170、スルガ王国訪問(6)
国王陛下との会談
翌日は朝から快晴だった。
朝早く、領都イチゲへこっそりと転移して神様のお供えを行った。
もちろんすぐにカラン国の王城の迎賓館に戻ってきた。
転移の事はカラン国国王陛下に許可を頂いてある。
今日の予定はカラン国国王陛下との会談。
王都と国軍基地の視察。
王宮での昼食会。
エチ国との国境の関所の視察。
は神殿での夕食会だ。
まずは王宮でカラン国国王陛下と二人での会談だ。
「訊きたいことがあるのだろ」
「はい、これ、『カラン国王位継承の赤球』を私に贈ったことについてです」
私はカラン国王位継承の赤球を収納から出した。
「そうじゃな。昔から決まっていたことだ。神の御意志と言った方がよいのか。賢者様が現れたらカラン国王位継承の球のいずれかを贈ることになっていた。その球は賢者様の所有になることを受け入れたであろう。それがカラン国王位継承の赤球を持つにふさわしいという証拠じゃよ」
「そうなのですか。私にカラン国の国王になれということですか」
「そうじゃな。神様は世界の王になってもらいたいようじゃがな。伝承ではそういわれておる」
「そうなのですか」
「聞いていなかったのか?この世界では多くの人が知っている伝承だぞ。すでにココ王国、ムサシノ王国、スルガ王国、カラン国は賛成じゃ」
「世界の王というのはどういう事をしろということですか?世界征服とか?」
「それは違うのではないかな?私も詳しくはわからないが『心をまとめよ』ということが伝わっている。無責任なことを言うように聞こえるだろうが賢者様なら神様の言いたいことが何なのかご自身で気が付くと思うがな。そのためにいろいろ経験するのがよいと思うのだが」
「わかりました。時間をかけて神様が何を言いたいのか考えてみます」
「頑張ってくれ。ところで名誉爵にもなったのだからこちらにも屋敷が必要だろうと思ってな。神殿の隣に小さいが屋敷を用意した。いつでも転移で来れるから頻繁に来てくれると嬉しいのだが。できれば私の家族も連れて来てもらえるとさらに嬉しいのだがな」
「わかりました。屋敷もありがとうございます」
その後は国際AGTをどのように敷設、運営していくか話し合い、会談を終えた。
これからいつでも簡単に来れるからな。
議題があればすぐに話し合える。
伝承にある「世界の王」の意味は分からないが自分で考えよということだろうな。
神様に尋ねても絶対に教えてくれないとわかっているよ。
それも一つの試練ということなのだろう。
私がこの世界で目指すものが何なのかわからなくなってきてしまったような感じがする。
神様は文明の発展に貢献してくれればよいように言っていたと思ったのだが。
ちょっと違うようだ。
お読みいただきありがとうございます。