191、飛行船
晴天の中、飛行船のお披露目は行われた。
王都からは貴族だけでなく各国の大使も多数やってきている。
飛行船を私は平和目的で使いたいと思っている。
でもほかの人たちが同じように考えているわけではない。
空飛ぶ船はこの世界では軍事的にも大変な脅威だ。
この技術は平和目的であることは飛行船お披露目実施の発表に合わせて宣言してある。
この事はムサシノ王国国王も承認し、支持してくれている。
カラン国・スルガ王国・ココ王国などからも支持の発表があった。
そういうことで当分は自分自身の移動用だね。
そのような発表があっても自国の軍事的優位に利用したいという国がある。
産業スパイのようなものも増えそうだが何とかなるでしょう。
私が移動するために各国には上空の通過を許可してもらえるようにお願いしてある。
ムサシノ王国、カラン国、スルガ王国、ココ王国、エチ国からすぐに許可が下りた。
他国は検討中だという。
多くの国が賢者の来訪を希望しているので飛行船が使えないところには行く気がしないと仄めかしてあるよ。
領都イチゲの外壁内に造った空港でお披露目を行った。
まずは領都の上空で様々な飛行をして見せた。
その後国王陛下や三公爵らを乗せて遊覧飛行を行った。
後は外国の王族の中から希望者に乗ってもらう遊覧飛行かな。
無事に3回の遊覧飛行の後、飛行船は格納庫に入れた。
その後、収納に仕舞ったけどね。
アバシ王国の姫様も遊覧飛行に搭乗していた。
その場ではあいさつ程度しか言葉は交わさなかったね。
飛行船のお披露目後、アバシ王国の姫様と会談することになっている。
他にも会談をねじ込んでこようとした貴族や大使がいたけどアバシ王国の第二王女と会談が組まれているのだからそれは無理だよね。
時間はどのくらいかかるかわからない。
会談後アバシ王国の第二王女の来訪歓迎のパーティーもあるからね。
私はパーティーで王族相手の接待も行わなければならないよ。
「賢者タカシ様。今日はお会いいただきありがとうございます。アバシ王国第二王女フルル=アバシでございます」
「よくおいでくださいました。賢者タカシ=タケハヤ ムサシノ王国公爵です」
フルル王女は小柄で色白ながらお姫様と呼ぶにふさわしい気品にあふれていた。
「私は今回賢者様に国を代表してご挨拶をしたいと考えたのともう一つ賢者様にご相談をしたいことがあってこちらを伺いました」
「どのような相談でしょう?」
「アバシ神様が神の力を失いかけています」
「え、」
予想以上に大変な相談が行われることになった。
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