219、アバシ王国(28)
戦力が半減
「皆さん起きてください」
それは真夜中に起きた。
下から階段を魔物が上がってきていた。
見張りをしていたクリスさんとトウさんが対応している。
魔物は消えてしまったボスと地竜だ。
いち早く対応したミスルとミドリさんも戦線に加わる。
しかし魔物の数が多い。
数で勝負をかけてきたのか。
苦戦はしていないが手数が必要で厄介だ。
我々4人も加わろうとしたその時、転移門が光りだした。
「みんな結界を張るからこちらに戻って」
しかし遅かった。
クリスさんとトウさんとミスルとミドリさんが転移門に引かれてしまっている。
転移門は周囲のものも転移させる力があるのだが機能に抑制がかけられ、門の中に入ったものだけが転移するようにしてある。
抑制が解除されてしまったようだ。
もう4人は間に合わない。
こちらだけは何とか結界を張って転移門に引っ張られるのをを防いだ。
クリスさんとトウさんとミスルとミドリさんと2体の地竜が転移門にたどり着いてしまった。
4人が転移してしまいさらに地竜の巨体がそれほど大きくない転移門に引き込まれていく。
さあどうする。
『クリスさんとトウさんとミスルとミドリさんの4人と地竜2体が外に転移してきたわよ』
アスカ神様だ。
『転移門が暴走しています』
『すぐに転移門を破壊しなさい。転移門の赤と緑の魔石にあなたの魔力弾を撃ち込んで』
私だけ結界から抜け、転移門の赤と緑の魔石に魔力弾を撃ち込んだ。
魔力弾は転移門に引かれていくこともなく魔石を破壊した。
転移門は大きな音を立てて崩れ落ちた。転移門はなくなって引っ張られることはなくなった。
しかし、まだ下からの魔物が押し寄せる。
私とフルル王女とソウさんとクレナイさんの4人で対応しなくてはならなくなった。
戦力の半減だ。
魔物の大群は次から次へとこちらに向かってくる。
まるで魔物の壁だ。
一撃で倒していけると言ってもかなり厄介だ。
足元には魔石とアイテムが転がっていく。
回収しないと再び迷宮が利用してしまう。
収納に回収しながら進んでいく。
徐々にこちらが押していくがなかなか前に進めない。
そのようにして5時間が過ぎた。
交代で前衛を務めながらやっと20mぐらい進む事ができた。
『魔法のパン』で魔力と体力を維持している。
地上ではクリスさんとトウさんとミスルとミドリさんの4人が地竜2体を瞬殺したらしい。
地上で殺した地竜は消えなかったので兵が解体をしているようだ。
『こちらは心配ないわ』
アスカ神様から連絡があった。
魔物の隙間から100階の床が見えてきた。
あと少しだ。
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