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不思議なパン  作者: TKSZ
22/258

22 王都へ

いよいよ出発です。

4月2日。


まだ午前5時半。

今日も天気良し!


雨の移動は嫌だよね。


馬車なら大変だ。


早く目が覚めてしまった!

王都に行くので興奮しているのかな?

眠れなかったということはない。

しっかり熟睡した。


だけど早く目が覚めた。

遠足の日の朝の気分?

いやそんな齢ではない。


起こされた?

窓の外に白いムササビのムサ様がいた。


『おはようございます。朝早くからすみません』

「大丈夫だよ」


8時間は睡眠をとっているからね。


『王都に行くのですね』

「そうだよ」

『お気を付けください。途中、タマ川を渡る辺りで20人ぐらいの盗賊がタカシ様たちを待ち伏せしています』

「わかるの」

『はい。今朝早く、盗賊たちが町の近くを通って行きました。その者たちが話していました。盗賊に皆さんの暗殺を指示した者がいます。誰とはわかりませんが』

「了解。わかったよ、ありがとう」

『それではこれで。王都に行ったら神殿も訪ねてください』

「社でなく神殿?」

『はい、必ず』


ムサ様は去って行った。


ムサ様が去っていく時に気がついた。気配察知ができる。

鑑定の延長なのか、頭に周囲の状況が浮かびに上がる。

どこにだれがいるのか、どのような状態なのか。

周囲200mぐらいの範囲の気配察知ができた。


ミオさんが部屋に近づいて来たな。

ノックに対して入室を許可する。


「おはようございます、タカシさん」

「おはようございます、ミオさん」

「起こしてしまいましたか」

「いえ、起きておりました」

「ではご相談したいことがあります」


今朝早く、20人ぐらいの不審な一団が王都方面に向かって街道を進むのを農民が見たということ、その中にお尋ね者の盗賊の頭がいたということ。


「私たちと途中で遭遇する可能性があります」

「やはりそうですか」

「何かご存知なのですか?」


ムサ様からの情報を伝えた。


「ではタマ川を渡る辺りでということですね。護衛を増やせば問題がありませんが戦闘の時間・拘束した盗賊を連行する時間を考えると頭が痛いですね。」


護衛は騎兵6名が前2名、馬車の横に左右1名ずつ、後ろ2名ということだ私たちの乗る馬車の前に護衛の衛士2名と従者4名の乗る馬車、後ろに同じく護衛の衛士2名と従者4名の乗る馬車がつく。

私たちの馬車の御者台には護衛の衛士が2名乗る。


「あと8名ぐらいの衛士を増やしたいですね」

「護衛を増やさないでいいですよ。盗賊の拘束は私に任せていただけませんか?」

「大丈夫ですか?」

「はい。拘束の魔法を使える武器を作ってあります」

「連行する馬車が必要ですね」

「試作した馬車を使いましょう」


実はヒカワ村の工房で二台の馬車を試作している。

さらに二台の自動車も。

収納に入っている。

一台はトラックのような荷台ですぐ牢屋に改造できる。

盗賊を拘束した後、収納から出して使えばよい。

最後尾の馬車を自動追尾するように改造できる。

決定だ。


『魔法のパウンドケーキ』を口の中に入れて作業開始。


空き地にトラックを出して改造する。


朝食時にコンさんとルンさんにも状況説明をする。

作戦も。


「危ないことをしないでくださいね」


コンさんに心配された。



予定を繰り上げて8時半出発。

騎兵二騎、従者の馬車、私たちの馬車、従者の馬車、騎兵二騎。

私たちの馬車の横には騎兵がつく。

護衛と従者には盗賊の襲撃があると伝えた。

手筈を確認する。


出発してすぐに街道沿いに桜が咲いていた。

花が先に咲くタイプの桜だ。

挿絵(By みてみん)

「きれいな花ですね」

「ソメイヨシノという桜ですよ」


ミオさんが答えてくれる。


「確かナリタ公爵家のご先祖様が品種改良をしたという話ですよね。ミオ様」

「そうですよ。ルン」

「コンは実がならない残念な桜といってますよね」

「そうだけど。でもきれいなのは認めてますわ」


実のならない品種改良の桜。

ソメイヨシノ。

ナリタ公爵家って何者?


「でもソメイヨシノ以外の桜も咲いてきれいですね」


枝垂桜やなども咲いている。

今年は三島の桜は見に行けないかな?


三人は目では桜を楽しみながら、口では甘味を楽しんでいる。

手と口が忙しい。

予定通り小〇軒のレー〇ン〇ィッチと伊豆長岡の温泉饅頭を出している。


こちらは一所懸命に気配察知を行っているのだが。

タマ川を渡る前は大丈夫だと思うが相手のいることだ。

あちらが作戦を変更するかもしれない。

伸縮警棒は手元に出している。

私たちの一行はタマ川に近づいてきた。

挿絵(By みてみん)

地図を入れてみました。

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