158、領都イチゲ開都式(11)
温泉は朝風呂を楽しまなくては。
5月31日、領都イチゲの開都式当日だ。
準備で疲れたが、それも報われるね。
しかし、ここがゴールではない。
これは領都イチゲのスタート地点だよ。
昨日寝たのが午後11時なのに朝5時には目が覚めた。
いつもと同じ時間だよ。
緊張しているのは当たり前だ。
緊張すべき時は緊張しなくてはいけないよね。
当然緊張し過ぎはよくない。
適度な緊張がいいんだよね。
緊張をほぐすには体を動かすのがいいというよ。
屋内訓練場で軽く剣を振るうことにした。
いい汗が流せたね。
で、朝からの温泉は少し贅沢だけど・・・・・・・。
この人たちがいるのを忘れていたよ。
国王陛下3人と公爵3人。
そしてカラン国のホルン王子も一緒だね。
おじさんたちと一緒で恐縮しているのかな。
彼も昨日学校が終わってから第二王女と一緒にタカオ町から来たんだよね。
年齢が近いせいかスルガ王国のスプ国王と親しく話しているね。
あ、スプ国王もタカオ町の学校の卒業生だったね。
ホルン王子の先輩だよね。
彼らはもうすでにしっかりと温泉に浸かっていましたよ。
何時に起きたの?
皆さんはすっかり寛いでいますよね。
ここの楽しみは多すぎて困るって。
「うむ。食事は美味しい。温泉はある。AGTに乗るのもよい住民との交流になる。魔動馬車の運転も幸せになれる。バギー車は最高だよ」
「そうですね。スルガ王国にも魔動馬車を運行させたいですね。個人的にはバギー車で砂浜や原野を疾走させたいな」
スルガ王国にはホミの松原に長い砂浜があるらしい。
シマタナカ砂丘も魅力的な所らしい。
バギー車で砂浜を疾走させて自然破壊をしないで下さいねと申し上げたら、海洋生物、とくにウミガメの産卵の保護をしっかり行っていて、産卵から孵化までの時期には周辺の村人と兵が砂浜を守っているとのことだ。
「そんな時期にバギー車で砂浜に行ったら大ひんしゅくものだよ。国王だって失脚確定だね。とくに海亀の産卵は要注意だ。スルガ王国では産卵のために上陸した海亀は神の遣いだからね」
「上陸した海亀ですか?」
「そうだよ。スルガ王国の砂浜に上陸を果たした海亀限定だよ」
「海を泳いでいる海亀は?」
「ああ、捕らえて食べてるぞ。美味しいからな。ああ、産卵期には沿岸付近では禁漁になるからな」
そうなんだ。
実際に上陸した海亀を捕らえた貴族が村人に袋叩きになり、さらに爵位を取り上げられたことがあるという。
袋叩きにした村人は神の遣いを守ったということで表彰され、褒美を与えられたという。
しかし、バギー車は人気だね。
昨日はここにいる3人の国王陛下に加えてココ王国のシズカ女王陛下もバギー車の運転を覚えたんだよね。
4人とも上達が早かったよ。
どうもここの3人から「バギー車欲しいよ」光線がこちらに出ているような感じがするんだが。。。。。
渡したのはいいけど事故でも起こされ責任を感じるよ。
「隆司君、あれを躱すのは難しいよ。何重にも安全装置をつけてバギー車をプレゼントするしかないいんじゃないかな」
ナリタ公爵、私にとっては太郎おじさんが小声でアドバイスしてきてくれた。
速度制限と衝突防止装置と今あるシートベルトに加えてエアーバックかな?
風防で覆う範囲も増やさなければいけないかな。
ヘルメットも用意か?
そんなこんなでちょっと長風呂をしてしまったよ。
朝食会場に行くとすでに温泉を楽しんだ女性陣がいたよ。
当然皆さんも入りますよね。
今日、開都式当日は朝風呂大会で始まったようですね。
お読みいただきありがとうございます。




