135、領都イチゲ開都式(8)
青い魔石は
今日は商人組合の幹部と魔石の問題について協議する。
その前に洞窟やその周辺で手に入る魔石について調べる必要がある。
領主館の工房の実験室に移動する。
マリさんとカレンさんも一緒だ。
カレンさんほとんど領主館にいるよね。
ああ、屋敷には二人の王妃様がいるから妹たちの面倒は見なくていいのね。
客間のひとつはカレンさん専用になっているよね。
では魔石を調べるよ。
黒色の魔石からだ。
色から予想していたがかなり良質な魔石だね。
魔力の純度が高いというか、不純物がないというか。
魔石の魔力を魔法道具に吸収させると魔石が消えるわけだが、その時にごみが残る。
純度が高いとこのごみが少なくなる。
1個しかないから今は実験ができない。
変形で分割するのもやめた。
標準サイズはウズラの卵大だからこの魔石を変形させれば3個ぐらいになるな。
これは商業組合に見せるのに使いたい。
これほどの良質な魔石は公爵領では手に入らないよ。
いやおそらくムサシノ王国や周辺では無理だね。
次に青色の魔石だ。
まず洞窟の壁から採掘したもの体積を調べたら約150mlもあった。
こぶし大より大きいか。
鑑定を詳細まで行う。
「水の魔石!」
「何ですか。それは」
「水を扱う魔法を150%ぐらい強めることができるようだよ」
「そんなこと聞いたことがありません。黒色以外の魔石が存在するというのも伝説上の話でした」
実験してみるか。
まず2個のうち1個を変形で6分割した。
これでウズラの卵より少し大きいかな。
標準サイズだね。
これ1個を魔石から魔力を取り出す魔道具にセットする。
青い魔石をセットした魔道具を二つ用意した。
研究室にある実験用の鉱山から産出した標準サイズの黒い魔石を2個用意してこれもそれぞれ魔力を取り出す魔道具にセットする。
この黒い魔石は新品だ。
水を作り出す魔道具を2つ用意してそれぞれに魔力を取り出す魔道具をつける。
片方は青い魔石、もう片方は黒い魔石だ。
魔道具を稼働させる。
水の量は明らかに青い魔石をセットしたものの方が多いね。
同じ時間稼働させて、できた水の量を比較する。
青い魔石から魔力を供給させた方は黒い魔石から魔力を供給させた方の約1.5倍の水ができている。
さらに水質は?
これは同じだよね。
両方とも水だよ。
でも詳細に・・・・・
青い魔石の魔力でできた水は超純水?
いや空気が混じるでしょう。
魔力で空気を排除しているのか。
でも超純水だからこの水ってまずそうだよね。
いや魔力を伴った水って美味しいのかな。
飲んでも健康には影響がないようだけど。
「この水美味しいわね」
「本当にこんなおいしい水は初めてだわ」
マリさん、カレンさん、2人とも何を飲んでるの。
まだ、飲んでいいよって言っていないよ。
水の魔石の魔力でできた水は絶対に美味しいと思ったのですか。
仕方ありませんね。
では私も飲んでみますか。
・・・・確かに美味しい。
黒い魔石の水も美味しいけど、こちらはそれ以上だ。
やはり魔力効果か?
伴っている魔力は徐々に減っているな。
2時間で普通の水と同じになるかな。
測定機器をつけて記録しよう。
まあ時間がないから今はこの辺で。
では次の実験だよ。
照明の魔道具2つ用意してこの魔力を取り出す魔道具をつける。
明るさ測定の魔道具も用意して・・・・。
やはり、青い魔石の魔力でも黒い魔石の魔力でも明るさは変わりないね。
もう少し調べたいいけど商人組合の人たちと会う約束の時間が迫って来たよ。
ソフトボール大の青い魔石だけ鑑定する。
やはり、水の魔石か。
こちらは良質だ。
体積は500mlか。
実験器具はこのままで、セットしていない魔石を収納に戻して執務室へ戻ろう。
お読みいただきありがとうございます。