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不思議なパン  作者: TKSZ
221/258

221、アバシ王国(30)

王位継承の球が出現

アスカ神様とアバシ神様がミスルたち4人を送り込んでくれたということだ。

アスカ神様とアバシ神様も見知らぬ男神とともにやってきた。

アスカ神様がやってきて持ってきた壺の口を邪神に向けると邪神は壺の中へと引き込まれていった。

蓋をつけた壺を受け取った男神は恭しく頭を下げると壺とともに転移していった。

アスカ神様とアバシ神様は闇炎で焼かれた私の腕を治療してくれている。


「『魔法のパン』があるから大丈夫ですよ」

「これは報酬だよ」


2柱の神様の神力が優しく流れ込んできて心地よい。

クリスさんがフルル王女らに治癒魔法をかけている。

これで回復もする。

『魔法のパン』も渡して食べてもらっている。

アスカ神様とアバシ神様も物欲しそうな顔をしているのであげたよ。


「これはすごいですね」

「そうじゃろう、アバシ神。タカシは毎日、パンやケーキを加護を与えている私たちに供えてくれるのじゃ。今回の事で何日かお供えがなくてイチゲ神とタケハヤ神が禁断症状を起こしているがな。アバシ神、皆に迷惑を掛けた事を謝っておかないとまずいぞ」


何、禁断症状って。

それってまずいでしょう。

あ、アバシ様がこちらをじーと見ている。


「あの、タカシ様、私も加護を与えているのですが」

「はい、屋敷の拝殿にアバシ神様もお祀りします」

「あ、ありがとうございます。助けていただきさらにお祀りしていただき感謝しています」


アバシ神様に抱きつかれた。


「アバシ神様、こんなところではしたない。私だって抱きついた事がないのに」


フルル王女、貴方も問題が発言だよ。

クリスさん、今「やったー」と言ったよね。


「ごほん、では迷宮を踏破した8人はこの迷宮の主である奥の核石に触れてください」


私からフルル王女によって引きはがされたアバシ神様が私たちに核石に触れるように告げた。


「私たちは一度外に転移してしまったのによいのですか」

「大丈夫ですよ、クリスさん。問題ありません」


100階のボス部屋ー迷宮の主の部屋の奥には直径60cmの核石が台座の上に載って虹色に輝いていた。

私たち8人が触ると核石が白く光り始めた。

光が収まるとそれぞれの左手の中指に色の異なる指輪が現れていた。


「ここの迷宮の踏破者には本来ならば私の祝福を与えるのだがすでに祝福や加護を持っているから使い魔を与えよう。その指輪は使い魔の竜を召喚するものだ」

「竜ってまずいですよ」

「大丈夫だ。はやぶさ程度の大きさだ。召喚と唱えて指輪に魔力を流せばよい」


それぞれが召喚すると様々な色の小さな竜が現れた。


「どのようなことができるかは念話で確認すればよい。まあ、姿を隠したりすることはできる。人を乗せて飛ぶことはできない」


私の竜は黄金色の竜だった。


『ご主人様。私はゴルと申します』

『ああ、タカシだよろしく』

『存じ上げています、賢者タカシ様。それではこちらをどうぞ』


ゴルから黄金の球を渡された。

これは!

鑑定をすると「アバシ王国王位継承の球」だった。


『こちらの「アバシ王国王位継承の球」はタカシ様とフルル様にそれぞれ渡されます』


フルル王女の方を見ると銀色の球を持ってこちらを見て固まっている。

フルル王女の竜は銀色だった。

銀色の竜から説明をされたのだろう。


「フルル王女」

「あ、はい」

「困ったことになりましたね」

「いいえ、タカシ様がアバシ神様の加護をいただいた時からタカシ様が『アバシ王国王位継承の球』を授かるものと思っていました。私も『アバシ王国王位継承の球』をいただけるとは思っていませんでした」

「そうなのですか」

「はい。そして黄金の球の方が第一候補です」


それって・・・・・


「やはりそうなったか」


アバシ神様が近づいて来た。


「とりあえず地上に戻ろう」


アバシ神様の言葉とともに私たちは光に包まれ、地上に転移した。


お読みいただきありがとうございます。

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