表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不思議なパン  作者: TKSZ
17/258

17 転職

『大至急連絡せよ』

職場からのメール。

何かまずいことが起きたかな。


大至急、上司に電話する。


「ああ、隆司君。やっと連絡ができたね。休暇中に申し訳ない。電波が届かないからどこに行ったのかなと心配したよ。国内だよね。勤務時間が過ぎてもいいから職場に来れないかな?」

「何かまずいことがありましたか?」

「君にも私たちにもいいことに繋がりそうな話だよ」


30分後に職場に行くことになった。

会社は環境関係の調査研究を主に行っている。

付随して児童や一般向けの学習・教育活動も請け負うことがある。

展示・観察会・学習会なども。

私は遊撃的に仕事を担当することが多い。

依頼されれば何でもやる。

不正や犯罪に加担していなければ。

採算の合わない仕事もある。


職場の会議室。

直属の上司、社長、副社長、人事課長。

会社の人間でない女性が2名。


2名の女性は昨年共同で行ったプロジェクトの相手会社の担当者とその上司だ。

相手会社は有名な総合企業だ。

会社も有名だが経営者も有名、慈善事業にも多くかかわっている。


早い話が慈善事業への人材の引き抜き。

そのターゲットになった。

給与は2倍。

ボーナスも2倍。

休みが不定期だが月17日勤務が基本。

週休3日ぐらいか。

有給休暇は年20日

勤務時間帯は日によって異なるが6時間勤務が基本。

超過は手当てが出る。

手当の額・福利厚生もよい。

出張はそれなりにある。

職場は自宅から歩いて15分。

支度金として100万円。

仕事はこの事業の責任者である社長令嬢の補佐。

社長令嬢が特別事業部部長だ。

学習会の講師や企画の立案・調査研究など。

あまりにも条件が良いので心配になる。

私を転職させる見返りとして20年計画の共同プロジェクトの契約と多額の出資が約束されたようだ。

私の抜けた穴も複数の人員が派遣される。

あまりにも条件が良すぎる。

不安になるけど神様の助ける人がいるというのがこのことか?


「なぜ私が?」

「昨年のプロジェクトの仕事ぶりを見て候補に挙げさせていただきました。失礼ながらそのあと、色々調べさせていただきました。そして適任と判断させていただきました」

「何時からになるのですか?」

「4月1日、三日後です」

「会社の方もそれでいいのですか?」

「それについて私から」


人事課長から話がされた。

退職は4月30日、それまでは出向扱い。

退職金も大幅に増額される。

一部は転職先から出資される。

4月中は今までの会社から給与、出向先から手当てが出る。

確定申告が大変そうだ。


社長も副社長も私が受けてくれることを期待している。

上司は複雑な顔をしている。

使いやすい人間がいなくなるから?


受けることにした。

面白い転機だ。

書類は用意されていた。

署名捺印だけだ。


「急なことで申し訳ない」


社長が言ってきた。


「いや、こちらこそありがとうございます」

「急なついでに4月1日からの職場にご案内したいと思いますがいかがでしょう。ご自宅からも近いですし車で送らせていただくことができます。部長もまだおります」


用意された車で新しい職場に向かう。


「私たちの職場では部長のことをリサさんと呼んでください。決まりですから」

「お二人も特別事業部の所属なのでしょうか?」

「はい、そうです」


車から降りて建物に入る。

入り口を入ると受付カウンター。

応接室、10人用小会議室2つ、20人用中会議室、40人用大会議室、多目的室、40人用実験演習室、分析研究室、パソコン演習室、サーバー室・スタジオ付きビデオ編集室。

講習会が十分に実施できる。

休憩室、食堂とキッチン、更衣室、仮眠室、シャワー室。

厚生施設も十分。

印刷室、資料室、倉庫、一般職員執務室。

一般職員執務室では一人一人の席がパテーションで分けられている。

それぞれの席には机・複数のパソコン・スキャナ・プリンタ・コピー機・椅子が複数・書棚がある。

素晴らしい労働環境。

スペースは10あるが今のところ使っているのは6。

私もここ?


「隆司様は部長補佐として専用の執務室があります。」


副部長室、秘書室、部長室、部長補佐室と並んでいる。

部長室に案内された。

そこにはお嬢様がいた。

幼稚園に入る前から小学校の2年までいつも一緒にいた幼馴染。

そのことしか覚えていないがいつも一緒に行動していた。

彼女がいいところのお嬢様だということだけは覚えている。

そして彼女が海外に行ってしまったことも。


「リサっち」

「久しぶり、タ~君」


小さい時と同じだ。

週に1度のメールのやり取りは20年近くになる。


「お二人でゆっくりお話ししてください」


案内をしてくれた二人が部屋から出ていった。


「君が呼んでくれたんだ」

「あなたと私が力を発揮できる場所がやっと整ったの。

ようこそ、リサタカプロジェクトへ」

「リサタカプロジェクト?」

「私と貴方で変革を起こすの。詳しいことは4月1日にね。貴方も前の職場などの片づけが忙しいでしょう。4月1日午前9時までにこの職場に来てね。日曜日だけどお願いね」

「4月の予定とか決まっているのかな?」

「4月1日は12時まで勤務。その後、歓迎の昼食会。2時間ぐらい」

「2日からは?」

「せっかちね。2日から4日は休みにして5日から1週間連続で出張があるからよろしく。12日から15日は休みで16日から19日は9時半から15時半まで勤務。20日から22日は休みで23日から26日は9時半から15時半まで勤務。27日から29日は休みで30日から5月3日は9時半から15時半まで勤務。祝日は関係ないから。スタッフは4月1日に知らせるわ。一緒にがんばりましょ」

「よろしく」

「ではあなたの部屋にご案内~」


リサは執務室にある扉の一つにカードをかざして開けた。


「私の部屋はた~君の部屋と繋がっているの。そうだ、私のこと、職場ではリサさん、対外的には部長、プライベートではリサっちがいいな~。私もた~君のことを職場ではタカシさん、対外的には部長補佐とと呼ぶから」


テンションの高いリサに部長補佐室の設備を案内された。

部屋には簡単な実験室、仮眠のできる休憩室・更衣室と物入、ミニキッチンもついている。

実験室がヒカワ村の屋敷の製薬工房に似ている感じがするのは気のせいか?

執務室には机複数?

数人で作業ができそうだ。

応接セットと打ち合わせスペース

設置されているパソコン4台10画面?

スキャナ・プリンタ・3Dプリンタ・ペンタブレット・プロジェクタ。

出張用ノートパソコン大小2台・タブレット大小2台・デジカメ大中小3台・デジタルビデオカメラ大小2台。

デジカメ大とデジタルビデオカメラ大はプロ用だよね。

野外活動用の道具が春夏秋冬とも一式と折り畳み自転車?

ピッケルやアイゼンもあるけど。。。

とんでもない装備だ。

どこに出張する?

どこの調査だ。。。


いろいろ聞こうとしたけどスルーされた。

廊下に出るとスタッフが揃っていた。

私の顔見世だ。。

スタッフの紹介は4月1日。

副所長以外は女性だった。。。


自宅へ送られた。

ヒカワ村の屋敷に戻って夕食。

食後、ルンさんとお茶。


「タカシさん、私に何か言うことはありませんか?」

「え~と」

「ミオさんからは連絡がありました。ヘタレですか。ヘタレですね。早くビシッと決めてください」


しっかりプロポーズをしろということだよね。


「はい。ルンさん私の妻になってください」

「よろこんで。はあ、やっと言ってくれましたね。待っていたのですよ」

「すみません」

「さて、急いでもう一人の婚約予定者のところへ行ってください。一人だけ違う日になるとコンは拗ねますから。それが終わったらタカオ町に行ってミオさんと予定の打ち合わせを行ってください」


追い出された。

疲れているのでコンさんのところは明日にしようかなとも考えていたけどそうはいかない。

屋敷から出るわけではないが自宅に帰還してから、カタクラ村を訪問した。


祠の前にはコンさんが待っていた。


「お待ちしていました。プロポーズをしに来てくださったのですね」

「はい、私の妻になってください」

「よろこんで」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ