172、スルガ王国訪問(8)
夜襲撃退!
王都ニラキに戻ってきた。
今日の宿泊は迎賓館ではない。
神殿の隣に用意されたタケハヤ名誉爵の屋敷だ。
魔動馬車と言えども国境まで往復するには時間がかかる。
そして現地での作業も精霊さんたちに手伝ってもらったとはいえ、演習も含めて1時間以上かかった。
現在、午後7時になるところだ。
神殿に入り夕食会に臨む。
神殿関係者と国王陛下とケルン王子と宰相がいる。
こちらは私以外にリサさんとセルさんだ。
食事は川魚と山菜を中心としたあっさりとした味のものだった。
薄味ながら美味しいものだった。
素材の味が生かされている。
簡単に懇談と情報交換をしてから早めに就寝した。
夜中に関所の砦に行くことになるだろうから。
『タカシ様、エチ国軍が引っ掛かりましたよ』
午前2時。
ホウの報告で起こされた。
『ありがとう、だけどその言い方だと私が悪者に聞こえるよ』
『そうですね、すみません』
着替えて転移で砦の与えられた部屋へ移動した。
夜襲をかけようとしたらしいが国境を越えた直後に強力な光に照らされたんだよね。
夜は関所を通れないことになっている。
国境を越えたということは違反行為だよ。
警告を与えても退かないどころか弓矢を射ってきたので拘束砲弾で拘束して牢屋へ入れたと報告を受けた。
壁を登ろうとした兵も拘束して牢へ転移させたわけだ。
私の探索ではここにはエチ国軍が1200人来たようだが、すでに800人が牢に入っている。
砦にカラン国側から入り込もうとしたエチ国の諜報員18人も捕まって特別な牢に収監された。
エチ国内の基地から3200人の軍が動き出したな。
ここまで来るのに40分はかかるね。
砦の地下の牢を6000人収容に拡張する。
このくらいの余裕があればいいだろう。
緩衝地帯のカラン国側の街道部分以外に罠を仕掛ける。
発動すると人は一斉に牢に転移する。
街道の両端に柵を作り、ここから先に入るなって掲示したよ。
誰もいないのに次から次に現れる柵や掲示物に驚いているようだね。
拡声器を使ってこちらに入らないように警告をしておこう。
警告はしたからね。
一度後退したエチ国軍だったが、再び進軍してきた。
今度は攻城兵器を持っているね。
投石器と破城槌か。
さてどうするかな。
よし、これで行こうか。
こちらの城壁の外2mのところに結界を張る。生物の体以外を素材に分解してしまう結界だ。
そして収納の魔法道具に回収する。
まるで生物の消化吸収だね。
また沢山素材が集まるかな、ふふふふ・・・・。
あ、黒い笑いが出てしまった。
いけない、いけない。
この結界は地面から15cmのところから30mの高さまで半透明な白色の膜のように作ったよ。
ついでに「この膜に触るな」とも膜の上に赤く浮き上がるように書いておいたよ。
いや、私は優しいなあ。
だけど守ってくれるかな。
くれなくてもいいけど。
お、これはエチ国軍の精鋭部隊だね。
軍の幹部も大勢いるね。
緩衝地帯のエチ国軍側に陣形を組んだな。
この陣形は何というんだ?
魚鱗というやつか?
破城槌を先頭にして進軍してくる。
国境の柵を壊しちまったよ。
後で直した時に請求を回すよ。
投石器から石が放たれた。
結界で消えてなくなったよ。
弓矢も火矢もみんな駄目だよ。
破城槌も消えたよ。
破城槌を押していた兵の服も消えて裸で城壁前に転がっている。
指揮官が何か騒いでいるな。
何人かの兵が結界の下を潜っているね。
結界に触れた防具や武器や服が消えてなくなっているけど。
お、ほぼ全員が国境を越えたかな。
ではまず街道以外にいる兵を牢に送ろう。
はい、発動。
今日もエチ国軍兵が大漁だ!
仲間が消えて驚いているね。
馬は残っているけどね。
次に街道にいる兵と指揮官には拘束砲弾で拘束して牢へご招待。
少しあちら側に残って逃げて行くけどそれはいいや。
恐怖からかかなり混乱しているな。
兵が9人か。
後は慎重に馬などこちらに残った物を回収してください。
国境の柵は精霊さんたち復元をお願いします。
今晩はもう来ないと思うけど警戒態勢をとってもらい、屋敷に戻ったよ。
映像でもばっちり記録した。
写真入りの壁新聞を作ってエチ国内に明日の夜にでも貼っておこう。
無断で貼ってはいけないから高札を作ってそこに貼って各町村に立てるか。
それではおやすみなさい。
お読みいただきありがとうございます。




