174、スルガ王国訪問(10)
スルガ王国王都へ
さあ、国境都市ナブでの昼食会だ。
ここの領主はナブ子爵だ。
これから向かうスルガ王国のフコの領主であるフコ子爵も同席している。
カラン国では武勇においてコウ子爵と双璧をなす人物だ。
先の騒乱で王都へ行くのが遅れたことを悔やんでいた。
まあ、魔動馬車だから4時間ぐらいで来れるが普通に進軍したら1日はかかるからね。
昼食では湯葉と山菜と川魚と山芋を使ったものだった。
湯葉で山菜を巻いた揚げ物が美味しい。
タケノコもあるね。
とろろも私の好物だよ。
昼食後、簡単な懇談をしてからスルガ王国のフコ子爵とともに出発する。
町の南のカラン国の関所を抜けるとすぐスルガ王国の関所がある。
スルガ王国の国境都市フコにはいった。
良好な関係のカラン国とスルガ王国の両国だからムサシノ王国とカラン国と同様でこのように互いの関所がすぐにあるんだね。
国境都市フコの南の門でフコ子爵に見送られ出発した。
さらに南下する。
街道はところどころで山道になっているが問題なく進む事ができた。
不審者もいないようだ。
少し時間もあるね。
魔動馬車の中からこっそりとエチ国との国境の砦の部屋に転移してそこからエチ国側の様子を見る。
急に各地で出現した壁新聞で大騒ぎになっているな。
ホウの報告でもエチ国全体が大混乱状態らしい。
すでに多くに兵が捕虜になっており、壁新聞の撤去や民衆の騒ぎを抑えることもできない状態らしい。
先に拘束された捕虜の家族も騒ぎだしている。
エチ国内のレジスタンスも活動を再開したようだ。
このレジスタンス組織は数年前に国によって壊滅状態にされていた。
エチ神様もこの組織を気にかけているようだ。
エチ国内では王族や一部貴族による不当な抑圧と支配が続いた状態だ。
エチ国内のレジスタンスは不当に抑圧された学者や商人や貴族、そして謀殺された3代前の国王の子孫らによってつくられた組織のようだ。
今の王にはエチ神様の加護はない。
現在の王族には王家を継ぐ資格のある者がいないとエチ神様が言っていた。
3代前の国王の子孫らにはあるのか?
それではエチ国で王家を継ぐ資格って?
そう言えば尋ね損ねてしまったな。
ホウに監視を任せて魔動馬車に戻った。
魔動馬車は海の方に向かって緩やかな坂を下っている。
海が見えるね。
窓を開けると海からの風が気持ちいい。
時々、海とともに大きな都市が見えるようになってきたね。
最後の休憩をとって王都に入れるために身なりを整えているといるとスルガ王国の騎士に守られた一団がやってきた。
守られている馬車からはスルガ王国のスプ国王陛下と妹のミヤビ王女が降りてきた。
態々、ここまで迎えに来てくれたのか。
「賢者タカシ様、よくおいでくださいました」
「スプ国王陛下。お出迎え頂き光栄です」
スプ国王陛下とミヤビ王女には一緒に魔動馬車に乗っていただくことになった。
車内で和やかに過ごしながら王都への街道を進む。
街道もよく整備されている。
そして高さ8mも壁が見えてきた。
スルガ王国王都シミに到着だ。
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