呼びに来た。
ルンさんとコンさんはすでに各公爵の屋敷に移動している。
私のそばにはミオさんがいるだけだ。
一緒に国王の執務室に向かう。
アル=ムサシノ国王。
ミオさんの父上だ。
そしてミオさんの母上ミク=ムサシノ王妃。
二人とも当然エルフだ。
種族が違う間ではどちらかの種族の子供が生まれる。
ハーフエルフというのはいないのだそうだ。
ミオさんは両親ともエルフである。
妹はルミ=ムサシノ。
巫女でもある。
「ようこそ、賢者タカシ殿。会えるのを楽しみにしていたよ」
先に国王陛下から挨拶をされてしまった。
「お初にお目にかかります。挨拶に伺うのが遅くなり申し訳ありません」
「神の遣いが国王ごときにそんなにへりくだる必要はないよ。いや、ここ数日、色々と活躍をしていたというではないか。ルミへの神託でいろいろ知っているよ」
「恐縮です」
「私の家族も各公爵の家族もタカシ殿のことは以前から親しみを持っている。みな家族同様だと思っているんだよ」
「そうですね。ナリタ公爵家から頂いたタカシ様の絵姿そのままですね」
「そうです母上。私も姉上同様夢の中でタカシ様の姿見ているのですがあそこまでそっくりに描けるものではありません」
ナリタ公爵家は似顔絵作成もすごいのか!
ナリタ公爵家から届けられた草餅でお茶を飲みながら雑談を楽しんだ。
春の草餅は旬で美味しいよね。
もう少ししたら笹団子もナリタ公爵家から贈られてくるのかな?
1時間ほどして自室の戻った。
午後6時からの夕食会を楽しみにということで一人で寛ぐ。
夕食会には王族と各公爵家の家族が参加する。
主賓は呼びに来るまで待っているようにと国王陛下から言われた。
「ようこそムサシノ王国へ、賢者タカシ様」
侍女に案内され、夕食会の会場に入ったタカシは国王陛下に迎えられた。
王族と公爵とその家族がも立って出迎えた。
「お招きありがとうございます。タカシ=タケハヤです。よろしくお願いいたします」
頭を上げたタカシは固まった。
にこやかに笑う婚約予定者であるナリタ公爵令嬢を見て。
「あら、何か私の顔についているのかしら?未来の旦那様」
してやったりという顔でタカシをみるナリタ公爵令嬢。
そこにいたのは鈴木リサ。
竹早隆司の上司、リサタカプロジェクト特別事業部部長であった。
隆司を幼いころから知ってるはずだ。
幼馴染なのだから。
王都の地図を入れました




