16 カラン国第一王子
「終わりましたよ」
みんな唖然としている。
2分ぐらいで鎮圧したからね。
この後が問題だろう。
国際問題か?
王宮とミオさんに頑張ってもらうしかない。
第二王子一行は牢に連行されていく。
少し気になるのはヒカワ村で問題を起こしたドタ伯爵が関与しているのかな?
おや門の外がうるさいな。
門の外に10騎の騎兵が到着した。
先程の馬鹿王子の配下と同じ鎧だ。
すわ、王子奪還か?
街に被害を出さないように外で迎撃がいいか?
ミオさんや衛士と臨時で門の外に出る。
騎兵は私たちの前に来ると全員が下馬して身分証を出した。
はい?
そして、隊を率いる騎士が前に進み出てきた。
「ミオ王女様、お久しぶりです」
「これはケルン王子、お久しぶり出す」
ケルン王子?
カラン国の第一王子か。
「うちのガガがこちらにこちらを訪れなかったでしょうか?」
「はい、先程、こちらの規則を無視して町に入ろうとして咎められると剣を抜いて切りかかってきましたので、無力化しました。今、牢におります」
ケルン王子に詳細を説明した。
ケルン王子の話ではカラン国の王宮に無許可でガガ王子がこちらに向かったので、王の命令でケルン王子自らこちらに来たとの事。
場合によってはガガ王子を切り捨てることも許可されているということだ。
国際問題にならないように考えたわけだ。
ケルン王子一行は町に入って役場の応接室に来ている。
「ガガは自分が王位を継承できそうもないので、ミオ王女と結婚してムサシノ王国の国王になろうと考えていたようです。欲にまみれており最近は第2継承権からも外されました」
ガガ王子の母親の第三王妃はドカ伯爵の姉でいろいろな問題を王宮内で起こしているということだ。
今回のことも第三王妃の入れ知恵の様だ。
どっちにしろカラン国としてムサシノ王国に謝罪して補償などの交渉をするために王都に行くらしい。
ケルン王子は国王から全権を委任するという書状をもってきている。
さすが王太子。
しっかりしている。
博学で話をしていて楽しい。
良い交流を持てそうだ。
「タカシ様にはご迷惑をおかけしました。これから賢者としてお忙しいと思いますが、ぜひ我が国にもおいでいただき、お知恵をお借りできたらうれしく思います。カラン国はタカシ様を歓迎します」
「機会がありましたら」
「それからミオ王女様、タカシ様とのご婚約おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「ミオ様、本当に幸せそうなお顔ですね」
「はい」
「それから今年の春の入学で弟の第三王子と妹の第二王女がタカオ町にある学校に入学する予定です。よろしくお願いします」
第三王子の母親は第二王妃、第二王女の母親は第一王妃だとのことだ。
昨年の春、第二王妃の娘である第一王女もタカオ町の学校を卒業したとのことだ。
ケルン王子もタカオ町の学校で魔法を学んでいる。
だから、カラン国の王宮にとってタカオ町は馴染みのある街である。
ガガ王子のみタカオ町の学校に入学できなかったのだそうだ。
ケルン王子一行は今からでも夜までには王都に着けるということで、出発した。
出発前にガガ王子とクク男爵の髪を剃っていった。
反省させるために。
ガガ王子たちは明日王都に護送されるということだ。
まず、ムサシノ国で処分が下され、そのあとカラン国で処分されるということ。
反逆罪に近いが死刑はないという。
自分が一瞬で鎮圧したからね。
その点についてケルン王子は感謝していた。
死傷者が出なかってのは大きい。
護送のための近衛衛士団と護送馬車が王都からこちらに向かっている。
ケルン王子を見送った後、タカシは部屋に戻った。
自宅に帰還する前に自分を鑑定する。
タカシ
竹早隆司
地球人 神の遣い 賢者
ミオ=ムサシノの婚約者
コンの婚約予定者
ルンの婚約予定者
**の婚約予定者
魔法のパンの効果は14時間18分27秒
**は誰?
ミオさんの話だとこの世界と私の世界に一人ずつではないの?
『魔法のパン』の効果が伸びている。
魔法樹の実のジャムを入れたから?
パンを鑑定してみる。
魔法のパン(魔法樹の実のジャム入り)
24時間有効
タカシ製造
カタクラ村やヒカワ村にも行かなくてはならない。
とりあえず、自宅へ帰還した。
職場からのメールを受け取った。
大至急連絡せよと!




