178、スルガ王国訪問(14)
レジスタンス代表との会談
21時30分カラン国の国境の砦に転移した。
すぐに隣の部屋を訪ねる。
隣の部屋にはケルン王子と部下がすでに待機している。
今回の会談は私とレジスタンスの代表との二人で行う。
ケルン王子との簡単な打ち合わせの後、ケルン王子の部下が私の到着を関所に伝えに行った。
カラン国側の関所では旗を振って賢者の到着をエチ国側に伝える。
エチ国側で了解を示す旗が振られた。
エチ国側の関所の扉が開かれ、顔を隠していながらも高貴な佇まいの1人の人物と4人の護衛がこちらに歩いてくる。
300mを約5分でこちらまで移動してきた。
こちら側の関所の扉が開かれ、5人がこちらに招き入れられた。
そして5分後、私の部屋には覆面を外した一人の若い女性が座っている。
「初めまして。レジスタンスを率いておりますユカリ=エチと申します。賢者様にはお会いいただく時間を設けていただき感謝しております」
「賢者としてこの世界に参りましたタカシ=タケハヤです。ご存知だと思いますがムサシノ国では公爵、カラン国とスルガ王国では名誉爵を頂いております。ココ王国からも近日中に名誉爵を頂くことになっております」
ユカリさんは20歳ぐらい。
細身でありながら気品の溢れる女性だ。
「今回のことに関しましては賢者様やカラン国にご迷惑をかけてしまい申し訳ありません。私は3代前のエチ国の国王の孫娘にあたります。祖父は当時の宰相に殺されました。この祖父を殺した宰相がエチ国の2代前の国王になりました。そしてその息子が先代の国王になり、そして先代の国王が病死した後、先代国王の弟が現国王となりました。2代前の国王も先代国王も現国王も民衆からいかに税を取り立てるしか考えていません。さらに隣国への勢力な拡大のために多くの民衆を無理やり徴兵しています。エチ国内は現王族とその取り巻きの貴族たちによって貧困に喘ぐような国になっています。それを打開したいと考えた私の父母がレジスタンスを立ち上げ活動してしてきましたが5年前に弾圧され命を落としました。私は父母の遺志を継ぎ民衆が過ごしやすいエチ国にしたいと考え、同志たちと立ち上がりました。賢者様にお力添えを頂きたくここに参りました。どうぞお助けください」
「では、一つ聞きます。貴方にとって今回の事は祖父や父母の復讐ですか?」
ユカリさんの体がぴくっと反応した。
そして一度目を閉じた彼女がこちらをまっすぐ見て言った。
「祖父や父母の復讐をしたいという思いはあります。しかし復讐からは何も生み出すことができません。亡くなった祖父や父母はそれを望んでいないと思います。現王族や不当な事をしている貴族を捕らえて正当な裁判にかけ、刑に服させることが大事だと思います。そのために私たちは行動しようと思っています」
「わかりました。今言ったことをレジスタンスの皆さんに徹底できるのならお手伝いしましょう」
「全力で徹底します」
「結果を出してくださいね」
そしてできるだけ流血を防ぐ方法での革命を提案した。
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