189、新しい地下迷宮(5)
「全くわからん」
「手がかりがありませんね」
手に入れた魔獣兎の死体や倒した時の映像や魔力などの記録をもとにして分析を行っている。
マリさんやカレンらにも手伝ってもらって調べたが違いが全く分からない。
まさにお手上げ状態だ。
「もう諦めてしまったのですか?」
「そんなことはないよ」
「神様に少しヒントでももらえないの?」
「アスカ神様でもわからない部分があるようだよ。アバシ神様に訊くしかないようだ」
「少し気分転換でもした方がいいのではありませんか?」
「そうだね」
そういうことで気分転換も兼ねて転移で洞窟を巡り、魔石の回収を行った。
緑の洞窟は毒持ちがばかりでいやだけど他は罠がないので楽だ。
罠があるとおかしなところで気を使う。
領主館に戻ったところでルルさんからココ王国訪問の日程をどうするのか尋ねられた。
アバシ王国の姫様との会談もしなくてはならないし地下迷宮の事もあるので日程が組めないよ。
困ったもんだな。
そう言えばアバシ王国の姫様は地下迷宮に詳しいだよね。
この事を尋ねてみたいな。
アスカ神様はアバシ王国の姫様にアバシ神様を紹介してもらうように言っていたけどそれってアバシ王国の第2王女がアバシ神様の加護を頂いているということか?
場合によっては地下迷宮を視察にアバシ王国に行くことになるかもしれないよね。
アバシ王国には行ったことがないから飛行と転移をしながら進む事になるのかな?
そうするとマリさんたちに開発をお願いしたあれを使うのがいいかもしれないな。
そう考えて研究施設の特別区域に向かった。
極秘で造っているものがそこにはある。
極秘といっても国王陛下の許可はもらっている。
そこにあるのは長さ20mの魔法飛行船だ。
高さは5m、幅も5m。
魔法で集めてヘリウムの浮力と風魔法によって浮き、最高時速120kmで航行することができる。
魔力供給源は魔石だけでしか駄目だった。
それも黒の魔石と緑の魔石だけだ。
空気中や太陽光からの魔力ではだめだ。
また魔術師が譲渡した魔力でも正常に動かない。
この飛行船の心臓部にはソフトボール大の緑の魔石が12個使われている。
緑の魔石がなければこの飛行船は造れなかった。
乗れるのは8人までだ。
荷物は収納の魔法道具が作り付けで設置してあるのでそこに入れることができる。
「あとどのくらいでできるかな」
「2日でしょうか。その後、試験飛行ですよ」
マリさんが答えてくれた。
試験飛行が少し楽しみだな。
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